転倒予防の保存版!プロのトレーナーが教える転倒を予防する筋力トレーニング(自重トレーニング)のやり方

脚力強化、筋力アップのサイドランジ

パーソナルトレーナーの小林素明です。

転倒は脚や腕に怪我をするだけでなく、脚の骨折から要介護となる場合もなり、自力歩行で過ごせる健康寿命を縮めることになります。60歳を過ぎると急激に歩行速度が低下しますので、少なくとも50歳から筋力低下を防ぐ対策が必要です。これらのことを裏付ける調査があります。

▼高齢者(65歳以上)の介護が必要となった原因 ※1

1位「認知症」、2位「脳血管疾患(脳卒中)」、3位「高齢による衰弱」、4位「骨折・転倒」 

▼高齢者(65歳以上)の不慮の事故による死因 ※2

「転倒・転落・墜落」は「交通事故」の約4倍。

転倒による骨折は男性より女性に多いのが特徴で、骨が脆くなる骨粗鬆症にも関係しています。

では、転倒はどんな場所で起こるのか? なぜ転倒が起こるのか? 転倒予防対策はどうすれば良いのか?を話します。

転倒はどんな場所で起こっているの?

転倒発生場所 消費者庁
厚生労働省『国民生活基礎調査』(令和元年)より

転倒事故の半数は、「自宅」で起こっています。意外に思われたかも知れません。2番目は、「一般道路」、「介護施設」と続きます。このことから、転倒予防対策には、転倒事故が起こりやすい自宅において、転倒しやすい場所はどこか? どのような状況で転倒したのか?を探ることが重要になります。

自宅での転倒発生場所どこ?

自宅内で転倒事故が発生している場所
消費者庁 医療機関ネットワーク事業報告 令和2年

自宅で転倒が多く発生している場所は、「浴室・脱衣所」、「庭・駐車場」、「ベッド・ふとん」「玄関・勝手口」「階段」となっています。具体的な転倒状況では、「滑る」「つまづく」「ぐらつく」「ベッド等から移動時に」「引っ掛かる」ことです。特に水回りである「浴室・脱衣所」での滑らない対策、歩行時にコードなどの小さな障害物の対策は重要です。

なぜヒトは転倒するのか?

転倒は、内的要因、外的要因の結果によって起こっています。内的要因は身体の機能や状態を示し、外的要因は床や建物の構造による転びやすさを示しています。

転倒の内的要因

転倒の内的要因では、加齢によって身体の機能が低下し、足腰の筋力が弱る、歩行力が低下する、バランスを崩しやすくなる、反応力が弱るなどのことで転びやすくなります。また、薬による副作用、めまい、パーキンソン病などによっても転びやすくなります。

足関節の背屈 前脛骨筋

歩行の動作に注目すると、加齢により「つま先を上げる(足首の背屈)角度」の著しく低下します。このことは、つま先を上げる筋力(前脛骨筋)の低下が原因で、わずかな段差でもつまづきやすくなります。

転倒の外的要因

転倒の外的要因では、段差(玄関、敷居)、部屋の明るさ(暗い)、床にあるコード、絨毯、滑りやすい床などがあります。

では次に具体的な転倒予防対策を話します。

転倒予防対策(生活環境編)

浴槽 手すり滑り止め 転倒予防

転倒の半数は自宅で起こっています。その自宅での外的要因である「生活環境」の見直し行なってみましょう。

転倒予防対策チェックリスト

  • 浴室内に手すりがあるか?
  • 浴室内は滑らないように清掃をしているか?
  • 浴室内、シャンプー時に目を閉じていることを想定しているか?
  • 脱衣所のマットは滑らないか?(滑り止めマットがおすすめ)
  • 玄関にスリッパや靴は散乱していないか?
  • 玄関の段差には手すり、段差解消スロープはあるか?
  • 階段に滑り止め、手すりはついているか?
  • 朝、夜間に起き上がる時は動作はゆっくり行なっているか?
  • 食卓などに敷いている絨毯で躓かないか?
  • 通り道に電気のコードがないか?(電気製品の移動)

自宅でできる転倒予防トレーニング法(筋力トレーニング)

脚力トレーニング バックランジ

わずかな段差でのつまずきは、加齢による筋力低下、姿勢を保持するバランス筋力の低下が大きな要因です。つまづきを予防すれば、転倒するリスクは大幅に軽減できます。

転倒を予防するためには、筋力トレーニングで加齢による筋力低下を防ぐ必要があります。

ご自宅でも安心して筋力トレーニングができるよう、自分の体重で負荷をかける「自重トレーニング法」を紹介します。

筋力トレーニングの注意点

エクササイズの注意事項運動中は必ず呼吸を行いましょう できる範囲で行いましょう 正しいフォームを守って行いましょう 鍛えている筋肉を意識しましょう 運動に集中して行いましょう 体調の良いときに運動を行いましょう 食事や睡眠の疲労回復に努めましょう

トゥレイズ(つま先上げ筋トレ) /初心者向け

筋トレ トゥレイズ
筋トレ トゥレイズ
間違ったフォーム トゥレイズ

期待できる効果

歩行中につまづきにくくなる

主に鍛える筋肉

すねの筋肉:前脛骨筋(ぜんけいこつきん)

