外腹斜筋・内腹斜筋【体幹】 外腹斜筋・内腹斜筋の解剖学、効果的に鍛える筋トレ法、柔軟ストレッチの方法 YouTube動画あり

腹斜筋(腹筋)/外腹斜筋、内腹斜筋

大阪のパーソナルトレーナー小林素明です。

わき腹(お腹の横)には、外腹斜筋と内腹斜筋の2つの筋肉があり、外腹斜筋は表層、内腹斜筋は深層(インナーマッスル)の筋肉です。また腹直筋腹横筋とともに腹筋群を構成しています。

外腹斜筋と内腹斜筋は、体を捻る(回旋)、体を横に傾ける(側屈)、体幹を丸める(屈曲)という作用をして、お腹を締め付けるコルセット的な働きを行います。そのことは、体幹を安定させる筋肉としての役割で姿勢の保持、腰痛や膝痛の予防に有効な筋肉と言えます。

では、外腹斜筋と内腹斜筋はどんな筋肉? 鍛えるメリットは何か? 安全で効果的に鍛える方法は?を順番に話します。

目次

外腹斜筋と内腹斜筋とはどんな筋肉なの?

外腹斜筋(がいふくしゃきん)

外腹斜筋の解剖図(腹筋)

外腹斜筋の詳細

筋肉の起始第5〜12肋骨の下部肋骨
筋肉の停止腸骨稜の前半分、恥骨、腹部腱膜
神経支配肋間神経
主な筋肉の働き(作用) 体幹の回旋(反対側)、体幹の屈曲、体幹の側屈

内腹斜筋(ないふくしゃきん)

内腹斜筋の解剖図(腹筋、体幹)

内腹斜筋の詳細

筋肉の起始鼠径靭帯、腸骨稜、胸腰筋膜
筋肉の停止第10〜12肋骨、腹部腱膜
神経支配肋間神経
主な筋肉の働き(作用)体幹の回旋(同側側)、体幹の屈曲、体幹の側屈
備考腹圧、胸腰筋膜(腰椎の剛性など)の緊張調整にも関与している。

外腹斜筋、内腹斜筋の関係性

外腹斜筋と内腹斜筋(反対側)は腹直筋鞘を介して筋膜によって繋がっていて、協同的に働くことによって体幹の安定性を高めています。体をねじる動作をイメージしてもらうと分かりやすいです。

主なの働き(作用)


外腹斜筋、内腹斜筋の主な働き
・体幹を回旋させること(内腹斜筋=同側側、外腹斜筋=反対側)
・体幹を屈曲させること(体を曲げる)
・体を側屈させること(体を横に倒す)
・呼吸運動(肋間筋とともに)

では次に外腹斜筋と内腹斜筋の筋トレで鍛えるメリット、鍛え方を紹介します。

外腹斜筋と内腹斜筋を鍛えるメリット

1 体のブレを少なくできる
2 体幹の回旋運動に強くなる
3 内臓を安定させることができる

1 体のブレを少なくできる

腹斜筋は、体の真横をがっちりとサポートしている筋肉で、動作中の体幹の揺れを最小限にしてくれます。腹斜筋を鍛えることで、体幹が安定して、速く歩く、走る、階段などで脚の筋肉の負担が減り、動作が楽になります

2 体幹の回旋運動に強くなる


腹斜筋を鍛えることで、体を捻る「スイング動作」が強くなります。例えば、テニス、ゴルフ、野球、陸上の投擲などのスイング動作をサポートし、スポーツのパフォーマンスアップに貢献します。

3 内臓を安定させることができる

腹斜筋は、わき腹にお腹の横を覆うようについており、内臓をお腹の横から支える役割をしています。腹斜筋を鍛えることで、内臓の下垂を防ぎ、内臓の働きが活発となり、疲れにくい体をつくります。また、腹斜筋を鍛えることで、わき腹を引き締めカッコいい体づくりができます。

では、次に気になるセルフ筋力テスト「外腹斜筋、内腹斜筋の筋力バランスチェック」を行なってみましょう!

筋力バランスチェック「腹斜筋」



方法:
1 四つん這いになり、手と足を対角線上に床と水平に上げます。
2 反対側の手と足も実施します。

評価:
◯  手足、体がまっすぐ、10秒間以上水平に保つことができる【写真上】
 水平に保つことができず、体が回転する= 腹斜筋の低下【写真下】

次は腹斜筋のセルフ筋力テストにも挑戦してみましょう!

