腰痛の原因と対策法をパーソナルトレーナーが徹底解説
「なぜ腰痛になるの?」「私にもできる腰痛の対処法は?」と、お悩みではありませんか? そこで腰痛の原因や症状、今からできる対処法について詳しく解説します。また、僕のパーソナルジムで実践している腰痛の改善予防のエクササイズも紹介します!
腰痛は日本国内で推定3000万人!
腰痛は多くの人が経験する身体の症状で、日本では3000万人の腰痛の人口が推定されています。(日本整形外科学会の調査) また、国民生活基礎調査(令和4年)によると、日本人が自覚している症状の1位は腰痛です。(上の図)
腰痛は多くの人が経験する国民病の1つと言えます。
腰痛の主な原因
腰痛の原因は複数あります。主な腰痛の要因となることを紹介します。
腰まわりの筋肉や靭帯の緊張
座りすぎ、立ちっぱなしなど同じ姿勢を長時間続けること、腰の負担がかかりやすい不適切な動作により、腰まわりにある筋肉や靭帯が緊張します。そのため、腰に痛みを感じます。
腰を支える筋力の低下
腰を支える腹筋、背筋、臀部などの筋力が低下すると、腰の負担がかかり、腰に痛みを感じます。ちなみに筋力は30代から徐々に低下し、50代から低下が著しくなります。
腰の椎間板の損傷
腰の背骨(腰椎)の間にある「椎間板(ついかんばん)」が変形し、組織の一部が飛び出すことで、神経を圧迫し、腰やお尻に痛み、痺れが発生します。【椎間板ヘルニア】 その原因として、遺伝的なもの、不適切な姿勢や動作が関係しています。
不良姿勢によるもの
立った姿勢で前屈みになるだけでも、腰の椎間板には1.4倍の負担、荷物を持つと2倍以上の負担が増えます。また、腰が反っている、骨盤が斜めに傾くなどの不良姿勢は腰痛を引き起こす原因となります。
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病院で特定できる腰痛の原因は15%
腰痛が起こる原因の代表的なものは、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症などがあります。これらは腰痛の原因が特定できる「特異的腰痛」と呼ばれ、腰痛の約15%を占めています。
腰痛の約85%は、病院でレントゲンやMRIなどの画像診断でも腰痛の原因が特定できない非特異的腰痛と言います。(腰痛症) 長時間の同じ姿勢を続けることで腰や背中の筋肉が緊張する、腰を支える筋肉が不足して腰に負担がかかる、疲労の蓄積、精神的ストレスなどで腰痛が慢性化することがあります。
腰痛の症状にはどんなものがあるの?
腰や背中、太ももなど特定の部位が痛む
腰、背中、お尻、太ももの後ろなど、特定の部位に痛みを感じます。痛みの範囲は、「指先~手のひら」で示すことができます。
広範囲の部位が痛む、痺れる
腰だけでなく太もも〜足先まで痛む、痺れることがあります。
腰痛の対策法(腰痛の改善、予防)
腰痛対策の近道は、いかに腰の負担を軽減できるか?です。まずが、今から紹介する腰痛の対策法で「これならスグにできる!」ことから、はじめてみましょう!
1 医師による診断やアドバイスを受ける
腰の痛みが1日中続く、お尻や脚も痛む痺れる、だんだん痛みが増すなどの症状がある場合には、自己判断は避け、専門医(整形外科医、スポーツ医など)の診断やアドバイスを受けることをお勧めします。また腰痛が軽度の場合でも、一度は専門医の診断をお勧めします。
2 理想の姿勢をマスターする
理想の姿勢を保つことで、腰の負担を軽減させて腰痛の予防が可能になります。また、肩こりの解消、若々しい立ち姿、呼吸がしやすく仕事の効率もアップできるというメリットがあります。
座っているときの姿勢 デスクワーク編
腰痛を引き起こす原因となりやすい座り姿勢。特にデスクワークは長時間の座り姿勢が余儀なくされます。デスクワークでは、上のイラストのように
- 深く腰をかける
- 肘、お尻、ひざが適切な位置になるよう【机と椅子の高さを調整】
- 足の裏が床につくこと
で、良い姿勢を保つことができます。
最良の腰痛対策は、30〜60分毎に小休憩を入れて、椅子から立ち上がり「ストレッチ体操」や「ぶらぶら歩き」で足の血行促進を行うことです。
3 腰痛予防は日常生活から!
