実録!ランニングのパーソナルトレーニング「ランニング膝、足首の痛み」
こんにちわ!
パーソナルトレーナーの小林素明です。
お客様に許可を頂きまして、ランニングコースのレッスンをお届けします。2016年8月2日の実録レッスンです。(お客様は森さん)
ランニングコースでは、ランニングでのひざや腰などの関節痛を克服するためのコンディショニング、効率的なランニングの実現のために走力強化のトレーニング、大会前のベストコンディションづくりを行っています。
ランニングに必要なカウンセリングを実施
まず始めにレッスン受講のきっかけ、目的を伺い、ランニングでの『お悩み』をじっくりとお伺いします。
お客様「森さん」のトレーニング目的
・フルマラソンで完走したい(大阪マラソン出場に向けて)
・数年前からランニング時に左の「ひざ」「足首」に痛みがある
・以前のように走れる身体になりたい
過去のスポーツ歴
・学生時代は本格的に野球でピッチャーをしていた
・社会人に入りトライアスロン、マラソンなどを行っていた
体重の変動
・63kg → 77kg(現在)になる
・ここ数年の増加が10kg
カウンセリングでの解説
40歳くらいまでは、スポーツを継続的に行っていた様子で、しかもかなり本格的な内容でした。この数年はスポーツからは遠ざかっておられて、体重が増加。そのため、体脂肪の増加、筋肉量の減少という悪循環に陥っている可能性があります。
また、講演活動で全国を飛び回っておられて、移動時間が多いとのことでした。移動による骨盤まわりの筋肉及び、背骨(脊柱)まわりの筋肉、太もも裏の筋肉の緊張が推測できます。
トレーニング前の姿勢、柔軟性、骨盤チェック
トレーニングに入る前に現在の姿勢バランス、柔軟性、ランニングでの要になる骨盤の可動性チェックを実施しました。
姿勢バランスチェックでは、身体の歪みの観察をし、硬くなっている筋肉や弱っている筋肉を推測します。
姿勢バランスチェック
・左肩が下がっている(左側の腹筋が緊張など)
・O脚、ガニ股スタイル (太もも外側が硬い、太もも内側が弱い)
という特徴が見られました。
一方の肩が下がっているということは、左右に重心が崩れていることが多いこと、そしてお腹(腹斜筋)の緊張のために身体が歪んで見えます。また、O脚はひざが外側に開き、走るとひざを痛めやすい傾向にあります。
腿上げチェック
もう1つ腿上げチェックを行いました。これは左右交互に太ももをあげて、3秒間ほど静止するというもので、あげた足ではなく、支えになっている足の「踏ん張り力」をチェックしています。
結果
・足をあげた時(両足とも)に上半身がグラついている。
・不安定感がある
腿上げで身体が崩れているということは、ランニング時には身体を揺らしながら走っていることが推測できます。この揺れは、大きなスタミナロスにつながります。フルマラソンでは4万回の脚の着地がありますから、「ひざ」や「足首」に相当な負担がかかります。
また、ランニング時には体重の4倍くらいの負担がひざにかかっています。ですから、森さんの場合
体重 77kg × 4倍 = 約300kg
フルマラソンでは、この300kgの負担が、4万回の着地で負担がかかり、さらには身体の揺れが加算されるのです。ですから、この腿上げテストはランニングされる方にとっては、大きな意味があります。
柔軟性チェック(関節可動域チェック)
大人から始めるスポーツでは、柔軟性チェックは最重要です。なぜならば、座りすぎで骨盤、背骨まわりの筋肉が硬くなり、スポーツ中に想像以上の疲労が蓄積されるからです。その疲労の蓄積は、腰痛やひざ痛をまねいていることがほとんどです。
森さんの場合、
・背骨まわり全体
・太ももの裏(ハムストリングス)
・太もも外側(外則広筋)
・臀部(大臀筋、中臀筋など)
・胸(胸郭)
など、かなり広い範囲で筋肉の硬さ(硬直)が見られました。
ランニングフォームのビデオチェック
森さんのランニングフォームをビデオ撮影しました。静止している状態では見えてこなかった、身体の歪みを発見することができます。実際に撮影後に、森さんにご自身のフォームを見てもらったところ、「え〜、そんなフォームで走っていたの?」と驚愕されていました。
ほとんどの方が、身体をまっすぐにして走っているという認識があり、ご自身のフォームを見て衝撃を受けられています。