筋力テスト 腹斜筋(外腹斜筋、内腹斜筋)

腹斜筋の筋力測定の方法

方法:

  1. 仰向けになり両手を胸の前で組みます
  2. 体を捻りながら、状態をしっかりと起こします。
  3. 反対側にも同様に体を捻ります

評価:
◯  体が捻れて、床から背中が浮いている【写真上から2つ目】
 足が上がっている、背中が床についている【写真下から1つ目、2つ目】

動画も用意しました!

なぜ外腹斜筋を鍛えるべきか? 肋骨の角度と腰痛の関係


やや専門的になりますが、肋骨は、体の中心線から左右に35〜45度の範囲(左右合わせて90度)で開いています。

しかし、左右のいずれか(もしくは両方)が

  • 50度を超えている場合、外腹斜筋が弱っている
  • 30度以下の場合には、外腹斜筋が硬くなっている

ということが推測されます。

右側の外腹斜筋が弱っている場合、右方向(弱っている外腹斜筋の方向)へ体を捻ると、体幹でのブレーキがかかり難いため、腰が捻られすぎる→腰椎に大きな負担がかかる→腰痛になる、という腰痛パターンに入ります。何度も腰痛を繰り返す方の場合は、このパターンに入っている可能性があります

体幹トレーニングでは、弱くなっている筋肉が引き起こす怪我に着目し、自分自身のトレーニングメニューとして行うことが理想です。

参考)この肋骨の角度は、医療機関(理学療法士)で専門的に測定する必要があります。しかし、正面から体を見た時に左右のどちらかの肋骨が上方に上がっている場合、肋骨の開きの左右差が一目で分かります。

では、どのようにすれば外腹斜筋、内腹斜筋が鍛えられるのか?「自宅でできる外腹斜筋、内腹斜筋を効果的に鍛える方法」を紹介します。

自宅でできる!外腹斜筋、内腹斜筋を効果的に鍛える方法

筋力トレーニングの注意点 自然呼吸を行いましょう 正しい姿勢を保ち大きな動作で行います 鍛えている筋肉を意識しましょう 関節に痛みを感じたときは中止しましょう 水分補給を行いましょう あと1回の余裕ある回数で終了しましょう
筋力トレーニングの活用法 食後1時間以上空けて、体調の良い時に行います 週3回を目安に行いましょう 特に鍛えたい種目は2セット行いましょう 疲労回復のため湯船に浸かり睡眠を取りましょう 規則正しい食事を取りましょう


<筋トレを効果的に行うために>
15回前後で限界 がくるような種目は筋力アップに効果的(ギリギリ限界はNG)
・20回以上できるようになれば、レベルアップします。
フォームが崩れたり、違うフォームはNG
・まずは気に入った1〜2種目を中心に行いましょう

<ご注意>
エクササイズは無理なくできる範囲で行ってください。運動中に痛みを感じる場合は、医療機関での受診をお勧めします。なお、自己責任での実施をお願いします。

1 ツイストクランチ【やさしい】


鍛える筋肉: 外腹斜筋、内腹斜筋
運動方法:

  1. 仰向けになり、両ひざを曲げておきます
  2. 息を吐きながら、体を「左」にねじり右手を伸ばします
  3. 息を吸いながら、元の位置に戻ります
  4. 息を吐きながら、体を「右」にねじり左手を伸ばします
  5. 息を吸いながら、元の位置に戻ります
  6. 左右交互に繰り返します

回数: 左右10回ずつ

2 サルサプランク【やさしいが効く】


鍛える筋肉: 外腹斜筋、内腹斜筋
運動方法:

  1. 両ひじを床につけて、爪先立ちになります
  2. 自然呼吸を行いながら、お尻を左右に動かします(腹斜筋に効きます)
  3. 左右交互に繰り返します

回数: 15往復
ポイント: お尻を左右に動かすと同時に、腹斜筋を意識しましょう

3 ロシアンツイスト【ややきつめ】

鍛える筋肉: 外腹斜筋、内腹斜筋
運動方法:

  1. お尻を床につけて、手でボールを持ちます。(タオルでも可)
  2. 足を床から浮かせて、自然呼吸で体を捻ります
  3. 左右交互に繰り返します

回数: 15往復
ポイント: 腹斜筋を意識しましょう

4 レッグツイスト【ややきつめ】


鍛える筋肉: 外腹斜筋、内腹斜筋
運動方法:

  1. 仰向けになり、ゆっくり両足を上げます
  2. 体を保持しながら、自然呼吸で左右に足を動かします
  3. 目線は天井に向けておきます

回数: 15往復
ポイント: 腰を反らさないように、腹筋に力を入れておきます

5 プランクヒールタッチ【かなりきつめ】


鍛える筋肉: 外腹斜筋、内腹斜筋
運動方法:

  1. 両手を床につき、爪先立ちになります
  2. 息を吐きながら、右手で左足のかかとにタッチします(膝でも可)
  3. 息を吸いながら、元の位置に戻ります
  4. 息を吐きながら、左手で右足のかかとにタッチします(膝でも可)
  5. 息を吸いながら、元の位置に戻ります
  6. 左右交互に行います

回数: 左右10回ずつ
ポイント: 常に腹筋に力を入れておきましょう

きつい場合は・・・

膝にタッチに変更でも可です。慣れてきたら、かかとタッチにレベルアップしてみましょう!

6 ツイストランジ【きつめ】


鍛える筋肉: 外腹斜筋、内腹斜筋、大臀筋大腿四頭筋ハムストリングス
運動方法:

  1. 足を前後に開き、胸の前で両手を組みます
  2. 息を吸いながら、お尻を下げながら、前足の方向に体を捻ります
  3. 息を吐きながら、元の位置に戻ります
  4. 2〜3を繰り返します
  5. 足を前後入れ替えて、同様に行います

回数: 15回
ポイント: しゃがむと同時に体を捻ると効果的です。

紹介したエクササイズの方法は動画で学ぶことができます。ぜひご覧くださいね!

【動画】自宅でできる外腹斜筋、内腹斜筋を鍛えるエクササイズ

では、次に外腹斜筋、内腹斜筋が硬い人の特徴、柔軟にするストレッチ法を紹介します。

外腹斜筋、内腹斜筋が硬くなっている人の特徴とは?


外腹斜筋、内腹斜筋の腹筋が硬くなりやすい例として、長時間座っていることが多い、背中が丸くなっている姿勢になっていることです。

これは、背中が丸くなると肋骨と骨盤の距離が近づき、腹斜筋に緊張が強いられ筋肉が縮こまってしまうからです。背中が丸くなった姿勢は、腰の骨(腰椎)に負担がかかり腰痛の危険性が高くなります


さらに、座っているときに体が捻れていると、片側の腹斜筋の緊張は増し、体が捻れる姿勢が習慣になります。これも腰痛の原因となります。

また腹斜筋は呼吸のサポートもしているため、腹斜筋が硬くなることで正しい呼吸を阻害してしまいます。

【参考】体の歪みと関係のある中臀筋とは?

外腹斜筋、内腹斜筋を柔軟にする3つのメリットとは?

  1. 背中が丸くなる姿勢を解消し、腰痛を予防する
  2. 体のねじれ解消になる
  3. 呼吸がしやすくなる

硬くなった外腹斜筋、内腹斜筋を柔軟にすることで、体が後方へ反りやすくなり、丸くなった姿勢を改善します。同時に片側に捻れた体の捻れを解消へと導きます。そして良い姿勢になります。

さらには、肋骨の位置が正常化(下がっていたのが上がる)されることで、呼吸がしやすくなり、脳の活性化、運動が楽になります。

では、どのようにすれば外腹斜筋、内腹斜筋が柔軟になるのか? 外腹斜筋、内腹斜筋を柔軟にするストレッチを紹介します。

自宅でできる外腹斜筋、内腹斜筋を柔軟にするストレッチ法

体を柔軟にするストレッチを安全かつ効果的に行うために

ストレッチ体操の注意点 自然呼吸を行いましょう 痛みのない範囲で行いましょう 伸びている筋肉を意識しましょう 正しい姿勢で行いましょう 30秒間を目安に伸ばしましょう 静かな場所で行いましょう

1 膝倒しストレッチ


伸ばす筋肉: 腹斜筋
運動方法:

  1. 仰向けになり、両膝を曲げておきます
  2. 両膝を右側に倒し、左の腹斜筋を伸ばします
  3. 自然呼吸で30秒間静止します
  4. 反対側も同様に行います

ポイント: 目線は天井に向けておきます

2 くの字・猫ストレッチ


伸ばす筋肉: 腹斜筋
運動方法:

  1. 両膝を床につき、両手を斜めに伸ばします
  2. お尻を下げて、背中、腹斜筋を伸ばします
  3. 自然呼吸で30秒間静止します
  4. 反対側も同様に行います

ポイント: 両手をやや遠目に伸ばすことがコツです

3 くの字ストレッチ


伸ばす筋肉: 腹斜筋
運動方法:

  1. 体を横に向けて、上になった足を曲げて、手で体を支えます
  2. 下になったわき腹が伸びるように、体をくの字にします
  3. 自然呼吸で30秒間静止します
  4. 反対側も同様に行います

ポイント: 体を真っ直ぐにすることがコツです

4 バランスボールくの字ストレッチ


伸ばす筋肉: 腹斜筋
運動方法:

  1. バランスボールを脇に抱えるようにして、体を横にします
  2. 体を安定させるため、上の足を後方、下の足を前方にします
  3. 自然呼吸で30秒間静止します
  4. 反対側も同様に行います

ポイント: 体を真っ直ぐにすることがコツです

5 椅子で体捻りストレッチ


伸ばす筋肉: 腹斜筋、脊柱起立筋
運動方法:

  1. 椅子に座り、体を捻ります
  2. 自然呼吸で30秒間静止します
  3. 反対側も同様に行います

ポイント: 体を真っ直ぐにしてから体を捻ると効果的です

うつ伏せ体捻り腹斜筋ストレッチ

伸ばす筋肉:外腹斜筋、内腹斜筋

ストレッチの方法:

  1. うつ伏せになります(上の写真)
  2. 体を捻りながら、片手をゆっくり伸ばします(下の写真)
  3. 自然呼吸で20秒間静止します

紹介したストレッチの方法は動画で学ぶことができます。ぜひご覧くださいね!

【動画】自宅でできる外腹斜筋、内腹斜筋を柔軟にするストレッチの方法

まとめ 外腹斜筋・内腹斜筋のしくみと効果的な筋トレ、柔軟ストレッチの方法

腹斜筋(腹筋)/外腹斜筋、内腹斜筋

いかがでしたでしょうか? 外腹斜筋・内腹斜筋は、腹直筋腹横筋とともに腹筋を構成しています。この外腹斜筋・内腹斜筋の筋力のバランスの崩れが原因で、腰痛を起こしたり、運動が苦手になっている方をパーソナルの運動指導で拝見することがあります。

この筋肉のバランスは先ほど紹介した腹斜筋セルフチェック法で簡単に発見できます。腹筋の力が弱っていることを自覚できることが少ないですので、ぜひチェックしてみてくださいね。

そして、外腹斜筋・内腹斜筋の硬さは体の歪み、腰痛、肩こりなどを引き起こし、体に慢性的な不具合が生じます。その硬さの原因が、座り姿勢に問題がある可能性が高いのです。ですから外腹斜筋・内腹斜筋を柔軟にするストレッチはもちろんのこと、座る時間が長い場合には、1時間ごとに椅子から立ち上がることを習慣にすることをお勧めします。

また、腹直筋腸腰筋のストレッチも一緒に行うとさらに効果がアップします!

この記事を書いた人

パーソナルトレーナー小林素明

小林素明

健康運動指導士 米国ハワイ州立大学医学部人体解剖学実習修了 介護予防運動トレーナー マッスルコンディショナー 日本臨床運動療法学会会員

【経歴】 運動指導歴30年超、テレビ出演多数、延べ1万人超のパーソナルトレーニング指導実績、YouTube登録者数1万人超。医療機関との連携も図り、安全かつ効果的なトレーニング法を研究。

フィットネスクラブ、温浴施設に17年間勤務後、株式会社ウェルネス&スマイルを起業。大阪市阿倍野区にパーソナルトレーニングどこでもフィットを開業し、「加齢に負けない筋肉づくり」「日常生活・スポーツ動作のパフォーマンスアップ」を得意とし、80歳代の方までトレーニング指導にあたる。病院をはじめとする医療機関、教育機関、不動産会社などで講演・講師活動。パーソナルトレーナー指導者養成講座の講師も務める。

【テレビ出演】 毎日放送「ちちんぷいぷい」/朝日放送テレビ「キャスト-CAST-」/読売テレビ「ten.」/テレビ朝日「ナニコレ珍百景」/読売テレビ「大阪ほんわかテレビ」/サンテレビ「4時!キャッチ」他

【講演・講師実績】 一般財団法人関西労働保健協会/経済産業省ヘルスケアサービス社会実践事業「医療運動マッチング対応トレーナー育成講習会」/徳島県教育委員会 /箕面市立病院/日本臨床運動療法学会(第36回)/ファインレジデンス枚方香里園(京阪電鉄不動産)特別講師/SSK /八尾市教育委員会/岸和田市民病院/南河内環境局組合 他多数 (敬称略)

小林素明の詳しいプロフィールはこちら

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