床から荷物を持ち上げるときの姿勢は、腰痛予防対策で重要です。よくある悪い姿勢として、背中を丸めること、荷物から離れて持ち上げることがあります。この姿勢は腰痛を招きます。
腰痛を予防するためには、体幹に力を入れて背中を伸ばす、荷物を体に寄せる、背中を伸ばしたまま真上に持ち上げるという姿勢をマスターしましょう。
朝、顔を洗うときの姿勢も重要です。荷物を持つ姿勢と同様、背中を伸ばし、膝を曲げてしゃがみながら洗面台に近づきます。
背中を丸めて、前屈みの姿勢は腰痛を招きます。
立ち仕事をされる場合も、背中が丸くならないようにします。できる限り作業台に近づき、背中が伸びる姿勢が望ましいです。ただし、作業台が低い場合、良い姿勢が取れませんので、適切な高さが必要です。
腰痛対策として、15〜20センチの小さな台に片足をのせておくことも有効です。
軽いから大丈夫? いいえ、違います
日常生活では気づかないうちに腰に負担をかけていることが多くあります。1つは、「軽いから大丈夫!」という安心感です。
例として、腕を伸ばしてモノを移動させることです。腕を伸ばすだけで、いくら軽いモノであっても、腰の負担は何倍にもなります。上の写真のように「できる限り、モノを体に寄せる習慣」を身につけて腰痛を予防しましょう。
高い場所にモノをあげるときの腰痛予防
高いところに、モノを上げるときにも注意が必要です。できるだけモノが体に近づくよう、安全な踏み台を用意しましょう。
腰痛予防 掃除機のかけ方
掃除機をかける姿勢も重要です。床にあるゴミを見ながら掃除機をかけますので、前かがみになりがちです。この姿勢は腰を痛めます。背中を伸ばして、掃除機をかけましょう。
座っているときにやっておきたい腰痛予防
背もたれの椅子、ソファで長時間座っていると、どうしても背中が丸くなります。このままでは、腰の骨(腰椎)に過大な負担をかけて、腰痛の原因となります。腰痛対策として、腰に腕を入れて背中を伸ばす、または丸めたタオルを入れるなどで、背中を伸ばして腰の負担を軽減します。それに加えて、30〜60分に1回は立ち上がり、ブラブラ歩く、ストレッチをすることが良いです。
床に座るときも同じで、背中が丸くなると腰に負担が大きくなります。お尻に高さのあるクッションを敷き、その上に座ると良い姿勢を保つことができます。
また、横座りは腰の負担だけなく、背骨の歪みの原因となります。左右の筋肉のバランスも崩れやすくなり、慢性的な腰痛のリスクがグッと高くなりますので注意が必要です。
リュックは良いのですよね? いいえ、「正しい背負い方」「軽量化」が重要です。
体のためには、荷物を持たないことがベストです。しかし、そうもいかないと思いますので、荷物は1グラムでも軽くすることを心がけましょう。
次にリュックの背負い方ですが、リュックのベルトが緩い状態ですと背中が丸くなりやすく、猫背姿勢、腰の負担を増やすことになり逆効果です。(写真左)正しい方法は、ベルトをしっかりと締めて、リュックが背中につくようにしましょう。(写真右)
また、片側でリュックを背負うと体の歪みが生じて、腰や肩に大きな負担がかかります。慢性的な腰痛、肩こりを招きますので、リュックは両肩に背負いましょう!
