知ってるようで知らない「ウォーキング」で使われる筋肉とは?分かりやすい歩行の科学

 
フィットネストレーナーの小林素明です。

週1回以上の散歩やウォーキングの実施している国内の推定人口は3412万人(※1)と、ウォーキングは多くの方が実践されているとても身近な運動です。ウォーキングは、有酸素運動の代名詞でもあり、心肺機能を高め、体脂肪の燃焼、血糖値や血中コレステロールの低下、ストレス解消、全身の血行促進と様々な効果が認められています。また、ウォーキングでは全身の70%〜80%の筋肉が使われています。 ※1 笹川スポーツ財団「スポーツライフに関する調査報告書」2018年

 
ですが、僕がトレーニング指導で感じていることは、ウォーキングで使っている筋肉のことはあまり知られていない、という事実です。なぜならば、「歩いただけですねが痛くなるのですか?」「それほど歩いていないのに、筋肉痛になりますか?」という質問を多く頂くからです。

そんなとき僕は、ちょっと待ってくだい!と心の中で叫んでおります。その理由を説明します。

なぜ人はウォーキングをしても平気でいられるのか?


30分間のウォーキングすると、歩数は約3000歩になります。ということは、足には3000回(片足1500回)の足の着地で地面からの衝撃を受けたり、地面を蹴ったりします。しかし、30分間のウォーキングしても平気なのはなぜでしょうか?

 
それはウォーキングでの足の着地、地面を蹴る動作を「脚の筋肉(お尻、太もも、すね、ふくらはぎ等)」の絶妙なタイミングで力を発揮し、正確なウォーキングを実現しているからのです。

では、ウォーキンではどのようにして脚の筋肉が使われているのでしょうか?

ウォーキングを科学する!歩行の周期


ウォーキングで使われている筋肉を知るためには、動作をスローモーションで見ていくことが近道です。やや専門的になりますが、歩いている時の片側の「足(かかと)が着地 → 地面を蹴る → 再び着地」の基本的な単位を歩行周期と言います。つまり、右足着地をスタートとして、左足が着地(1歩)、右足が着地(2歩)するまでの2歩が、歩行周期となります。

 

ウォーキングで使われる筋肉とは?歩行の周期から


では、ウォーキングの動作をスローモーション=「歩行の周期」を見ながら、どの筋肉がどのように使われているのか?を話します。

 

足の着地から足で蹴り出すまでに使われる筋肉(立脚相)


足の着地から足で蹴り出すまでの1歩(立脚相)で使われている筋肉の役割を話します。

  • 足の着地: 地面からの衝撃を吸収すること、体のバランスを取ることが求められます。
  • 足の支持: 足の着地の後は、片足立ちに必要なバランス力、足を後方へ移動させる力が求められます

お尻の筋肉「大臀筋(だいでんきん)」


大臀筋は、足の着地の際に体重を支えること、足を後方へ移動させる股関節の伸展力を生み出しています。 

【参考】大臀筋の鍛え方

 

お尻の筋肉「中臀筋(ちゅうでんきん)」


中臀筋は、片足での体の支持力を生み出します。歩行中の骨盤を安定させるために欠かせない筋肉です。歩行中の股関節にかかる圧力は体重の3〜4倍で、主に中臀筋がその保持を担っています。骨盤が不安定な場合、歩行の際にお尻が左右に揺れ、股関節や膝に負担がかかり、関節を痛めることになります。

【参考】中臀筋の鍛え方

 

太もも付け根の筋肉「腸腰筋(ちょうようきん)」


腸腰筋は、太ももを前に振り出すときに使われています。(遊脚相の前半まで) つまり、足を上げるための筋力で、腸腰筋が弱ると躓くことが多くなります。

【参考】 腸腰筋の鍛え方

 

太もも前面の筋肉「大腿四頭筋(だいたいしとうきん)」


大腿四頭筋は、足の着地後に「膝の関節角度」を正常な状態にします。これは、足の着地で、膝の関節を曲がり(膝の屈曲)すぎないように制御する役割です。そのため、大腿四頭筋は、足の着地における地面からの衝撃を吸収する筋力が求められます。(遠心性の収縮)

