前脛骨筋の張りの原因とは?歩行時の痛みとストレッチ法をパーソナルトレーナーが解説
パーソナルトレーナーの小林素明です。「昨日は歩いただけなのに、すね(前脛骨筋)が張ってるのです。どうしてですか?」と聞かれることがよくあります。実は、これには理由があるのです。
前脛骨筋とは?
前脛骨筋(ぜんけいこつきん)は、すねの前側に位置する筋肉です。この筋肉は、歩行時に大きな役割を果たしています。歩いているとき、前脛骨筋は地面からの衝撃を吸収し、つまずきや転倒を予防するために働いています。このため、毎日の歩行でも意外と多くの負荷がかかり、疲労が溜まりやすい筋肉なのです。
この前脛骨筋に疲労が蓄積されると、すねの辺りが痛くなったり、よく躓くようになる、歩きにくい、足が重たい、歩き姿勢が悪くなるといったデメリットがあります。
すね(前脛骨筋)が張る原因
歩くだけですねの筋肉(前脛骨筋)が張るのは、以下のような理由が考えられます。
- 衝撃吸収: 歩行中の地面からの衝撃を緩和するために、前脛骨筋が常に働き張りやすい。
- バランス維持: 歩行時の体のバランスを保つため、前脛骨筋が頻繁に筋肉の収縮と弛緩を繰り返すため。
- 未熟な筋肉: 普段からあまり歩き慣れていないなどで筋肉が使われていないと、急に長距離を歩いたときなどに疲労が蓄積しやすい。
ここで、前脛骨筋(ぜんけいこつきん)はどんな筋肉の形をしていて、どんな役割をしてるのか。どうすれば、すねの筋肉が疲労回復するの? について話します。
前脛骨筋って何?筋肉解剖
前脛骨筋(ぜんけいこつきん)とは、すねにある骨(脛骨)の外側にあるやや盛り上がった筋肉で、すねの骨(脛骨)の前方から、足の内側にかけて付着しています。※筋肉の起始、停止と言います
前脛骨筋の起始、停止について
【起始】
脛骨の前方(脛骨の外側面、骨間膜)
【停止】
足の内側(内側楔状骨、第1中足骨の足底面)
【作用】
足部の背屈(距腿関節)
足部の内返し(距骨下関節)
※拮抗筋は下腿三頭筋 【関連コラム】拮抗筋とは?
【神経支配】
深腓骨神経(L4,5)
前脛骨筋の働き(作用)とは?
前脛骨筋は足首の関節において、つま先を手前にする「背屈」、内側に向ける(内返し)という作用をします。
歩行時における前脛骨筋の働き(作用)とは?
すねの前脛骨筋は、歩行時において2つの働きをしています。
1つ目は、歩いている時につまずかないようにしていることです。 前脛骨筋は、つま先を上にあげる足首を曲げる働きをしています。(足関節の背屈)
つま先を上にあげることができなければ、平坦な道でも躓いてしまい、場合によっては転倒する恐れもあります。躓かずに歩くことができるのは、この前脛骨筋がしっかりと働いているからです。
2つ目は、歩いている時の体のバランスを取っていることです。歩いている時の「踵から着地する瞬間」(ヒールロッカー)に、前脛骨筋が地面の衝撃吸収の役割をしています。※前脛骨筋の遠心性収縮
この地面の衝撃吸収が弱ると、脚の踏ん張りが効かなくなり、体のバランスを崩すことにつながります。
参考にしたい記事です!
姿勢を保持する抗重力筋としての役割
前脛骨筋は、歩行だけでなく、姿勢を保つために必要な筋力=「抗重力筋」の役割をしています。その他の筋肉で代表的なのは、太ももの大腿四頭筋、上半身と下半身を繋ぐ腸腰筋、お尻の大臀筋、体幹の腹直筋、脊柱起立筋があります。これらの筋肉がバランス良く働いて、姿勢を真っ直ぐにしているのです。
翌日に前脛骨筋の疲労を残さない!疲労回復ストレッチ&セルフマッサージのススメ
多くの方は毎日、何千歩と歩きます。この歩数の回数分、地面からの衝撃を吸収するため前脛骨筋にジワジワと疲労が蓄積されていく訳です。(前脛骨筋には、知らず知らずに疲労が溜ることが特徴)
すねの疲労を放置しておくと、痛みが治まらず、シンスプリントなどの運動障害にも繋がります。また、歩いている時に悪い姿勢になり、歩くことがしんどくなります。
ですから、日頃から前脛骨筋の疲労回復し、足首をリフレッシュしておきたいものです。足首のリフレッシュは、足が軽くなるだけでなく、むくみ解消、寝つきも良くなるという効果も期待できます。
お風呂上がりに!オフィスで!前脛骨筋の疲労を回復させ、筋肉をリフレッシュさせる方法
前脛骨筋の疲労回復には、自宅で手軽にできるストレッチ体操、セルフマッサージがおすすめです。
ストレッチ体操、セルフマッサージは、疲労回復効果が期待できるだけでなく、お風呂上がり、家事や仕事の合間、テレビを見ながら、出張や旅行先などで手軽にどこでもできるメリットがあります。
また、ストレッチ体操は、自律神経の副交感神経も刺激されるため、寝つきも良くなりますよ。
では、歩き疲れ予防、足首のリフレッシュ、むくみ解消!の前脛骨筋の疲労回復ストレッチ体操、セルフマッサージを紹介します!
