知っているようで知らない!なぜ体が硬いのは良くないのか? 体が硬い人のための柔軟ストレッチ

フィットネスパーソナルトレーナーの小林素明です。昔に比べて体が硬くなった・・・とお悩みの方は多いのではないでしょうか? 確かに加齢によって関節が硬くなりやすいことから、そのように感じることがあります。

体が硬く感じているのは、どこかの筋肉が硬くなって体を動かしにくい状態です。例えば、立った状態で体を前に倒す「前屈」は、太ももの裏の筋肉、背骨周りの筋肉などが硬いと前に曲がりにくくなります。

 

この筋肉が硬くなった状態のままでは、日常生活やスポーツの動作で関節に負担をかけ、腰痛や膝痛、肩こり、慢性的な疲労を感じるようになります。さらには、体を動かすことが億劫になってきますので運動不足、筋力が衰えるといった、老化を加速させてしまうことになります。

では、筋肉が硬くなり、柔軟性が損なわれると、体にどんな悪影響を及ぼすのか? そして、体の硬さをほぐすためにどんなストレッチ体操を行えば良いのか?を話します。

 

※注意 筋肉にはある程度の硬さが必要で、筋肉の硬さが損なわれると反対に関節が緩くなり、骨の変形や関節のズレなどが生じやすくなります。(女性に多い)

 

目次

体が硬いことで起こる!5つのデメリット

 

1 関節がガチガチになり、日常生活やスポーツで怪我が起こりやすい、疲れやすくなる

柔軟な関節であれば、衝撃を和らげる「衝撃吸収」の役割を担い、まるでクッションのような感じで関節を守ってくれます。しかし、硬くなった関節は、関節がガチガチになり「衝撃吸収」が弱って、関節の負担は増加します

関節がガチガチになっていますから、長時間歩くと膝が痛くなる、スポーツで腰を痛めるということが多くなるのです。また、ガチガチに硬くなった関節は疲労が蓄積されやすく、疲労の回復も遅くなります

 

2 慢性的な腰痛、肩こり、ひざ痛が起こりやすくなる

股関節周りの筋肉がガチガチに硬いと、骨盤と背骨の動きが制限されて腰痛が起こりやすくなります。何もしなければ、筋肉は硬いままで改善されることがなく、さらに痛みが加速します。

はじめは時々痛む程度だったことが、だんだんと痛くなる時間が長くなり・・という症状が現れる慢性的な痛みになるのです

肩こり、ひざ痛も同様で、肩甲骨周りの筋肉が硬くなると肩甲骨の動きが制限されて、首や肩の緊張が高まり肩こりへ。また、太もも前面の筋肉、太もも内側の筋肉が硬くなるとひざ痛になります。

 

3 体の歪みが生じ、見た目の姿勢が悪くなる

左図は正常。右の図は筋肉(腰方形筋)に引っ張られ骨盤が傾いています。

硬くなった筋肉は体の歪みに繋がります。例えば、腰の筋肉である腰方形筋(ようほうけいきん)という筋肉が硬くなりますと、片方の骨盤(上のイラストで右の図)が挙がってしまい、後方から見ると「体がくの字」になったように見えます。

このくの字の姿勢を続いてしまうと、背骨は左右どちらかに歪みますし、慢性的な腰痛や肩こりになってしまいます

 

4 お尻の筋肉がたるむ!筋力の低下が加速する

これはほとんど知られていないことですが、硬くなっている筋肉の裏側(拮抗する)にある筋肉は、筋力の低下が起こっています。例えば、太ももの付け根にある腸腰筋(ちょうようきん)という筋肉が硬くなると、その裏側にあたるお尻の大臀筋(だいでんきん)は弱ってくるのです。

つまり、「太ももの付け根の筋肉が硬くなると、お尻がたるむ」ということなのです。

なぜか? それは、お尻の大臀筋は股関節の伸展という、足を後方へ押す時に最大限の力を発揮する筋肉。しかし、太ももの付け根の腸腰筋が硬いと、十分に足を後方へ押すことができません。(腰が反ってしまうため)

そのために、いくら頑張ってお尻の筋トレをしても、腸腰筋が硬いために股関節の伸展動作が不十分でお尻が鍛えられません。=お尻が鍛えられず、お尻はたるんできます。

 

5 慢性的な運動不足が起こりやすくなる

体が硬いというのは、十分に関節が動かなくなるだけでなく、筋肉の疲労も蓄積されやすくなります。そうなると、体を動かすことや外出することが億劫に感じることが多くなります。運動不足状態は、筋肉を弱らせることになりますし、血行不良を起こし、ますます体に悪影響を及ぼします。

 

あなたの関節はガチガチ度は?スグにできる!体の硬さのセルフチェック

ではここで、どれだけ体が硬いのか?のセルフチェックを行いたいと思います。

 