次に紹介するのは、腰痛予防のための理想の姿勢を目指すための簡単エクササイズです。起床時、仕事や家事の前、休憩中、お風呂上がりに効果的ですよ。
理想の姿勢を目指す!背伸びストレッチ
エクササイズの方法
- 両手を組み、手のひらを天井に伸ばします。【姿勢が整います】
- 自然呼吸を行い、5秒間静止します
- 両手をゆっくり「体の真横」から下ろします。
回数:3〜5回
理想の姿勢を目指す!ドローイン(座りながら腹筋)
主に鍛える筋肉: 腹横筋
期待できる効果: 腰痛予防、体幹力アップ、お腹の引き締め
エクササイズの方法
- 背中を伸ばし、両手をお腹に添えます。
- 腹筋に力を入れて、お腹を凹ませます。
- お腹を凹ませた状態で、息を吐きます。(3秒間)
- お腹を凹ませた状態で、息を吸います。(3秒間)
回数:10回
3 腰痛ストレッチ 筋肉の緊張緩和
硬くなっている腰まわりの筋肉を柔軟に保つためには、腰痛ストレッチが効果的です。硬くなった筋肉を放置したままですと、腰痛が起こる頻度が増える、運動不足になり太りやすい体質になります。早期に取り組みたいのが、腰痛ストレッチです。腰痛ストレッチを習慣化すると、腰痛改善が加速します。
お布団の上でできる!腰痛ストレッチ「膝抱えストレッチ」
期待できる効果: 腰痛予防、お尻の柔軟性向上
エクササイズの方法
- 両膝を曲げて、仰向けになります。
- 両膝をあげて、両手で膝を抱え込みます
- 自然呼吸で30秒間静止します。
- 脚を下ろすときは、足の裏を床につけます。
セット数:1〜3セット
注意点:膝を抱えたとき、肘が開かないようにします。
座っていることが多い人にお勧め!股関節を伸ばす腰痛ストレッチ(腸腰筋)
主に伸ばす筋肉: 腸腰筋
期待できる効果: 腰痛予防、股関節の柔軟性アップ、歩幅アップ
エクササイズの方法
- 脚を前後に開きます。(膝の保護として、ひざの下にタオルを敷くと安全です)
- 後ろ脚になっている側の手で、お尻に触れます。
- お尻を前方に移動させて、股関節を伸ばします
- 自然呼吸で30秒間静止します。
- 反対側の脚も同様に行います。
注意点:腰を反ったり、丸くならないようにしましょう。
お腹が気になる方にも最適!ウエスト伸ばし腰痛ストレッチ
期待できる効果: 腰痛予防 肩こり解消 身体の歪み解消
エクササイズの方法
- 背中を伸ばして椅子に座ります(立った状態でも大丈夫です)
- 右手を天井に真っ直ぐに伸ばします。
- 上体を左側に倒しウエストまわりを伸ばします。
- 自然呼吸で30秒間静止します。
- 反対側も同様に行います。
注意点:腰が丸くならないようにしましょう。
スポーツ選手にも人気!腰痛ストレッチの定番「イチロー股関節ストレッチ」
主に伸ばす筋肉: 腰方形筋 脊柱起立筋 内腹斜筋 外腹斜筋 内転筋
期待できる効果: 腰痛予防 身体の歪み解消 スポーツパフォマンスアップ
エクササイズの方法
- 背中を伸ばして椅子に座ります(立った状態でも大丈夫です)
- 両手を膝の内側に当て、肩を前方に移動し、体を捻ります。
- 目線は斜め後方にして、腰、背中、お腹まわりを伸ばします。
- 自然呼吸で30秒間静止します。
- 反対側も同様に行います。
注意点:腰が丸くならないようにしましょう。
4 筋トレ(腰痛予防エクササイズ)
腰をサポートする体幹(腹筋や背筋など)、下半身の筋力アップで、腰痛を予防します。特に鍛えておきたいのは体幹のインナーマッスルで、腰椎(腰の背骨)を安定させ、理想の姿勢に導きます。また、体幹のインナーマッスルの1つである腹筋の「腹横筋(ふくおうきん)」を鍛えることで、お腹を凹ませる、階段の上り下りやスポーツのパフォーマンスアップに効果的です。
腰痛予防に効果的な代表的な筋肉
体幹(腹横筋 多裂筋 外腹斜筋 内腹斜筋 腹直筋 脊柱起立筋) お尻(大臀筋 中臀筋) 太もも(大腿四頭筋 ハムストリングス)
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腰痛対策に必要な体幹インナーマッスルをバランスよく鍛える!ハンドニー
期待できる効果: 腰痛予防 体幹の強化 良い姿勢の獲得
エクササイズの方法
- 四つん這いになり、腹筋に力を入れます。
- 右手と左足を対角線上にあげて、自然呼吸で30秒間静止します。
- 反対側も同様に行います。
注意点:体が回転したり、姿勢が保持できない場合、再度やり直しましょう。
お尻の引き締めにも効果的!優しく腰を強化する「ヒップリフト」
主に強化する筋肉: 多裂筋 脊柱起立筋 大臀筋 ハムストリングス
期待できる効果: 腰痛予防 腰まわりの強化 ヒップアップ
エクササイズの方法
- 両膝を曲げて、仰向けになります。(お腹にも力を入れます)
- 息を吐きながら、お尻を床から持ち上げます。
- 息を吸いながら、お尻を下げます。【お尻を床につけないようにします】
- 2〜3を繰り返します
回数: 15〜20回
注意点:体が回転したり、姿勢が保持できない場合、再度やり直しましょう。
期待できる効果: 腰痛予防 ヒップアップ 脚力アップ スポーツパフォーマンスアップ
エクササイズの方法
- 両脚を肩幅より広く開き、つま先はやや外側に向けます。
- 息を吸いながら、しゃがみます。
- 息を吐きながら、立ち上がります。
- 2〜3を繰り返します
回数: 15〜20回
注意点:しゃがんだ時に膝がつま先より前方に突き出したり、膝が内側(ニーイン)や外側(ニーアウト)に移動しないようにします。
腰の痛みが過去の話に!お客様たちの声から明らかになった、腹筋トレーニングの効果をご紹介します!