1 お風呂上がり、テレビを見ながら足首スッキリ!前脛骨筋のセルフケアマッサージ
セルフマッサージの手順
1) 床に座ります
2) 片足の膝を曲げて、両手をすねに当てます
3) すねの筋肉(前脛骨筋)を軽く親指で押さえます
4) 下から上に向けて、ゆっくりとすねの筋肉を押します
5) 自然呼吸で10往復行います
6) 反対の足も同様に行います
【注意】
・気持ちの良い強さで筋肉を押しましょう
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2 座りながらできる!家事、デスクワークの合間に!前脛骨筋ストレッチ
エクササイズの手順
1) 背すじを伸ばし、椅子に腰掛けます
2) 右足をあげて、左足の太ももに足首を当てます
3) 「足の甲」と「膝」を手で軽く支えます
4) 足の甲をゆっくりと手前に引きます → すねの前脛骨筋が伸びます
5) 自然呼吸で20〜30秒間静止します
6) 反対の足も同様に行います
【注意】
・痛みがなく、伸ばせる範囲でゆっくりと行いましょう
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3 お風呂上がり!床に座ってテレビを見ながら!前脛骨筋ストレッチ2
エクササイズの手順
1) 床に座ります。(壁にもたれても良いです)
2) 右足をあげて、左足の太ももに足首を当てます
3) 「足の甲」と「膝」を手で軽く支えます
4) 足の甲をゆっくりと手前に引きます → すねの前脛骨筋が伸びます
5) 自然呼吸で20〜30秒間静止します
6) 反対の足も同様に行います
【注意】
・痛みがなく、伸ばせる範囲でゆっくりと行いましょう
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4 お風呂上がり、テレビを見ながら!前脛骨筋の正座・足首ストレッチ
エクササイズの手順
【重要】正座をして膝が痛む場合は、このストレッチは中止してください。
1) 背筋を伸ばして正座をします。膝や腰が痛くないことを確認してください。
2) すねの筋肉の伸びを感じ、自然呼吸で20秒間静止します
余裕があれば
3) ゆっくりと、できる範囲で手を後方で体を支えます
4) すねの筋肉の伸びを感じ、自然呼吸で20秒間静止します
5) ゆっくりと元の位置に戻ります
【注意】
・痛みがなく、伸ばせる範囲でゆっくりと行いましょう
・後方に倒れすぎないようにしてください
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5 足首柔軟!むくみ解消!どこでも動かしながら前脛骨筋、腓腹筋の足首ストレッチ
エクササイズの手順
1) 両足を伸ばして、床にお尻をつけて座ります
2) ゆっくりと、足の指先を伸ばします。(すねが伸びます)
3) ゆっくりと、足首を曲げます(ふくらはぎが伸びます)
4) 2)〜3)を自然呼吸で10回繰り返します
【注意】
・痛みがなく、伸ばせる範囲でゆっくりと行いましょう
・動作はゆっくりと行います
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6 ストレッチポールで疲労回復!筋肉リリース!前脛骨筋の筋肉ほぐし
【エクササイズの前に】
すねの筋肉(前脛骨筋)をストレッチポールに当てた時に痛い場合は、
・タオルをすねに当てクッション代わり
・それでも痛い場合はストレッチを中止する
でお願いします。
エクササイズの手順
1) ストレッチポールを横向きにおきます
2) 四つん這いになります。
3) ゆっくりと、片足のすねの筋肉(前脛骨筋)をストレッチポールに当てます ※痛い場合は、タオルをすねに当てます(もしくは中止)
4) 自然呼吸で20秒間静止します
5) 反対の足も同様に行います
【注意】
・痛みがない範囲でゆっくりと行いましょう
・動作はゆっくりと行います
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まとめ 前脛骨筋!足首の疲労回復、むくみ解消、脚のリフレッシュに!前脛骨筋のストレッチ体操
いかがでしたでしょうか? すねの前脛骨筋を伸ばすストレッチ体操に慣れるまでには、やや時間がかかります。
前脛骨筋は、グイっと伸びる感覚よりも、ジワ〜と伸びてくる感覚です。ですから、伸びてないなぁと思って、無理やり伸ばしてしまうと、関節を痛めてしまいますのでご注意くださいね。
また、前脛骨筋と反作用の関係(拮抗筋)にある下腿三頭筋のエクササイズを同時に行うと、より効果がアップできますよ。
本記事(前脛骨筋)の参考文献の紹介
・理学療法士・作業療法士のための解剖学(渡辺正仁監修/廣川書店)
・オーチスのキネシオロジー 身体運動の力学と病態力学(Carol A.Oatis 著/ラウンドフラット)
・Dr.マスコリーノ Know the Body 筋・骨格の理解と触診のすべて(マスコリーノ著/医歯薬出版)
・筋骨格系のキネシオロジー(Donald A.Neumann著/医歯薬出版)
・セラピストのためのハンズ・オンガイド 姿勢コントロール(Jane Johnson著/医歯薬出版)
足首リフレッシュで腰や膝の痛みも解消!自宅で簡単ストレッチ法はこちら
この記事を書いた人
小林素明 (城好きパーソナルトレーナー)
テレビ番組「ちちんぷいぷい」「大阪ほんわかテレビ」「ten」などに多数出演し、メディアからも注目されるパーソナルトレーナー。30年以上の指導経験と健康運動指導士の資格を有し、1万レッスンを超えるパーソナルトレーニング指導の実績。特に40代からシニア世代向けの「加齢に負けない」トレーニングに定評があり、親切で丁寧な指導が評価されている。
医療機関との連携を通じて、安全で効果的なトレーニング法を研究し、病院や企業での腰痛予防に関する講演では受講者の98%から「分かりやすかった」と高評価を得る。また、パーソナルトレーナー養成講座の講師としても豊富な実績を誇り、多くのトレーナーの育成に貢献しています。