脊柱、太もも裏の柔軟性チェック(前屈、腰痛度チェック)

まっすぐに立った状態で、床に手が届くかのチェックです。

<方法>
・5秒間かけてゆっくりと前屈します
・勢いをつけるのは怪我に繋がりますので絶対に避けてください。
・このテストは腰痛の度合い度を調べています。

<セルフ評価>
指先が床から5cm以上 = 硬い

 

「硬い」判定の方にお勧め!体が柔軟なるストレッチ

1 脊柱の柔軟ストレッチ

2 椅子を使った太もも裏のストレッチ

 

腸腰筋の硬さチェック(腰痛度チェック)

<方法>
・仰向けになった状態で両足を伸ばします
・片足を曲げて両手で膝を抱え込みます。太ももがお腹に着くくらいに
・反対側の足が床から浮いていないか?をチェックします

<セルフ評価>
伸ばした足が床から浮く = 硬い

 

「硬い」判定の方にお勧め!体が柔軟なるストレッチ

3 腸腰筋が柔軟になるストレッチ(腰痛予防、姿勢の改善)

 

ひざの柔軟性チェック(ひざ痛チェック)

うつ伏せの状態で膝がどこまで曲がるかをチェックします。これは膝痛の度合いに比例しています。

<方法>
・うつ伏せて膝を曲げます
・足首、足の甲を持ちます
・両肩は床につけておきます

<セルフ評価>
足首、足の甲が触れられない = 硬い

 

「硬い」判定の方にお勧め!体が柔軟なるストレッチ

4 膝が柔軟になるストレッチ(ひざ痛予防、膝が曲がりやすくなる)

 

肩の柔軟性チェック(肩こり、肩痛チェック)

<方法>
・体の後ろで手が届くかのチェック
・右手を上げて、左手は下から回し
・左右に指先が届くかをチェックします

<セルフ評価>
指先が触れなれない = 硬い

 

「硬い」判定の方にお勧め!体が柔軟なるストレッチ

5 肩まわりが柔軟になるストレッチ(肩こり解消、四十肩予防、腕が上がりやすく)

 
では次に硬い体を柔軟にするストレッチの方法を紹介します!動画もありますので、ぜひともご覧くださいね!
 ↓ ↓ ↓

体を柔軟にしよう!体が硬い人のための柔軟ストレッチ

 

ストレッチを行うメリット

腰痛、肩こりの緩和
筋肉の緊張緩和
バランスの良い姿勢
ストレスの解消
怪我の予防
呼吸がしやすくなる

 
体を柔軟にするためには、痛みを感じる手前の「気持ちいい」と感じるところまでを行ってください。痛みを感じると、筋肉が防御反応を示し、反対に筋肉を収縮(硬く)する方向へと向かいますので、要注意です。

 

1 脊柱の柔軟ストレッチ(腰痛予防、姿勢の改善、背中の張り解消)


このストレッチのメリット
・腰痛の予防改善
・良い姿勢を保つ
・背中の筋肉の張りの改善
・骨盤の動きをよくする

<ストレッチの方法>

  1. 床に四つん這いになり、リラックスします
  2. ゆっくりと息を吸いながら、お腹に力を入れて、背中を丸めます。(猫のポーズ)
  3. 2の背中を伸ばした状態で、3秒間静止します
  4. ゆっくりと息を吐きながら、できる範囲で腰を反り、3秒間静止します(犬のポーズ)
  5. 2~4をゆっくりと「10回」繰り返します

回数、セット
10回を2セット

ポイント
・動作をゆっくりと行い、背骨が1つ1つ動いているイメージします
・腕には力を入れないようにします

【動画】 脊柱の柔軟ストレッチ

 

2 椅子を使った太もも裏のストレッチ(坐骨神経痛の予防、腰痛予防、姿勢の改善)


このストレッチのメリット
太ももの裏の筋肉(大腿二頭筋、半腱様筋、半膜様筋)を伸ばす
・腰痛の予防改善
・坐骨神経痛の予防になる
・体が曲がりやすくなる
・綺麗な姿勢になる

<ストレッチの方法>

  1. 背中を伸ばして、椅子に座ります
  2. 両手を右足の太ももの上に添えておきます
  3. 膝が曲がらないように、体をやや前傾させます
  4. 背筋を伸ばし、自然呼吸で20秒間静止しましょう
  5. 反対側の足も同様に行いましょう

注意点:常に背筋は伸ばしておきます
回数:20〜30秒間×2セット

【動画】椅子を使った太もも裏のストレッチ

 

3 腸腰筋のストレッチ(腰痛予防)

このストレッチのメリット
太ももの付け根の筋肉(腸腰筋)を伸ばす
・反り腰姿勢の緩和
・腰痛の予防改善
・股関節が柔軟になる
・呼吸がしやすくなる
・デスクワークの後のアフターケア
・歩幅が広がりやすくなる

