【腸腰筋】の分かりやすい解剖と腸腰筋を効果的に鍛える筋トレ、腸腰筋を柔軟にするストレッチ法 YouTube動画あり

腸腰筋(股関節)

大阪のパーソナルトレーナーの小林素明です。

腸腰筋(ちょうようきん)は、大腰筋と腸骨筋の2つの筋肉から構成されている股関節の筋肉。上半身と下半身を繋ぐ重要な筋肉で、大腿四頭筋の大腿直筋とともに腿上げを行い、姿勢の変化や体型・スタイルにも影響を及ぼす筋肉です。腸腰筋は、登り坂でのランニング、階段昇り、車に乗る時に大きく貢献します。

腸腰筋が弱るとつまづきやすくなり、転倒の危険性が高くなります。見逃せないのは大腰筋で、腰椎(腰の背骨)と太ももの骨(大腿骨)に大きく付いていており、腰痛の原因となりやすい筋肉。

 

また、腸腰筋の筋肉の大きさは運動能力と比例し、日本のトップ短距離選手は一般水準の3倍ものサイズがあることが分かっています。さらには転倒予防に必要な筋力としても腸腰筋が挙げられているほど、重要な筋肉として注目されています。

 
では、この腸腰筋はどんな筋肉なのか? 腸腰筋に不具合(筋肉が弱い、筋肉が硬いの2つ)があるとどうなるのか? 対策方法はどうすれば良いのか?を話します。

目次

腸腰筋(ちょうようきん)とは? 腸腰筋のしくみ(解剖、起始停止、動き)

腸腰筋とは、大腰筋と腸骨筋の2つの筋肉の総称。
 

大腰筋(だいようきん)


筋肉の起始: 胸椎12番、腰椎1〜5番
筋肉の停止: 大腿骨の小転子
神経支配: 腰神経叢(L1〜3)
主な筋肉の働き(作用): 大腿の屈曲、大腿の外旋、骨盤の前傾

腸骨筋(ちょうこつきん)


筋肉の起始: 腸骨の内側
筋肉の停止: 大腿骨の小転子
神経支配: 大腿神経(L2、3)
主な筋肉の働き(作用): 大腿の屈曲、大腿の外旋

腸腰筋の主な働き(作用)とは?


腸腰筋は、股関節を屈曲する動作、股関節を外旋させる動作を行います。そのため、腸腰筋が硬い場合、ガニ股歩きになる傾向にあります。また、腸腰筋の大腰筋は骨盤を前方に引っ張る「骨盤の前傾」をする作用があります。この場合、反り腰姿勢が顕著になります。

腸腰筋は加齢によってどれだけ弱ってしまうのか?

腸腰筋に関する研究データです。若年女性の筋肉の厚みを100とした時、高齢女性の下肢の筋肉の厚みの平均値を調べた日本の研究報告があります。(上のグラフ) 

ふくらはぎのヒラメ筋は筋肉の萎縮が少なく、腸腰筋の大腰筋が著しい萎縮が分かります。大腰筋は、ランニングや速歩で筋活動が活発になります。高齢女性において、ランニングや速歩する機会が減少し、大腰筋の萎縮が著しいと推測されます。

 
では、紹介した腸腰筋が弱くなるとどうなるのか?を紹介します。

腸腰筋が弱い人の特徴(腸腰筋が弱くなるとどうなるの?)


腸腰筋が弱くなると

  1. 足が上がりにくくなる(転倒にもつながる)
  2. 歩行や階段が辛くなる
  3. 体の軸がブレる(不安定)

になります。
 

1  腸腰筋が弱ると「足が上がりにくくなる」

腸腰筋は、太ももをあげるときに使われる強力な筋肉です。運動不足や老化などで筋肉が弱ると、足が上がりにくくなり、歩いているときに躓くことが多くなります。場合によっては、転倒する恐れがあるのです。
 

2 腸腰筋が弱ると「歩行や階段が辛くなる」


先程述べましたように、腸腰筋は足をあげる筋肉です。足が上がりにくいことで、歩いている時の歩幅が狭くなります。また、階段を上る時に、腸腰筋が衰えていると、上半身や太ももの筋肉に負担がかかり、体が不安定になり体力の消耗が激しくなります
 

3 腸腰筋が弱ると「体の軸がブレる(不安定)」


腸腰筋は、体幹から太ももに付いている筋肉で、背骨〜骨盤〜大腿と体の軸を固定させる役割があります。筋肉が弱ることで、体の軸がブレて、体を動かすことで腰や股関節の関節に負担が増えて、関節の痛みの原因となります。また、体を保持する力が弱くなるため、良い姿勢を保つことが難しくなります

腸腰筋の特徴、筋肉の発達のコツとは?