【参考】大腿四頭筋の鍛え方

 

太もも裏側の筋肉「ハムストリングス」


ハムストリングスは、踵の着地直後の「膝の関節」を安定させる役割があり、大腿四頭筋との同時収縮でスムーズな歩行を実現させています。膝の関節が不安定な状態ですと、歩行をすればするほど膝を痛めることになります。

【参考】 ハムストリングスの鍛え方

 

すねの筋肉「前脛骨筋(ぜんけいこつきん)」


前脛骨筋は、踵が着地する際に、足首の関節を安定させる役割があります。(前脛骨筋の遠心性収縮) つまり、踵が着地するときに、つま先が上に向く(背屈)ことで、スムーズな歩行を実現しています。

【参考】前脛骨筋の鍛え方

 

ふくらはぎの筋肉「下腿三頭筋(かたいさんとうきん)/腓腹筋、ヒラメ筋」


下腿三頭筋は、体を前進させるための源になっている「蹴り出し動作(足関節の底屈)」で大きな役割をしています。この蹴り出し動作がなければ、歩幅も狭くなり、歩行スピードも遅くなります。

【参考】下腿三頭筋の鍛え方

 

蹴り出しから足の着地までに使われる筋肉(遊脚相)


次に足を蹴り出し、足の着地をするまでの1歩を説明します。

 

遊脚相の終盤で使われる筋肉

足の着地の準備段階として、遊脚相の終盤で大臀筋中臀筋大腿四頭筋ハムストリングス前脛骨筋がスムーズな歩行のために使われています。これらの筋肉は、足の着地の際に股関節、膝、足首の関節を安定させる役割があります。

では、歩行中に腹筋や背筋の体幹は使われているのでしょうか?

歩行中には体幹は使われていますか?


データとして確認されている、体幹の表層の筋肉である腹直筋(腹筋)、脊柱起立筋(背筋、主に腰の部分)が歩行中に使われているかを話します。

まず、腹直筋は、立脚相、遊脚相の前半で、足を前後に動かすときに使われています。次に脊柱起立筋は、左右の足の着地のときに、体幹が前に倒れる(体幹の前傾)のを防ぐために使われています。

【参考】腹直筋の鍛え方脊柱起立筋の鍛え方

 
ではウォーキング中には足腰の関節はどのくらい動いていますか?

歩行中における骨盤、股関節、膝の関節、足首の関節が動く範囲とは?



歩行時において、骨盤、股関節、膝の関節、足首の関節が最大でどのくらい動いているのかを話します。

  • 骨盤の動き: 前後(前傾、後傾)に2度ずつ、合計最大4度
  • 股関節の動き: 足を上げる(股関節の屈曲)が30度、足を後方へ(股関節の伸展)10度の合計最大40度
  • 膝の関節の動き: 膝を伸ばす(膝の伸展)は0度、膝を曲げる(膝の屈曲)は60度の合計最大60度
  • 足首の関節の動き: つま先を上(足首の背屈)は10度、つま先を下(足首の底屈)は20度の合計最大30度

まとめ 歩行中の筋肉の活動


いかがでしたでしょうか? 歩行中の動作をスローモーションにした歩行周期より筋肉の活動を見ました。歩行は、足のたくさんの筋肉が上手に働いてくれることで、スムーズに歩くことができているのですね。

 
歩くために必要な脚の筋肉を鍛えておくことはもちろんのこと、日々の疲労回復にも必要になります。ぜひ、ストレッチ体操も忘れずに、今後のウォーキングを楽しんでくださいね。

 
【関連記事】ウォーキングで使われる筋肉のエクササイズ(筋トレから疲労回復のストレッチまで)
脊柱起立筋腹直筋腸腰筋大臀筋中臀筋大腿四頭筋ハムストリングス下腿三頭筋前脛骨筋

 


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