鵞足炎、膝痛、ランニング障害の原因と対策ストレッチ法
こんにちわ!
大阪のパーソナルトレーナー 小林素明です。
ランニングやジャンプ動作の繰り返しで膝の内側に痛みが出てくる。これは鵞足炎(がそくえん)という膝の炎症かも知れません。鵞足炎は、ランニング中に起こりやすい障害です。※膝の外側が痛くなるランニング障害は腸脛靭帯炎と疑われます。
この鵞足炎は、膝が内側に入ってしまうX脚(内股)の方、股関節が硬い方、いつもシューズの底の内側が磨り減ってしまう方に多いことが特徴です。
では、鵞足炎とはどんな症状なのか?を話します。
鵞足(がそく)とは何か?
鵞足とは、太ももの前面から内側へ繋がる筋肉「縫工筋(ほうこうきん)」、太ももの内側から膝の内側へと繋がる筋肉「薄筋(はっきん)」、太ももの内側から膝の内側に繋がる筋肉の「半腱様筋(はんけんようきん)」の3つの筋肉の「腱」が扇状に付着している部位の総称です。
この付着している腱の部分の形が、鵞鳥の足に似ていることから、鵞足(がそく)と呼ばれています。
縫工筋
起始:上前腸骨棘 停止:脛骨内側面上部(鵞足) 作用:股関節の屈曲、外転、外旋 膝関節の屈曲、内旋
薄筋
起始:恥骨結合の外側 停止:脛骨内側面(鵞足を形成) 作用:股関節の内転、膝関節の屈曲
半腱様筋
起始:坐骨結節の内側面 停止:脛骨粗面の内側(鵞足を形成) 作用:膝関節の屈曲、膝関節屈曲時に下腿の内旋
ランナー膝、鵞足炎の症状
走っているとき、走り終わった後 → 膝の内側に痛みを感じる場合
鵞足炎は、ランニングを開始するときには膝の内側に痛みを感じませんが、走り出すと徐々に痛みが増していく症状です。炎症が進行していきますと、走っている時だけでなく、立っている時や座っている時にも膝の内側が痛みを感じるようになります。
膝の内側〜膝下の辺りに痛みあり
直接、手で触ると痛みがありますし、座ったままで両足を広げて体を倒すストレッチの時にも痛みがあります。
鵞足炎の原因は何か?
鵞足炎の原因は、膝の使いすぎによるものが大きいです。膝の曲げ伸ばしの時に鵞足の部分の「腱」と「骨」が擦れて炎症が起こっています。膝の動作が多ければ、擦れる回数も増えて悪化するということになります。
特に膝が内側に入る(knee-in)X脚の場合、ランニング中の着地の際、足の小指側が浮く「外反動作」と、つま先が外側に向く「外旋動作」が繰り返されるため、鵞足炎の発症のリスクは大きくなります。
それに加えて、準備運動不足、柔軟性の低下、シューズの底の内側が磨り減ったまま走っていることも発生の要因になります。
長距離走、サッカー、バスケットボールなどのスポーツに多いのが特徴です。
鵞足炎かどうかは医療機関で診てもらう
鵞足炎の自己判断は危険です。なぜならば、膝の内側の痛みは、半月板損傷、タナ障害、変形性膝関節症なども疑われるからです。それぞれ、治療法、対策法が異なりますので、間違うと痛みが悪化することも考えらます。まずは、医療機関で医師の正しい診断が必要となります。
鵞足炎(膝痛)の予防方法
鵞足炎の予防には、原因となる薄筋、縫工筋、半腱様筋のストレッチングが有効です。これらの筋肉がある股関節、太ももの内側、太ももの裏側を中心に行います。
鵞足炎の予防のストレッチは
・ゆっくりと筋肉を伸ばすこと
・80%くらいの筋肉の伸びで静止すること
・痛みを伴わないこと
・呼吸をしっかりと行うこと
を守って行ってください。※ただし、痛みを伴う場合は中止をしてください。
また、スポーツ前の準備運動、筋肉が温まるお風呂上がりに行うと効果的です。では、鵞足炎の予防ストレッチの方法を紹介します!
鵞足炎予防ストレッチ1 片足開脚ストレッチ
1) 右足は床に膝をつき、左足は真横へ伸ばします
2) 手は床につき、ゆっくりと体を起こします
3) 左足の太ももの内側が伸びます
4) 自然呼吸で20秒間静止します
5) 反対の足も同様に行います
<注意>
・背中が丸くならないようにします
鵞足炎予防ストレッチ2 太もも内側の筋肉伸ばしストレッチ
1) お尻を床につけて、両足の膝を曲げて、足の裏同士を合わせます
2) 背筋を伸ばし、肘を太ももの内側につけます
3) 肘で両膝を押して、太ももの内側を伸ばします
4) 自然呼吸で30秒間静止します
<注意>
・背中を曲げないようにします。
鵞足炎予防ストレッチ3 太もも裏側の筋肉ストレッチ
1) 右足を伸ばし、左足の膝を曲げ「足の裏」を太もも内側に当てます
2) 背筋を伸ばし、左足のつま先を方向に体を倒します
3) 太ももの裏側の筋肉の伸びます
4) 自然呼吸で20秒静止します
5) 反対側の足も同様に行います
<注意>
・背筋を伸ばしておきます
鵞足炎の予防対策のまとめ
鵞足炎は、膝の内側に痛みがある炎症で、X脚の方、体が硬い方、シューズ底の内側が磨り減っている方、ランニングやサッカーなどのスポーツをされている方に多いスポーツ障害です。膝の内側にある鵞足という腱と骨と擦れて、痛みを生じます。
痛みがある場合は、自己判断せずに医療機関で診断してもらってください。
また、痛みが引いたとしても、鵞足炎を再発する可能性は十分にあります。痛みがひいいた後には、鵞足炎の再発予防のためにストレッチを行ってください。ストレッチは、動作はゆっくりで自然呼吸を忘れずに行いましょう。
この記事を書いた人
小林素明 (城好きパーソナルトレーナー)
テレビ番組「ちちんぷいぷい」「大阪ほんわかテレビ」「ten」などに多数出演し、メディアからも注目されるパーソナルトレーナー。30年以上の指導経験と健康運動指導士の資格を有し、1万レッスンを超えるパーソナルトレーニング指導の実績。特に40代からシニア世代向けの「加齢に負けない」トレーニングに定評があり、親切で丁寧な指導が評価されている。
医療機関との連携を通じて、安全で効果的なトレーニング法を研究し、病院や企業での腰痛予防に関する講演では受講者の98%から「分かりやすかった」と高評価を得る。また、パーソナルトレーナー養成講座の講師としても豊富な実績を誇り、多くのトレーナーの育成に貢献しています。