腸腰筋は主に股関節の屈曲に作用し、歩く速度や走る速度を速くすること、股関節の安定化、姿勢を制御する働きを持っています。その腸腰筋の特徴を知ることで筋肉の発達の近道となります。とても重要ですのでお見逃しなく!

歩行速度、走行速度が速くなると腸腰筋が活発になる

研究では、歩行速度が2m/秒(7.2km/h)以上になると腸腰筋の筋活動が活発になることが分かっています。そのことから、歩行では「速歩き」を心がけることで、腸腰筋のトレーニングにもなります。ランニングも同じく、走行速度が速くなるにつれて腸腰筋の筋活動が活発になります。 ※Anderssonらの研究 1997年

歩行中における腸腰筋の筋活動

歩行の周期区分 立脚相、遊脚相

歩行中においての腸腰筋の筋活動は、大きく活動しているのは、遊脚期(足が地面から離れている)後半~立脚期(足が地面に着地)前半。次に立脚期(足が地面に着地)中盤~立脚期後半に増加している。

腸腰筋の速筋線維、遅筋線維の割合から鍛え方を考えると

その腸腰筋は、速筋線維(瞬発性に優れた筋肉)と遅筋繊維(持久性に優れた筋肉)の割合が同等。ですから、瞬発的な動作でトレーニングすること、姿勢を安定させる持久的なトレーニングの両方を実施することが、腸腰筋の発達には効果的です。

 
では、次に腸腰筋が衰えないようにするための「自宅でできる腸腰筋を効果的に鍛える方法」を紹介します。

自宅でできる!腸腰筋を効果的に鍛える方法


<筋トレを効果的に行うために>
15回前後で限界 がくるような種目は筋力アップに効果的(ギリギリ限界はNG)
・20回以上できるようになれば、レベルアップします。
フォームが崩れたり、違うフォームはNG

壁でニーアップ(腿上げ)トレーニング 【基本の腸腰筋トレーニング】



鍛える筋肉: 腸腰筋
運動方法:

  1. 背筋を伸ばして、体を斜めにして壁に手を当てます
  2. 息を吐きながら、高く腿上げを行います
  3. 息を吸いながら、元の位置に戻ります
  4. 左右交互に行います

ポイント: 常に姿勢はまっすぐのままです
回数: 左右15回ずつ

腕立てニーアップ 【やさしめ】


鍛える筋肉: 腸腰筋、腹筋
運動方法:

  1. 両手を床につけて、爪先立ちになり背筋を伸ばします。
  2. 片足づつ腿上げを行います。
  3. 動作中、体がブレないように腹筋に力を入れます。
  4. 左右交互に行います

ポイント: 常に姿勢はまっすぐのままです
回数: 左右15回ずつ

シングルレッグ マウンテンクライマー

腸腰筋筋トレ マウンテン1
腸腰筋筋トレ マウンテン3
腸腰筋筋トレ マウンテン2

鍛える筋肉: 腸腰筋、腹筋
運動方法:

  1. 両手を床につけて、つま先立ちになります。
  2. 1)の姿勢のまま、右足を浮かせます。
  3. 背中を伸ばしたまま、右足を腿上げします
  4. 片足連続で 2)3)を繰り返します
  5. 背中を伸ばしておくことで、体幹、腸腰筋が連動し強化できます
  6. 左足も同様に行います

ポイント: 動作中は体を真っ直ぐにしておき、片足を浮かせたままです。


回数: 左右15回ずつ

超オススメ!腸腰筋の鍛え方「シングルレッグ・マウンテンクライマー」

クロスクランチ&ニーアップ【ややきつめ】



鍛える筋肉: 腸腰筋、腹斜筋
運動方法:

  1. 仰向けになり、両手を頭の横に添えておきます
  2. 息を吐きながら、体を捻りながら太ももを上げ、肘と膝を近づけます(腸腰筋、腹筋に力が入ります)
  3. 息を吸いながら、元の位置に戻ります
  4. 左右交互に行います

ポイント: 動作はゆっくりと行います
回数: 左右15回ずつ

フロア・レッグレイズ 【きつめ】


ポイント:膝の間にブロックを挟むことで、腸腰筋への意識が高くなり、左右の筋力差のズレも解消できる。

鍛える筋肉: 腸腰筋、腹直筋
運動方法:

  1. 両手を床につけて、両膝の間にタオルを挟みます(タオルなしでも可)
  2. 両膝を体に寄せておきます(上の写真)
  3. 息を吸いながら、ゆっくりと足を伸ばします
  4. 息を吐きながら、膝を引き寄せます
  5. 3〜4を繰り返します

ポイント: 動作はゆっくりと行います
回数: 15回

ニーアップ&キャッチ【きつめ、難しい】



鍛える筋肉: 腸腰筋、大臀筋大腿四頭筋ハムストリングス
運動方法:

  1. 背筋を伸ばして、左足を両手で持ちます
  2. 息を吸いながら、左足を後方へ伸ばし、足を前後に開きます
  3. 息を吐きながら、「1」に位置に戻ります
  4. 体のバランスを保ちながら、「2」〜「3」を繰り返します
  5. 反対の右足も同様に行います

ポイント: 常に姿勢はまっすぐのままです
回数: 左右10回ずつ

バックランジ&ニーアップ【かなりきつめ、難しい】



鍛える筋肉: 腸腰筋、大臀筋大腿四頭筋ハムストリングス
運動方法:

  1. 息を吸いながら、腕を振りながら足を前後に開きます(バックランジ) ※写真上
  2. 息を吐きながら、高く腿上げを行います
  3. 同じ足で1〜2を繰り返します
  4. 反対側の足も同様に行います

ポイント: 足を開いた時、腿を上げたときは静止します(効きます)
回数: 左右15回ずつ

速筋線維 腸腰筋トレーニング スキップトレーニング

このトレーニングは素早い動作で数秒間のトレーニングになります。フォームが大変重要になります。


鍛える筋肉: 腸腰筋、大臀筋大腿四頭筋ハムストリングス
運動方法:

  1. 姿勢を真っ直ぐにします
  2. 片足を腿上げしましたら、スグに反対の足を腿上げします
  3. できる範囲で素早く足を入れ替え、前進しながら腿上げを行います

ポイント: 姿勢が崩れた時点で終了してください
回数: 5秒間 3セット

動画をご覧くださいませ。

紹介した腸腰筋エクササイズの動画も用意しました。ぜひともご覧くださいね!

【動画】自宅でできる!腸腰筋を効果的に鍛える方法

1番目のエクササイズ

2〜4番目のエクササイズ

5〜6番目のエクササイズ

 
 
では、次に腰痛にも関係が深い、腸腰筋が硬くなっている人の特徴と対策法を紹介します。

腸腰筋が硬くなっている人の特徴(腸腰筋が硬くなるとどうなるの?)

デスクワークで腸腰筋は硬くなりやすい

長時間座ると硬くなりやすい腸腰筋

長時間座った後に立ちあがろうとすると、腰が突っ張ります。これは長時間座っていると「腸腰筋」は緊張し、腰の骨(腰椎)が引っ張られるからです。そのため、腰がつらくなり、ゆっくり歩行になります。

1 反り腰になる 腰痛に


腸腰筋が硬くなることで、腰椎(腰の背骨)が引っ張られて、反り腰姿勢になります。この反り腰姿勢は、日常生活やスポーツで常に腰に負担をかかり、腰痛になります。「歩いているだけで腰が痛くなる」という方は要注意で、この反り腰姿勢になっている可能性があります。

2 お尻が垂れやすくなる


腸腰筋は、お尻の大臀筋と反対の動きをする「拮抗関係」にあります。腸腰筋が硬くなることで、大臀筋の筋肉の可動域が狭くなり(動く範囲が狭くなる)、自然に大臀筋が弱ります。大臀筋が弱ると、足で蹴る力が低下し、お尻が垂れてくることになります。

ポイントとしては、効果的な大臀筋のトレーニングには、腸腰筋を柔軟にしておくことです。

3 足が動かしにくくなる

日常やスポーツで欠かせない「歩く、走る動作」は、足を前後、左右交互。腸腰筋が硬くなっている場合には、反り腰姿勢で足を前後に大きく動かしにくいです。また、足をあげる時に足が外側に向く「ガニ股」になります。いずれも、歩幅やストライドが狭くなる傾向にあり、体力の消耗が著しくなります。

4 座っていることが多いと腸腰筋が硬くなりやすい


デスクワークの方に多いのが、腸腰筋の硬さ。なぜならば、座り姿勢は、腸腰筋が踏ん張っている状態になり、腸腰筋が硬くなりやすいのです。慢性的な腸腰筋の硬さは、腰痛へと繋がります

