血圧の値が常に異なる?その理由と対策について

パーソナルトレーナーの小林素明です。レッスン前に実施している血圧測定で、「どうして血圧の値はいつも違うのですか?」と質問を受けることがよくあります。血圧の値が常に異なることは、多くの人にとって一般的な経験です。これには、さまざまな要因が関与しています。では、血圧の変動に影響を与える主な要因、血圧の測定方法を話します。

血圧とは

血圧とは、心臓が血液を体中に送り出す際に、血液が血管の壁に与える圧力のことです。血圧は、最高血圧と最低血圧の2つの数値で表されます。1つ目の最高血圧は、心臓が収縮して血液を送り出すときの血圧を示します。(収縮期血圧) 2つ目の最低血圧は、心臓が拡張して血液が戻ってくるときの血圧を示します。(拡張期血圧) 例えば、110/75 mmHgという数値は、最高血圧が110mmHg、最低血圧が75mmHgとなります。

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正常な血圧、高血圧の値とは?

日本高血圧学会高血圧治療ガイドラインが定める正常な血圧とは、「最高血圧(収縮期血圧)が120mmHg以下、最低血圧(拡張期血圧)が80mmHg以下」です。血圧が高い状態を高血圧と呼び、これは心臓や血管に負担をかけ、生活習慣病をはじめとする健康問題を引き起こす可能性があります。そのため、血圧は日常的な健康管理において重要な指標であり、定期的に測定することが推奨されています。

家庭で測定する際の血圧基準

最高血圧最低血圧
正常血圧115未満かつ75未満
正常高血圧115-124かつ75未満
高値血圧125-134かつ/または75-84
高血圧135以上かつ/または85以上

家庭で血圧測定をする場合、診察室で測定するよりも低い基準となっています。それは、診察室で血圧測定をする場合、精神的な緊張で血圧値が高くなると推定されるからです。

なぜ血圧の値が変化するの?

血圧値が変化する主な要因

  1. 時間帯(日動変動)
  2. 身体活動(会話を含む)
  3. 精神的ストレス
  4. 食事
  5. 睡眠

1 時間帯や温度(日動変動)

1日の中で時間帯によって血圧は大きく変動します。例えば、朝起きた直後や、食事を摂った直後には血圧が上昇する傾向があります。これは、身体の活動レベルや消化プロセスによるものです。また、寒い時には血管が縮こまり、血圧が上がりやすくなります。※室温22度で血圧測定することが望ましい。

2 身体活動(会話を含む)

運動をすると、一時的に血圧が上昇します。これは、心臓がより多くの酸素と栄養素を必要とするためです。一方で、運動を続けることで血圧が下がることもあります。これは、心臓や血管が効率的に働くようになるためです。また研究によると、人と会話したり食事をすると、血圧値は平均で35程度上昇することが分かっています。そのため、会話をしながら測定すると、血圧値は変化します。

3 精神的ストレス

ストレスや興奮状態では、交感神経が活性化し、血圧が上昇します。このため、緊張したり怒ったりすると、一時的に高い血圧が観測されることがあります。

4 食事

食事内容や摂取量も血圧に影響を与えます。高塩分の食事やカフェインの摂取は、一時的に血圧を上昇させる可能性があります。また、食後には消化に関わるプロセスが始まり、これも一時的な血圧上昇につながります。

5 睡眠

睡眠不足や質の悪い睡眠は、血圧に影響を与えることがあります。正常な睡眠パターンが乱れると、交感神経と副交感神経のバランスが崩れ、血圧の調節が難しくなることがあります。

これらの主な要因は、個々の人やその日の体調や状況によって異なる影響を与えることがあります。

血圧の予測不能な変動:日常生活の隠れたリスク

急激な血圧上昇は、心臓や脳、血管に大きな負担をかけ、急性の障害を引き起こす可能性があります。このような状況は日常生活でも発生します。具体的には、冬場における排便時にこの現象が顕著です。排便は通常、力を入れることが多く、その結果血圧が上昇しやすくなります。さらに、寒い環境下では、血管が収縮し、これも血圧を上昇させる要因となります。2つの要因が重なり、血圧の急上昇へと繋がります。

したがって、冬場に排便を行う際には、血圧上昇を抑えるための対策が重要です。

  • 適切な姿勢や呼吸法を用いて、力みを最小限に抑える
  • トイレは暖かく保つことも重要

高血圧や心臓病の既往歴がある場合は、排便時の血圧上昇を予防するために医師と相談することが必要です。

血圧を正しく測定するためには?

