解剖学【中臀筋/お尻】筋肉のしくみと効果的な筋トレ、ストレッチの方法 ★動画あり
フィットネストレーナーの小林素明です。
中臀筋はお尻の外側にある筋肉。(小臀筋も同様) 中臀筋は、筋力の低下や筋肉が硬くなることで歩行フォームの異常、体の歪み、膝の痛みが生じる、内転筋とのバランス関係があることで知られています。では、この中臀筋についてお話しします。
目次
中臀筋とは? 筋肉の解剖
中臀筋はお尻の外側にあり、お尻を構成する筋肉(大臀筋、中臀筋、小臀筋)で、骨盤から大腿骨に付いている筋肉です。
中臀筋の起始停止、作用とは?
筋肉の起始: 前殿筋線と後殿筋線の間の腸骨翼の外表面
筋肉の停止: 大転子の外側面
主な筋肉の働き(作用): 股関節の外転、股関節の外旋、股関節の内旋
神経支配:上殿神経(L4,L5,S1)
中臀筋の主な働き(作用)とは?
中臀筋の主な働きは、足を外側に広げる股関節の外転です。足を動かしている時には、股関節を安定させる筋肉の1つです。また、股関節の内旋(足を内側に回す)は中臀筋の前部線維(前方)、股関節の外旋(足を外側に回す)は中臀筋の後部線維(後方)が主導筋となります。
中臀筋が弱くなるとどうなるの?
中臀筋が弱くなると、左右に動く動作が苦手になったり、歩行のフォームに異常が見られるようになります。それは中臀筋が弱っている側の足が地面に着地した際、骨盤を安定させる中臀筋が耐えられず、上体が傾くからです。(外転力の低下)
中臀筋の低下による歩行(中臀筋歩行)は、股関節、膝に過剰な負担がかかり「膝の痛み」「変形性股関節症」へと繋がる危険性があります。
なぜ中臀筋を鍛えておいた方が良いのか?
日常生活での歩行、階段の昇り降り、段差を超える動作は、片足立ちでの安定性が欠かせません。この片足立ちを可能にしているのが、股関節外転筋(中臀筋、小臀筋、大腿筋膜張筋など)の筋力です。安定した片足立ちには、股関節外転筋力は体重の2倍の力が必要です。主な外転筋力は中臀筋が担っています。
そのため、片足立ちの際に股関節外転筋力が体重の2倍を下回る場合には、骨盤と体幹が傾きます。(臨床ではトレンデレンブルク症候と言います) この骨盤と体幹が傾いた状態で歩行を繰り返すことで、慢性的な腰痛、膝痛を招きます。
中臀筋が弱くなる、考えられる理由
中臀筋の十分な活動には、股関節の伸展位(立った状態で足を後方へ伸ばす)ができているか? 内転筋が硬くなっていないか? を考える必要があります。
股関節の伸展位について
・股関節の屈曲動作(腸腰筋、大腿直筋)が硬くなっていないか? 腸腰筋のことを詳しく知る
・大臀筋、ハムストリングスが弱くなっていないか?
中臀筋が硬くなるとどうなるの?
中臀筋が硬くなっている状態では、立っている時に硬くなっている側(中臀筋)に体が傾きます。また中臀筋の拮抗筋である、内転筋(太ももの内側)が慢性的な筋力低下を招きます。すなわち、内転筋の弱さは、中臀筋の硬さの影響も考える必要があります。
内転筋の強化ポイント
中臀筋の硬さをほぐす(ストレッチ、ボールリリース)→内転筋の筋トレへ
中臀筋を強化する方法
中臀筋の強化には、足を外へ広げる(外転)動作を行って鍛えること。しかも、正確な動作が求められるのが中臀筋のトレーニングです。まずは、2番目の「壁当て&骨盤サポートの股関節外転トレーニング」で動作の練習をされることをオススメします。(中臀筋にしっかりと効きます)
筋トレを効果的に行うために
・15回前後で限界 がくるような種目は筋力アップに効果的(ギリギリ限界はNG)
・フォームが崩れたり、違うフォームはNG
・1回につき4秒間(2秒で下ろして、2秒であげる)を目安
1 横向き股関節外転トレーニング 【やさしい】
鍛えられる筋肉
お尻(中臀筋)
運動方法
- 横向きになり、上になっている足は伸ばしておきます(股関節の伸展位)
- 息を吐きながら、足を外側(天井方向)へ上げて行きます(中臀筋に効きます)
- 息を吸いながら、元の位置に戻ります
- 繰り返します
<より効果的に> エクササイズ中に骨盤が動かないように、手でサポートします
回数: 15回
ポイント:腹筋に力を入れて、体をまっすぐに保ちます。姿勢が崩れたら、始めからやり直しましょう!