ビデオチェックの結果
森さんの場合、左に身体を傾けながら走っていることが分かりました。左足のひざ、足首が痛くなる要因がココにありました。ここから、トレーニングフォームの改善計画を立案します。
改善トレーニング、コンディショニング
ランニングのコンディショニングは、骨盤まわりの筋肉の硬直を緩和することから始めます。その理由は、ランニングの着地の際に骨盤まわり(股関節)に大きな衝撃を受けること。そして股関節の筋肉のバランスが崩れると、体全体にも影響を及ぼし、非効率な走りになるからです。
テニスボールでお尻のまわりの筋肉をほぐす
お尻のまわりの筋肉を手軽かつ効果的にほぐす方法です。体を傾けたりすることで、中臀筋や梨状筋、内外閉鎖筋といったインナーマッスルにもアプローチできます。
ストレッチポールで太ももまわりをほぐす
ストレッチポールで筋肉(筋膜)のリリースをかけることができます。このことにより、短時間で筋肉をほぐすことができます。
新幹線、特急列車での移動中でできるストレッチ指導
講演活動で多忙な森さん。いくらエクササイズで筋肉をほぐしていても、座りっぱなしの時間が長くなれば元の木阿弥です。ですから、骨盤まわりの筋肉が硬くならないように移動中に体を動かすストレッチで血行促進を行います。
ペアストレッチで筋肉の柔軟性向上
自分では伸ばせない筋肉を伸ばすこと。そして、全身の筋肉がリラックスした状態でストレッチができることで、ストレッチ効果をより高めます。短期間で柔軟性を高めるコツがここにあります。
レッスン後に再度、姿勢チェック
レッスン後に姿勢チェックを行いました。特に地に足がついたような気がするというコメントをいただきました。
姿勢チェック 前面より
姿勢チェック 側面より
姿勢チェック 後面より
レッスン後に再度、腿上げチェック
レッスン後に腿上げチェックを行いました。アフター(After)では、「上半身のブレ」「骨盤の傾き」が緩和されて、太ももが上げやすくなっています。
ニーアップ 右足
ニーアップ 左足
森さんより嬉しいコメント
専門家の方に客観的に指導していただくと自分で見えていないものが理解できます。レッスンの中でご指摘いただいたこと、腑に落ちました。また、マラソン大会までの詳細なスケジュールと、動画までありがとうございます!
実はもう、走る事を諦めかけていたのですが、このストレッチで固まった筋肉をほぐして、少しずつ走れるカラダにしていきます。
ランニングコンディショニング まとめ
ランニングのコンディショニングは、まず目標設定をすることから始まります。そこから、どのようにプログラムを立てれば良いのかを判断するために、カウンセリング〜姿勢チェック〜柔軟性チェック〜歩行、ランニングフォームチェックという流れで、現状を把握します。
そこから得られた情報から、優先するべきエクササイズを導き出すわけです。森さんの場合は、長年のスポーツ活動(野球、トライアスロン)だけでなく、仕事での座りっぱなし(移動)、立ちっぱなし(講演)という、長時間同じ姿勢を繰り返すことによる筋肉の緊張が見られました。
ですから、その筋肉の緊張を緩和すつることが最優先されます。段階的にパフォーマンスアップのための筋トレを導入し、マラソンのタイム短縮を狙います。
トレーニング計画の一部
~8月中旬: 筋肉ほぐしメイン(股関節の動きを良くします)
8月中~8月末: 体幹トレーニング を導入
9月~ : フォーム安定化のための脚トレ (腰、ひざ、足首の負担軽減)
この記事を書いた人
小林素明 (城好きパーソナルトレーナー)
テレビ番組「ちちんぷいぷい」「大阪ほんわかテレビ」「ten」などに多数出演し、メディアからも注目されるパーソナルトレーナー。30年以上の指導経験と健康運動指導士の資格を有し、1万レッスンを超えるパーソナルトレーニング指導の実績。特に40代からシニア世代向けの「加齢に負けない」トレーニングに定評があり、親切で丁寧な指導が評価されている。
医療機関との連携を通じて、安全で効果的なトレーニング法を研究し、病院や企業での腰痛予防に関する講演では受講者の98%から「分かりやすかった」と高評価を得る。また、パーソナルトレーナー養成講座の講師としても豊富な実績を誇り、多くのトレーナーの育成に貢献しています。