骨粗鬆症予防のための運動と食事についての基礎知識 骨を強くする食事シートプレゼント中!
大阪のパーソナルトレーナー、健康運動指導士の小林素明です。
骨粗鬆症(こつそしょうしょう)とは、骨が弱く脆くなり骨折の危険性がグッと高まり、高齢者に多いことが特徴です。「私には、まだ先の話しだから」と、思っていませんか? 実は骨の強さのピークは20歳ごろで、50歳からは減少が顕著になります。驚くべきことに骨粗鬆症の推定患者数は国内で1000万人を超えていると言われています。
また骨粗鬆症は、沈黙の疾患と呼ばれており、骨折をしてから初めて気が付くことが多いのです。大人になればどなたでも骨の健康づくりが必要です。
では、骨の特徴、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)はどんな特徴があるのか? どのようにすれば防ぐことができるのか? どのような運動で骨を強くすることができるのか?を話します。
ご注意 骨粗鬆症と診断されている方は必ず医師の指示のもとで運動を行なってください
無料プレゼント!
一目でわかる!骨を強くする食事シートPDF こちらをクリックしてもらいましょう!
骨は常に生まれ変わっている
骨は約10年ですべてが入れ替わると言われ、ヒトは絶えず「骨を溶かすこと(骨吸収)」、「骨を作ること(骨形成)」を繰り返しています。骨吸収、骨形成が同じサイクルで働けば、骨の強さは維持できます。しかし、いつくかの原因で骨吸収が骨形成を上回り、骨が徐々に弱くなる「骨密度の低下」が起こります。※骨密度=骨の強さの指標の1つ
骨粗しょう症について
骨粗鬆症は、骨が弱くなるだけではなく、骨折の危険性が増大することを特徴とする疾患と定義されています。国内では、1000万人の推定患者数、年々増加傾向です。これだけに留まらず、転倒・骨折は要介護の原因の上位に入っています。ではなぜ骨が弱くなってしまうのか?を話します。
骨が弱くなる3つの原因とは?
ではなぜ骨が弱くなってしまうのでしょうか?
1 加齢によるもの
骨の強さのピークは20歳頃に迎えます。ピークを過ぎると骨を形成するスピードが低下することで、骨は以前より徐々に弱くなってきます。
2 女性ホルモンの低下によるもの
女性ホルモンのエストロゲンは、骨吸収(骨を溶かす作用)を抑制する働きがあります。しかし、閉経を迎える50歳頃になりますと、エストロゲンの分泌が弱くなり、骨の吸収が骨の形成を上回るようになります。そこで骨密度の低下が起こりやすくなります。
3 生活習慣によるもの
運動不足が続くことで骨への負担(衝撃)が減り、骨は弱くなります。寝たきりになると、骨の負担がほとんどありませんので、骨が弱くなるスピードが加速します。また、食生活においてカルシウム、ビタミンD、ビタミンKが不足することで骨密度や骨質の低下が生じます。 ※「骨密度」+「骨質」=骨の強さ
では、どのようにすれば骨粗鬆症を予防できるのか?を話します。
今日からできる骨粗鬆症の予防対策とは?
骨が脆く弱くなる原因は大きく3つありました。加齢によるもの、女性ホルモンによるものに関しては防ぐことは難しいですが、運動や食事を中心とした生活習慣を変えることで骨粗鬆症の予防が期待できます。
特に閉経後の女性の方にお勧めしたいのは、下半身を使った筋力トレーニング、ウォーキングやジョギングなどの荷重運動です。これらの運動は、大腿骨、腰椎(腰の骨)の骨密度を高めることが分かっています。
生活習慣を変えて骨粗鬆症を予防「運動編」
まずは生活習慣を変えるための運動法を紹介します。骨粗鬆症を予防する運動のエビデンスをまとめますと、3つの運動法が推奨されます。
ご注意 紹介する運動法は骨粗鬆症予防のためのエクササイズです。(治療ではありません)骨粗鬆症と診断された方は必ず医師の指示に従ってください。
1 骨に刺激が加わる運動
重力が体にかかる運動は、骨の強さが増すことが分かっています。ウォーキングやジョギングは重力のかかる運動ですので、骨粗鬆症の予防対策に有効です。また、ウエイトを持っての筋力、下半身に負荷をかけながらの筋トレも効果的です。
スクワット
- 両手を胸の前で組み、背中を伸ばします(足は肩幅よりやや広め)
- 息を吸いながら、できる範囲でお尻を下げます(背中は伸ばし、目線は前方)
- 息を吐きながら、元に戻ります
- 2〜3を繰り返します。
回数:20回
カーフレイズ
- 背筋を伸ばして立ちます
- 息を吐きながら、かかとを床からあげます(抗重力筋も鍛えられます)
- 息を吸いながら、元の位置に戻ります
- 2〜3を繰り返します
鍛える主な筋肉:下腿三頭筋
回数:15回
注意:姿勢を崩さないままで行ってください
【慣れてきた人向け】サイドランジスイング
- 背筋を伸ばして立ちます(写真上)
- 足を横に開き、踏ん張ります(写真下)←この時、骨への刺激が最大になります
- 息を吸いながら、元の位置に戻ります
- 2〜3を左右交互に繰り返します
回数:10回
注意:姿勢を崩さないままで行ってください
2 背骨を保護し背中から腰を強化する筋トレ
背骨のまわりの筋肉を鍛えることで腰の強化、背骨の骨折予防になります。
ハンドニー
- 四つん這いになり、背中を伸ばします
- 右手と左足を【床と平行に】伸ばします
- 自然呼吸を行いながら、30秒間静止します
- 反対側の手と足も同様に行います
回数: 30秒間