エクササイズの方法

  • 片足を半歩前に出し、背中を伸ばします
  • 息を吐きながら、つま先を天井に上げます (脛に力が入ります)
  • 息を吸いながら、元に戻します
  • 2〜3を繰り返します
  • 反対側の脚も同様に行いましょう

回数:15回

注意:動作中に姿勢が崩れないようにしましょう

カーフレイズ(踵上げ運動) /初心者向け

期待できる効果

姿勢を保持する筋力を養成し、転びにくくなる。姿勢が良くなる。

主に鍛える筋肉

ふくらはきの筋肉下腿三頭筋(かたいさんとうきん)

エクササイズの方法

  • 肩幅に足を広げて、つま先を前方へ向けます
  • 息を吐きながら、踵を上げてつま先立ちになります(姿勢に保持が重要)
  • 息を吸いながら、元に戻します
  • 2〜3を繰り返します

回数:15回

注意:動作中に姿勢が崩れないようにしましょう

転倒予防メリーゴーランド / 初中級者向け

転倒予防筋トレ メリーゴーランド
転倒予防筋トレ メリーゴーランド
転倒予防筋トレ メリーゴーランド
筋トレ間違ったフォーム 腕が移動

期待できる効果

不意の動作でも姿勢を保持できる筋力を養成し、様々なスポーツでのブレを予防する。

主に鍛える筋肉

お尻の筋肉中臀筋(ちゅうでんきんきん) 、股関節のインナーマッスル(外旋筋)

太ももの筋肉: 大腿四頭筋(だいたいしとうきん) など

エクササイズの方法

  • 両手を水平に伸ばし、片足立ちになります(背中も伸ばします)
  • 自然呼吸を行いながら、ゆっくり体を回旋させます
  • ゆっくりと反対側へ体を回旋させます
  • 2〜3を繰り返します
  • 反対側の脚も同様に行います

回数: 5往復 2セット

注意: 姿勢が崩れたらスグに中断してください。腕が先に移動しないようにしましょう

壁を持ちながら「片足スクワット」 /初中級者向け

脚の筋トレ 片足スクワット
脚の筋トレ 片足スクワット
間違った筋トレフォーム 腰を痛めます

期待できる効果

階段や歩行での踏ん張り力を養成し、転倒しにくくなる。脚力向上。

主に鍛える筋肉

お尻の筋肉大臀筋(だいでんきん) 中臀筋(ちゅうでんきんきん) 、股関節のインナーマッスル(外旋筋)

太ももの筋肉: 大腿四頭筋(だいたいしとうきん)、ハムストリングス など

エクササイズの方法

  • 壁に片手を添えて、背中を伸ばします
  • 片足立ちになり、お腹に力を入れます(反り腰予防)
  • 息を吐きながら、お尻を後方へ下げていきます【つま先より膝が突き出さないようにします】
  • 息を吸いながら、元の位置に戻ります
  • 反対側の脚も同様に行います

回数: 10〜15回

注意: 姿勢が崩れたらスグに中断してください

レベルアップ編: 壁から手を離し、腰に手を当てて行いましょう

着地スクワット/初中級者向け

筋トレ/脚力転倒予防 着地スクワット
筋トレ/脚力転倒予防 着地スクワット
間違った筋トレフォーム ニーイン膝を痛めます

期待できる効果

階段下り、ジョギングでの踏ん張り力を養成し、転倒しにくくなる。脚力向上。

主に鍛える筋肉

お尻の筋肉大臀筋(だいでんきん) 中臀筋(ちゅうでんきんきん) 、股関節のインナーマッスル(外旋筋)

太ももの筋肉: 大腿四頭筋(だいたいしとうきん)、ハムストリングス など

エクササイズの方法

  • 背中を伸ばし、片足を床から浮かせます
  • 浮かせた足を前方に着地させて、片足スクワットのポーズを取ります【自然呼吸】
  • 元の位置に戻ります
  • 同じ足で2〜3を繰り返します
  • 反対側の脚も同様に行います

回数: 10〜15回

注意: 腰や膝に痛みがある場合には中断してください

転倒予防対策と転倒予防トレーニング まとめ

パーソナルトレーナー

いかがでしたでしょうか?転倒予防には、加齢による筋力低下を防ぐ筋力トレーニングだけでなく、自宅の生活環境を整える必要があります。

転倒の多くは自宅で発生していますので、転倒が起こりやすい要因を排除することから始めることが重要です。

転倒予防トレーニングは、脚力を養成し歩行筋力の改善にも役立ちます。健康寿命を伸ばすことができ、要介護を防ぐことに繋がりますよ!

ぜひ、この機会に運動習慣を身につけてくださいね。

記事作成における参考資料

※1 厚生労働省「国民生活基礎調査」令和元年

※2 厚生労働省「人口動態調査」平成26年〜令和2年

文献

・「骨格筋ハンドブック」(原著第3版) Chris Jarmey(著) 野村 嶬(監訳)/ 南江堂

・「筋骨格系のキネシオロジー」(原著第3版) Donaid A. Neumann(著) 医歯薬出版株式会社