5 休養、疲労回復に努める
腰には日々疲労が蓄積されています。疲労の蓄積は、腰痛を引き起こし、腰痛の慢性化から抜け出せないことがあります。腰痛改善には積極的な休養、疲労回復が効果的です。
積極的な入浴で腰の疲労回復を加速!湯船に浸かる毎日入浴
湯船に浸かるだけで、「猛烈な血行促進、全身マッサージ効果、全身の緊張をほぐす」の入浴の3大メリット(温熱 静水圧 浮力)が得られます。腰痛の緩和されるだけでなく、肩こり解消、脳卒中や心筋梗塞のリスク低減、ストレス解消、足のむくみ解消などの効果が期待できます。
睡眠時間を確保する
睡眠時間と腰痛は密接な関係があります。睡眠不足は、筋肉や組織の修復が不足し、腰部に負担がかかる可能性があります。また、睡眠不足は炎症の増加や免疫力の低下にもつながり、これらが腰痛を悪化させる要因となることも考えられます。腰痛の改善には、少なくとも毎日6時間以上の睡眠の確保が必要です。
ストレス解消に努める
過剰な精神的なストレスは、交感神経を高め、筋肉の緊張を増加させる要因となります。特に腰部の筋肉は、この緊張に影響を受けやすい部位です。また、過剰なストレスは血管が縮こまり(収縮)、血液の循環が悪化する可能性もあります。血液の悪循環は、酸素や栄養素の供給が減少し、腰部の組織にダメージが蓄積しやすくなります。これらのことから、長期間の精神的なストレスは、筋肉の疲労蓄積、腰への負担も増し、腰痛のリスクを高めます。
効果的なストレス解消には、瞑想や深呼吸、適度なエクササイズ、趣味、社交的な活動、笑い、自然に触れ合うなどがあります。自分に合ったアプローチで行うことが良いでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか? 腰痛は「仕事や家事を休む」「外出できない」「お子さんやお孫さんの世話ができない」など、日常生活に大きな影響を及ぼすことがあります。そうならないためには、腰痛の原因や症状を理解し、最適な対処法を実践することが必要になります。
腰痛が緩和する流れとしては、「あれっ?腰が気にならなくなった。」と徐々に痛みが緩和します。腰痛対策法である、理想の姿勢をマスター、腰痛ストレッチ、筋トレ(腰痛エクササイズ)、休養を習慣化しましょう。また、医師の診断やアドバイスも重要です。
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また、本格的にフィットネスによる腰痛対策を始めたいとお考えの方は、40代からシニア世代の方に特化したパーソナルトレーニングどこでもフィットもご検討くださいませ。
この記事を書いた人
小林素明 (城好きパーソナルトレーナー)
テレビ番組「ちちんぷいぷい」「大阪ほんわかテレビ」「ten」などに多数出演し、メディアからも注目されるパーソナルトレーナー。30年以上の指導経験と健康運動指導士の資格を有し、1万レッスンを超えるパーソナルトレーニング指導の実績。特に40代からシニア世代向けの「加齢に負けない」トレーニングに定評があり、親切で丁寧な指導が評価されている。
医療機関との連携を通じて、安全で効果的なトレーニング法を研究し、病院や企業での腰痛予防に関する講演では受講者の98%から「分かりやすかった」と高評価を得る。また、パーソナルトレーナー養成講座の講師としても豊富な実績を誇り、多くのトレーナーの育成に貢献しています。