ポイント: 体のバランスが崩れた時は、安全のために初めからやり直します
【慣れてきた人向け】バックアーチ(猫背解消バージョン)
- うつ伏せになり、両手を後頭部に添えておきます(写真上)
- 息を吸いながら、胸を床から離します(写真中) 猫背解消バージョン
- 息を吐きながら、元の位置にもどります。
- 2〜3を5回繰り返します
- 息を吸いながら、胸と足を床から離します(写真下)
- 息を吐きながら、元の位置にもどります。
- 6〜7を5回繰り返します
ポイント: 手と足を上げるタイミングを合わせて行いましょう
3 転倒を予防するための筋トレ
骨を強くするだけではなく、転倒しない運動能力を高める必要があります。そのため、体をしっかりと保持する力、姿勢が崩れないためのバランス筋力を養成することが有効です。
片足上げ(転倒予防にも効果的)
- 背中を伸ばし、両手を腰に当てます
- 姿勢をまっすぐにしたまま、片足を横へ上げて3秒間静止します(写真)→体が揺れる場合は壁を持って行なってください
- ゆっくりと元に戻ります
- 同じ足で 2〜3 を10回繰り返します
- 反対の足も同様に行います
鍛える主な筋肉:中臀筋
ポイント:お尻の横(中臀筋)を意識して、姿勢が崩れたらやり直しましょう
お勧めエクササイズ 股関節ストレッチ
筋力の強化だけではなく、体の柔軟性も重要です。特に股関節が硬くなっていますと、正しい運動フォームができなかったり、腰や膝の負担が増えて腰痛、膝痛を招きます。ここではお勧めの股関節ストレッチを動画で紹介します。
股関節・内転筋ストレッチ
生活習慣を変えて骨粗鬆症を予防「食事編」
骨の健康の維持、向上のためには、タンパク質、カルシウム、ビタミンD、ビタミンKなどの栄養素を積極的に摂ることが鍵となります。もちろん、バランスの良い食事を規則的に摂ることは重要です。
1 タンパク質
タンパク質は骨の体積の50%ほどを占めています。そのため、タンパク質が不足すると骨密度の低下につながります。高齢になると少食になり、タンパク質が不足しがちなので注意が必要です。(ダイエットで食事を減らすのも同様です)
【参考】1日に必要なタンパク質量: 男性60〜65g 女性50〜55g
タンパク質が多く含まれる食品
牛もも肉(脂身なし)、食パン、ごはん、マグロ赤身、紅鮭、納豆、豆腐(木綿)、卵、牛乳、ヨーグルトなど
2 カルシウム
骨や歯の重要な構成成分であり、運動に必要な筋肉の収縮や神経の伝達にも関わっています。体に必要なカルシウムの【99%は骨、歯に存在し】、残りの1%は血液や細胞に存在しています。
【参考】1日に必要なカルシウム量:700〜800mg
カルシウムが多く含まれる食品
牛乳、チーズ、納豆、木綿豆腐、ししゃも、干しエビ、小松菜、モロヘイヤ など
3 ビタミンD
ビタミンDには、骨形成の促進作用があります。また筋肉(骨格筋)の合成も促進することが分かっていて、筋肉づくりにも重要な栄養素です。日光を浴びることでビタミンDが生成される。(1日15分程度の日光浴が勧められている)
ビタミンDが多く含まれる食品
きくらげ(乾)、しいたけ(乾)、まいたけ、あんこう きも、しらす干し など
4 ビタミンK
ビタミンKは、骨の代謝に関わっており、骨の吸収を抑制し、骨の形成を促進されます。またビタミンKは、血液凝固にも関わっています。
ビタミンKが多く含まれる食品
納豆、モロヘイヤ、小松菜、ほうれん草 など
無料プレゼント!
一目でわかる!骨を強くする食事シートPDF こちらをクリックしてもらいましょう!
骨粗鬆症の予防対策法 まとめ
いかがでしたでしょうか? 骨粗鬆症は、沈黙の疾患と呼ばれていますので、骨が弱っていることに気づくことが困難です。対策として、運動の習慣を身につけること、食生活を見直すことが有効で、早期の実践ほど効果的です。特に女性の方は、閉経後に起こる女性ホルモン低下で骨を形成する力が弱くなります。
ぜひこの機会に骨粗鬆症対策を始めてみませんか?
参考文献
- 骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン作成委員会編 骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版(日本骨粗鬆症学会、日本骨代謝学会、骨粗鬆症財団)
- ガイトン生理学 原著第13版 John E Hall著 2018年
- 運動機能障害症候群のマネジメント Shirley A.Sahrmann著 2017年(医歯薬出版株式会社)
- 厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト eヘルスネット
この記事を書いた人
小林素明 (城好きパーソナルトレーナー)
テレビ番組「ちちんぷいぷい」「大阪ほんわかテレビ」「ten」などに多数出演し、メディアからも注目されるパーソナルトレーナー。30年以上の指導経験と健康運動指導士の資格を有し、1万レッスンを超えるパーソナルトレーニング指導の実績。特に40代からシニア世代向けの「加齢に負けない」トレーニングに定評があり、親切で丁寧な指導が評価されている。
医療機関との連携を通じて、安全で効果的なトレーニング法を研究し、病院や企業での腰痛予防に関する講演では受講者の98%から「分かりやすかった」と高評価を得る。また、パーソナルトレーナー養成講座の講師としても豊富な実績を誇り、多くのトレーナーの育成に貢献しています。