<ストレッチの方法>

  1. 床で脚を前後に開き、太ももに両手を添えます
  2. 後ろ足は、膝をつき爪先立ちになります。
  3. ゆっくりとお尻を前方に移動させます
  4. 太ももの付け根が伸び、自然呼吸で30秒間静止します。
  5. 反対側の足も同様に行います

注意点:腰を反らさないようにします

【動画】腸腰筋のストレッチ

 

4 ひざの柔軟ストレッチ(大腿四頭筋の柔軟、膝痛の予防)


このストレッチのメリット
太ももの前面の筋肉(大腿四頭筋)を伸ばす
・膝痛の予防と改善
・膝が曲がりやすく柔軟になる
・歩きやすくなる
・階段や坂道の下りで疲れにくくなる

<ストレッチの方法>

  1. うつ伏せになります
  2. タオルを足首にかけて、タオルを持ちます ※足首、足の甲に手が届く場合はタオル不要
  3. 痛みのない範囲で、かかとをお尻に近づけます
  4. 太ももの前面(大腿四頭筋)が伸びます
  5.  自然呼吸で30秒間静止します。
  6.  左足も同様に行います

回数: 30秒間×2セット

【動画】ひざの柔軟ストレッチ(大腿四頭筋の柔軟)


 

5 肩の柔軟性ストレッチ(肩こり解消、四十肩の予防)


肩甲骨の周りの筋肉(棘上筋、小円筋、大円筋など)を伸ばす
・四十肩、五十肩の予防になる
・腕が上がりやすく、肩が柔軟になる
・肩こりの解消になる
・様々な肩の痛み予防になる

<ストレッチの方法>

  1. タオルを体の後ろに回し、両手で持ちます
  2. ゆっくりと痛みのない範囲で、タオルを天井にあげます
  3. 20秒間静止します。下になっている腕の肩が伸びてきます
  4. ゆっくりとタオルを床に引っ張ります
  5. 20秒間静止します。上になっている腕の肩が伸びてきます
  6. 上下の手を入れ替えて、2〜5を繰り返します

注意点:常に背筋は伸ばしておきます
回数: 20秒間 2セット

【動画】肩の柔軟性ストレッチ(上下タオル!ストレッチ)


 
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ストレッチはいつ行えば良いのか?

体を柔軟にするストレッチは、

・お風呂上がり ← 一番のオススメ
・トレーニング後のアフターケア
・就寝前
・起床時

と、やりやすい時間帯に行うと良いでしょう。

 

参考文献

・からだの発達と加齢の科学(大修館書店)
・オーチスのキネシオロジー 身体運動の力学と病態力学(ラウンドフラット)
・最新運動療法大全(ガイアブックス)
・ストレッチングの科学(三輪書店)
・柔軟性トレーニング(大修館書店)
・柔軟性の科学(大修館書店)

 
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この記事を書いた人

パーソナルトレーナー小林素明

小林素明

健康運動指導士 米国ハワイ州立大学医学部人体解剖学実習修了 介護予防運動トレーナー マッスルコンディショナー 日本臨床運動療法学会会員

【経歴】 運動指導歴30年超、テレビ出演多数、延べ1万人超のパーソナルトレーニング指導実績、YouTube登録者数1万人超。医療機関との連携も図り、安全かつ効果的なトレーニング法を研究。

フィットネスクラブ、温浴施設に17年間勤務後、株式会社ウェルネス&スマイルを起業。大阪市阿倍野区にパーソナルトレーニングどこでもフィットを開業し、「加齢に負けない筋肉づくり」「日常生活・スポーツ動作のパフォーマンスアップ」を得意とし、80歳代の方までトレーニング指導にあたる。病院をはじめとする医療機関、教育機関、不動産会社などで講演・講師活動。パーソナルトレーナー指導者養成講座の講師も務める。

【テレビ出演】 毎日放送「ちちんぷいぷい」/朝日放送テレビ「キャスト-CAST-」/読売テレビ「ten.」/テレビ朝日「ナニコレ珍百景」/読売テレビ「大阪ほんわかテレビ」/サンテレビ「4時!キャッチ」他

【講演・講師実績】 一般財団法人関西労働保健協会/経済産業省ヘルスケアサービス社会実践事業「医療運動マッチング対応トレーナー育成講習会」/徳島県教育委員会 /箕面市立病院/日本臨床運動療法学会(第36回)/ファインレジデンス枚方香里園(京阪電鉄不動産)特別講師/SSK /八尾市教育委員会/岸和田市民病院/南河内環境局組合 他多数 (敬称略)

小林素明の詳しいプロフィールはこちら

大阪市阿倍野区パーソナルトレーニングどこでもフィット