 
では、果たして自分は腸腰筋が硬いのか?をセルフチェックできる方法を紹介します。

腸腰筋の硬さのセルフチェック



チェック方法

  1. 仰向けになり、片足を両手で抱えます。【上の写真】
  2. 下の写真のように、反対側の足が床から浮くようであれば、腸腰筋が硬くなっていることが推測されます。

 
では、次に腸腰筋の硬さを緩和する!自宅でできる腸腰筋を柔軟にするストレッチ法を紹介します。

自宅でできる!腸腰筋を柔軟にするストレッチ法

体を柔軟にするストレッチを安全かつ効果的に行うために

  1. 1ポーズに30秒間静止が基本です。(動かすストレッチの場合は動作はゆっくり)
  2. 特に硬いと感じる筋肉には2セット実施(30秒間×2回)をお勧めします
  3. ポーズを取っている間は自然呼吸を実施します
  4. 痛みを伴わない程度に体を伸ばします
  5. お風呂上がりに行うと効果抜群です

1 腸腰筋ストレッチ スタンダード


伸ばす筋肉: 腸腰筋
運動方法:

  1. 足を前後に開きます
  2. 両手をお尻に添えて、お尻を中心に体をやや前方へ移動します
  3. 後ろ足の太ももの付け根(腸腰筋)が伸びてきます
  4. 自然呼吸で30秒間静止します
  5. 反対側の足も同様に行います

2 腸腰筋ストレッチ 【ややきつめ】


伸ばす筋肉: 腸腰筋
運動方法:

  1. 足を前後に開きます
  2. 両手をお尻に添えて、お尻を中心に体をやや前方へ移動します
  3. 後ろ足の太ももの付け根(腸腰筋)が伸びてきます
  4. 両手を上にあげて、体を斜め方向に倒します(前足になっている側へ)
  5. 自然呼吸で30秒間静止します
  6. 反対側の足も同様に行います

 
腸腰筋を伸ばすストレッチをしっかりマスターできる動画を用意しました。ぜひともご覧くださいませ!

【動画】腸腰筋を柔軟にするストレッチ法

まとめ【腸腰筋】筋肉のしくみと効果的な筋トレ、ストレッチの方法

いかがでしたでしょうか? 腸腰筋は上半身と下半身を繋ぐ大きく、体の軸を安定させる筋肉です。また姿勢、歩き方にも影響を与えて、腰痛の原因にもなります。歩いている時の躓きの原因として、あげられるのは「腸腰筋の衰え」です。腸腰筋は鍛えておきたい筋肉として知られていますので、しっかりエクササイズをしておきたいですね。

そのため、腸腰筋と拮抗関係にある大臀筋も見逃せません。また大腿四頭筋の大腿直筋、ハムストリングスも腸腰筋と同じく、骨盤のバランスを取っている筋肉です。余裕があればご覧くださいね。

この記事を書いた人

パーソナルトレーナー小林素明

小林素明

創業12年のパーソナルトレーニングどこでもフィット代表(大阪市阿倍野区)

健康運動指導士/介護予防運動トレーナー

運動指導歴29年超、テレビ出演多数、1万人超のパーソナルトレーニング指導実績、YouTubeチャンネルは登録者数1万人超。ハワイ州立大学医学部の人体解剖学実習に参加、医療機関との連携も図り、安全かつ効果的なトレーニング法を研究。

フィットネスクラブ、温浴施設に17年間勤務後、起業。「加齢に負けない筋肉づくり」「日常生活やスポーツの動作改善、パフォーマンスアップ」を得意とし、80歳代の方までの自重トレーニング指導。病院をはじめとする医療機関、教育機関、不動産会社などで講演・講師活動。パーソナルトレーナー指導者養成講座の講師も務める。

【テレビ出演】 毎日放送「ちちんぷいぷい」/朝日放送テレビ「キャスト-CAST-」/読売テレビ「ten.」/テレビ朝日「ナニコレ珍百景」/読売テレビ「大阪ほんわかテレビ」/サンテレビ「4時!キャッチ」他

【講演・講師】 一般財団法人関西労働保健協会/経済産業省ヘルスケアサービス社会実践事業「医療運動マッチング対応トレーナー育成講習会」/徳島県教育委員会 /箕面市立病院/日本臨床運動療法学会(第36回)/ファインレジデンス枚方香里園(京阪電鉄不動産)特別講師/SSK /八尾市教育委員会/岸和田市民病院/南河内環境局組合 他多数 (敬称略)

小林素明の詳しいプロフィールはこちら

大阪市阿倍野区パーソナルトレーニングどこでもフィット