解剖学【腸腰筋/大腰筋、腸骨筋】筋肉のしくみと効果的な筋トレ、ストレッチの方法 ★動画あり
フィットネストレーナーの小林素明です。
腸腰筋(ちょうようきん)は、大腰筋と腸骨筋の2つの筋肉からなっています。上半身と下半身を繋ぐ重要で大きな筋肉で、大腿四頭筋の大腿直筋とともに腿上げを行い、姿勢の変化や体型・スタイルにも影響を及ぼす筋肉です。見逃せないのは大腰筋で、腰椎(腰の背骨)に大きく付いていており、腰痛の原因となりやすい筋肉で知られています。
また、腸腰筋の筋肉の大きさは運動能力と比例し、日本のトップ短距離選手は一般水準の3倍ものサイズがあることが分かっています。さらには転倒予防に必要な筋力としても腸腰筋が挙げられているほど、重要な筋肉として注目されています。
では、この腸腰筋はどんな筋肉なのか? 腸腰筋に不具合(筋肉が弱い、筋肉が硬いの2つ)があるとどうなるのか? 対策方法はどうすれば良いのか?を話します。
目次
腸腰筋(ちょうようきん)とは? 筋肉のしくみ(解剖、起始停止、動き)
腸腰筋とは、大腰筋と腸骨筋の2つの筋肉の総称。
大腰筋(だいようきん)
筋肉の起始: 胸椎12番、腰椎1〜5番
筋肉の停止: 大腿骨の小転子
神経支配: 腰神経叢(L1〜3)
主な筋肉の働き(作用): 大腿の屈曲、大腿の外旋、骨盤の前傾
腸骨筋(ちょうこつきん)
筋肉の起始: 腸骨の内側
筋肉の停止: 大腿骨の小転子
神経支配: 大腿神経(L2、3)
主な筋肉の働き(作用): 大腿の屈曲、大腿の外旋
腸腰筋の主な働き(作用)とは?
腸腰筋は、股関節を屈曲する動作、股関節を外旋させる動作を行います。そのため、腸腰筋が硬い場合、ガニ股歩きになる傾向にあります。また、腸腰筋の大腰筋は骨盤を前方に引っ張る「骨盤の前傾」をする作用があります。この場合、反り腰姿勢が顕著になります。
では、紹介した腸腰筋が弱くなるとどうなるのか?を紹介します。
腸腰筋が弱い人の特徴(腸腰筋が弱くなるとどうなるの?)
腸腰筋が弱くなると
- 足が上がりにくくなる(転倒にもつながる)
- 歩行や階段が辛くなる
- 体の軸がブレる(不安定)
になります。
1 足が上がりにくくなる
腸腰筋は、太ももをあげるときに使われる強力な筋肉です。運動不足や老化などで筋肉が弱ると、足が上がりにくくなり、歩いているときに躓くことが多くなります。場合によっては、転倒する恐れがあるのです。
2 歩行や階段が辛くなる
先程述べましたように、腸腰筋は足をあげる筋肉です。足が上がりにくいことで、歩いている時の歩幅が狭くなります。また、階段を上る時に、腸腰筋が衰えていると、上半身や太ももの筋肉に負担がかかり、体が不安定になり体力の消耗が激しくなります。
3 体の軸がブレる(不安定)
腸腰筋は、体幹から太ももに付いている筋肉で、背骨〜骨盤〜大腿と体の軸を固定させる役割があります。筋肉が弱ることで、体の軸がブレて、体を動かすことで腰や股関節の関節に負担が増えて、関節の痛みの原因となります。また、体を保持する力が弱くなるため、良い姿勢を保つことが難しくなります。
では、次に腸腰筋が衰えないようにするための「自宅でできる腸腰筋を効果的に鍛える方法」を紹介します。