正確な血圧測定は、健康状態を正確に把握するために重要です。以下は、正しい血圧測定を行うための条件と手順です。これに従うことで、より信頼性の高い結果を得ることができます。

家庭用血圧測定の準備

  1. 適切な機器の選択: 血圧計は信頼性が高く、正確な測定が可能なものを選ぶことが重要です。市販されている自動式のデジタル血圧計は一般的に信頼性が高く、使用が容易です。手首のタイプではなく、腕に巻くタイプを推奨します。
  2. 測定の前の準備: 血圧を測定する前には、静かで落ち着いた環境を選びます。(室温22度が望ましい) 運動や食事、カフェイン摂取などの刺激物を摂取を避けて、背もたれの椅子に座り5分間の安静しておくことをお勧めします。
  3. 姿勢の確認: 血圧を測定する際、背中をしっかりと支える椅子に座り、測定位置は腕を心臓の高さにします。
  4. 腕の適切な位置: 血圧計の袖を腕に巻く際には、腕の位置が正確であることを確認します。上着は脱いでおきましょう。

家庭用血圧測定法

血圧測定の準備ができましたら、リラックスして血圧測定を開始します。

測定する

血圧測定ボタンを押す
リラックスして会話をせず測定します
2回測定
1回目が終了しましたら、再度測定を行います
2回の平均値を算出
2回の測定値の平均を算出します。

最適な血圧測定のタイミング

血圧測定は決まった一定の時間帯で実施します。おすすめは、血圧が安定しやすい起床後、就寝前です。測定前には、背もたれの椅子に座り5分間の安静が必要です。

注意:起床後は1時間以内に、トイレを済ませて、食事、薬を飲む前に測定を行います。

血圧測定 まとめ

いかがでしたでしょうか? 血圧測定は病気の可能性を知ること、自覚症状がなくても体の異常を知らせてくくれるのです。定期的に血圧測定していると、体調の良し悪しもわかってきます。そのことは、レッスン前に血圧測定を行っていて、常日頃感じています。

血圧が気になる方は、この機会に血圧測定を始めてみませんか?

腰痛ケアが導く加齢に負けない体づくり専門パーソナルトレーナー

参考

  • 厚生労働省「令和元年国民健康・栄養調査報告」
  • 日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン
  • 「ガイトン生理学」原著第13版 著:John E. Hall

この記事を書いた人

パーソナルトレーナー小林素明

小林素明

健康運動指導士 米国ハワイ州立大学医学部人体解剖学実習修了 介護予防運動トレーナー マッスルコンディショナー 日本臨床運動療法学会会員

【経歴】 運動指導歴30年超、テレビ出演多数、延べ1万人超のパーソナルトレーニング指導実績、YouTube登録者数1万人超。医療機関との連携も図り、安全かつ効果的なトレーニング法を研究。

フィットネスクラブ、温浴施設に17年間勤務後、株式会社ウェルネス&スマイルを起業。大阪市阿倍野区にパーソナルトレーニングどこでもフィットを開業し、「加齢に負けない筋肉づくり」「日常生活・スポーツ動作のパフォーマンスアップ」を得意とし、80歳代の方までトレーニング指導にあたる。病院をはじめとする医療機関、教育機関、不動産会社などで講演・講師活動。パーソナルトレーナー指導者養成講座の講師も務める。

【テレビ出演】 毎日放送「ちちんぷいぷい」/朝日放送テレビ「キャスト-CAST-」/読売テレビ「ten.」/テレビ朝日「ナニコレ珍百景」/読売テレビ「大阪ほんわかテレビ」/サンテレビ「4時!キャッチ」他

【講演・講師実績】 一般財団法人関西労働保健協会/経済産業省ヘルスケアサービス社会実践事業「医療運動マッチング対応トレーナー育成講習会」/徳島県教育委員会 /箕面市立病院/日本臨床運動療法学会(第36回)/ファインレジデンス枚方香里園(京阪電鉄不動産)特別講師/SSK /八尾市教育委員会/岸和田市民病院/南河内環境局組合 他多数 (敬称略)

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