2 壁当て&骨盤サポートの股関節外転トレーニング【やさしく効く】
鍛えられる筋肉
お尻(中臀筋)
運動方法
- 壁に体の背面をつけて、骨盤に手でサポートします。
- 横向きになり、上になっている足は伸ばしておきます(股関節の伸展位)
- 息を吐きながら、足を外側(天井方向)へ上げて行きます(中臀筋に効きます)
- 息を吸いながら、元の位置に戻ります
- 繰り返します
回数: 15回
ポイント:腹筋に力を入れて、体をまっすぐに保ちます。姿勢が崩れたら、始めからやり直しましょう!
3 サイドプランク、股関節外転トレーニング【ややきつめ】
鍛えられる筋肉
お尻(中臀筋)、お腹の横(腹斜筋)
運動方法
- 横向きになり、肘と膝を床につけます(サイドプランクの姿勢)
- 息を吐きながら、足を外側(天井方向)へ上げて行きます(中臀筋に効きます)
- 息を吸いながら、元の位置に戻ります
- 繰り返します
回数: 15回
ポイント:下になっている中臀筋も姿勢保持のために鍛えられています。(アイソメトリック)
4 サイドプランク、股関節外転ローリング
鍛えられる筋肉
お尻(中臀筋)、お腹の横(腹斜筋)
運動方法
- 横向きになり、肘と膝を床につけます(サイドプランクの姿勢)
- 上になっている側の足を「床と水平」に伸ばしておきます
- 自然呼吸で足を回転させます
回数: 10回転
ポイント:姿勢が保持できなくなったらエクササイズは完了です。
5 バランスボール骨盤上下
鍛えられる筋肉
お尻(中臀筋)
運動方法
- バランスボールをお尻の横に当てて、壁にもたれます。
- ボールに当てている側の足を「ももあげ」します。
- ボールを落とさないように、お尻(骨盤)を上下に動かします
- 踏ん張っている足の側の中臀筋が鍛えられます
回数: 15回
ポイント:姿勢が保持できなくなったらエクササイズは完了です。(再チャレンジ)
中臀筋を強化するエクササイズ【無料動画】
中臀筋をストレッチする方法(柔軟にする)
体を柔軟にするストレッチを安全かつ効果的に行うために
- 1ポーズに30秒間静止が基本です。(動かすストレッチの場合は動作はゆっくり)
- 特に硬いと感じる筋肉には2セット実施(30秒間×2回)をお勧めします
- ポーズを取っている間は自然呼吸を実施します
- 痛みを伴わない程度に体を伸ばします
- お風呂上がりに行うと効果抜群です
中臀筋はお尻の外側(骨盤)に広くついていることもあり、複数のストレッチを行うことをお勧めしています。特に 3「前部線維」 4「後部線維」の2つのストレッチの違いを感じてみてくださいね。
1 足上げ中臀筋ストレッチ
運動方法
- 片足を曲げて、反対の足を太ももの上にのせます
- 背筋伸ばし、お尻の大臀筋を伸ばします
- 自然呼吸で30秒間静止します
- 下の写真は、座って行うときのストレッチ
2 体倒し中臀筋ストレッチ
運動の方法
- 床にあぐらで座ります
- 両手を床につけて、片足を後方へ伸ばします
- ゆっくりと体を前に曲げて、お尻を伸ばします
- 自然呼吸で30秒間静止します
- 反対側の足も同様に行います
3 中臀筋「前部線維」ストレッチ
運動の方法
- 仰向けになります
- 片足を曲げ、膝の外側に反対の足をのせておきます
- 痛みのない範囲で、ゆっくりと膝を床に近づけます
- 自然呼吸で30秒間静止します
- 反対側の足も同様に行います
ポイント 膝や股関節の痛みのない範囲で行なってください
4 中臀筋「後部線維」ストレッチ
運動の方法
- 仰向けになります
- 片足を曲げ、手で膝の外側を持ちます
- 痛みのない範囲で、ゆっくりと膝を床に近づけます(膝は曲げたまま)
- 自然呼吸で30秒間静止します
- 反対側の足も同様に行います
ポイント あげた足の膝は曲げておきます
中臀筋のストレッチ【無料動画】
まとめ 中臀筋
いかがでしたでしょうか? 中臀筋はスポーツ動作だけでなく、姿勢の歪み、腰や膝の痛み(変形性膝関節症)、歩行や階段の動作にも影響が出ます。実際、中臀筋の筋トレしただけで、歩行フォームが変わった!という事例を多く見てきました。それだけに、中臀筋のエクササイズは欠かせませんね。
合わせて、大臀筋、内転筋、腸腰筋のエクササイズを行うことで、さらに効果が上がりますよ。
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