自宅でできる!腸腰筋を効果的に鍛える方法
<筋トレを効果的に行うために>
・15回前後で限界 がくるような種目は筋力アップに効果的(ギリギリ限界はNG)
・20回以上できるようになれば、レベルアップします。
・フォームが崩れたり、違うフォームはNG
1 壁でニーアップ(腿上げ)トレーニング 【やさしい】
鍛える筋肉: 腸腰筋
運動方法:
- 背筋を伸ばして、体を斜めにして壁に手を当てます
- 息を吐きながら、高く腿上げを行います
- 息を吸いながら、元の位置に戻ります
- 左右交互に行います
ポイント: 常に姿勢はまっすぐのままです
回数: 左右15回ずつ
2 腕立てニーアップ 【やさしめ】
鍛える筋肉: 腸腰筋、腹筋
運動方法:
- 両手を床につけて、爪先立ちになり背筋を伸ばします。
- 片足づつ腿上げを行います。
- 動作中、体がブレないように腹筋に力を入れます。
- 左右交互に行います
ポイント: 常に姿勢はまっすぐのままです
回数: 左右15回ずつ
3 クロスクランチ&ニーアップ【ややきつめ】
鍛える筋肉: 腸腰筋、腹斜筋
運動方法:
- 仰向けになり、両手を頭の横に添えておきます
- 息を吐きながら、体を捻りながら太ももを上げ、肘と膝を近づけます(腸腰筋、腹筋に力が入ります)
- 息を吸いながら、元の位置に戻ります
- 左右交互に行います
ポイント: 動作はゆっくりと行います
回数: 左右15回ずつ
4 フロア・レッグレイズ 【きつめ】
鍛える筋肉: 腸腰筋、腹直筋
運動方法:
- 両手を床につけて、両膝の間にタオルを挟みます(タオルなしでも可)
- 両膝を体に寄せておきます(上の写真)
- 息を吸いながら、ゆっくりと足を伸ばします
- 息を吐きながら、膝を引き寄せます
- 3〜4を繰り返します
ポイント: 動作はゆっくりと行います
回数: 15回
5 ニーアップ&キャッチ【きつめ、難しい】
鍛える筋肉: 腸腰筋、大臀筋、大腿四頭筋、ハムストリングス
運動方法:
- 背筋を伸ばして、左足を両手で持ちます
- 息を吸いながら、左足を後方へ伸ばし、足を前後に開きます
- 息を吐きながら、「1」に位置に戻ります
- 体のバランスを保ちながら、「2」〜「3」を繰り返します
- 反対の右足も同様に行います
ポイント: 常に姿勢はまっすぐのままです
回数: 左右10回ずつ
6 バックランジ&ニーアップ【かなりきつめ、難しい】
鍛える筋肉: 腸腰筋、大臀筋、大腿四頭筋、ハムストリングス
運動方法:
- 息を吸いながら、腕を振りながら足を前後に開きます(バックランジ) ※写真上
- 息を吐きながら、高く腿上げを行います
- 同じ足で1〜2を繰り返します
- 反対側の足も同様に行います
ポイント: 足を開いた時、腿を上げたときは静止します(効きます)
回数: 左右15回ずつ
紹介した腸腰筋エクササイズの動画も用意しました。ぜひともご覧くださいね!
【動画】自宅でできる!腸腰筋を効果的に鍛える方法
1番目のエクササイズ
2〜4番目のエクササイズ
5〜6番目のエクササイズ
では、次に腰痛にも関係が深い、腸腰筋が硬くなっている人の特徴と対策法を紹介します。
腸腰筋が硬くなっている人の特徴(腸腰筋が硬くなるとどうなるの?)
1 反り腰になる 腰痛に
腸腰筋が硬くなることで、腰椎(腰の背骨)が引っ張られて、反り腰姿勢になります。この反り腰姿勢は、日常生活やスポーツで常に腰に負担をかかり、腰痛になります。「歩いているだけで腰が痛くなる」という方は要注意で、この反り腰姿勢になっている可能性があります。
2 お尻が垂れやすくなる
腸腰筋は、お尻の大臀筋と反対の動きをする「拮抗関係」にあります。腸腰筋が硬くなることで、大臀筋の筋肉の可動域が狭くなり(動く範囲が狭くなる)、自然に大臀筋が弱ります。大臀筋が弱ると、足で蹴る力が低下し、お尻が垂れてくることになります。
ポイントとしては、効果的な大臀筋のトレーニングには、腸腰筋を柔軟にしておくことです。
3 足が動かしにくくなる
日常やスポーツで欠かせない「歩く、走る動作」は、足を前後、左右交互。腸腰筋が硬くなっている場合には、反り腰姿勢で足を前後に大きく動かしにくいです。また、足をあげる時に足が外側に向く「ガニ股」になります。いずれも、歩幅やストライドが狭くなる傾向にあり、体力の消耗が著しくなります。
4 座っていることが多いと腸腰筋が硬くなりやすい
デスクワークの方に多いのが、腸腰筋の硬さ。なぜならば、座り姿勢は、腸腰筋が踏ん張っている状態になり、腸腰筋が硬くなりやすいのです。慢性的な腸腰筋の硬さは、腰痛へと繋がります。
では、果たして自分は腸腰筋が硬いのか?をセルフチェックできる方法を紹介します。
腸腰筋の硬さのセルフチェック
チェック方法
- 仰向けになり、片足を両手で抱えます。【上の写真】
- 下の写真のように、反対側の足が床から浮くようであれば、腸腰筋が硬くなっていることが推測されます。
では、次に腸腰筋の硬さを緩和する!自宅でできる腸腰筋を柔軟にするストレッチ法を紹介します。
自宅でできる!腸腰筋を柔軟にするストレッチ法
体を柔軟にするストレッチを安全かつ効果的に行うために
- 1ポーズに30秒間静止が基本です。(動かすストレッチの場合は動作はゆっくり)
- 特に硬いと感じる筋肉には2セット実施(30秒間×2回)をお勧めします
- ポーズを取っている間は自然呼吸を実施します
- 痛みを伴わない程度に体を伸ばします
- お風呂上がりに行うと効果抜群です
1 腸腰筋ストレッチ スタンダード
伸ばす筋肉: 腸腰筋
運動方法:
- 足を前後に開きます
- 両手をお尻に添えて、お尻を中心に体をやや前方へ移動します
- 後ろ足の太ももの付け根(腸腰筋)が伸びてきます
- 自然呼吸で30秒間静止します
- 反対側の足も同様に行います
2 腸腰筋ストレッチ 【ややきつめ】
伸ばす筋肉: 腸腰筋
運動方法:
- 足を前後に開きます
- 両手をお尻に添えて、お尻を中心に体をやや前方へ移動します
- 後ろ足の太ももの付け根(腸腰筋)が伸びてきます
- 両手を上にあげて、体を斜め方向に倒します(前足になっている側へ)
- 自然呼吸で30秒間静止します
- 反対側の足も同様に行います
腸腰筋を伸ばすストレッチをしっかりマスターできる動画を用意しました。ぜひともご覧くださいませ!
【動画】腸腰筋を柔軟にするストレッチ法
まとめ【腸腰筋】筋肉のしくみと効果的な筋トレ、ストレッチの方法
いかがでしたでしょうか? 腸腰筋は上半身と下半身を繋ぐ大きく、体の軸を安定させる筋肉です。また姿勢、歩き方にも影響を与えて、腰痛の原因にもなります。歩いている時の躓きの原因として、あげられるのは「腸腰筋の衰え」です。腸腰筋は鍛えておきたい筋肉として知られていますので、しっかりエクササイズをしておきたいですね。
そのため、腸腰筋と拮抗関係にある大臀筋も見逃せません。また大腿四頭筋の大腿直筋、ハムストリングスも腸腰筋と同じく、骨盤のバランスを取っている筋肉です。余裕があればご覧くださいね。
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