解剖学【腹直筋/体幹・腹筋】筋肉のしくみと効果的な筋トレ、柔軟ストレッチの方法 ★動画あり
フィットネストレーナーの小林素明です。
腹直筋とは、お腹の表面にある馴染みの腹筋。姿勢をコントロールしたり、体幹を丸める(屈曲)、多くのスポーツのパフォーマンスに影響がある筋肉です。いわゆる腹筋は、腹直筋以外に外腹斜筋、内腹斜筋、腹横筋で構成しています。
では、腹直筋はどんな筋肉? 鍛えるメリットは何か? 安全で効果的に鍛える方法は?を順番に話します。
目次
腹直筋とはどんな筋肉なの?
腹直筋(ふくちょくきん)
筋肉の起始: 恥骨結合、、恥骨稜
筋肉の停止: 剣状突起と第5〜7肋軟骨
神経支配: 肋間神経(T7〜12)
主な筋肉の働き(作用): 体幹の屈曲、体幹の側屈、骨盤の後傾
主な腹直筋の働き(作用)
腹直筋の主な働きは、
・体幹を屈曲させること(体を曲げる)
・体を側屈させること(体を横に倒す)※腹直筋の片側が収縮→収縮した側に体を傾ける
・呼吸運動(肋間筋とともに)
また、筋膜の繋がりを意識した(胸筋~腹直筋~内転筋)のトレーニングを行うことで、高度なパフォーマンスアップにつながります。
腹直筋を鍛えるメリットとは?
- 体幹をコントロールし、スムーズな動作ができる
- 姿勢、体型維持に役立つ
- 腰痛の予防になる
1 体幹をコントロールし、スムーズな動作ができる
腹直筋は、外腹斜筋、内腹斜筋、腹横筋の腹筋群とともに、体幹を安定させる働きをしています。この体幹の安定は、歩く走るなどの様々な動作で、体のブレをなくし、疲れにくい動作を実現してくれます。多くのスポーツのフォームの安定化にも効果的です。
よく聞かれる「歳だから足腰の筋力が落ちた?」は、体幹の力が弱り、体幹の筋力不足を足腰の筋力で補っている可能性も考えられます。この場合、足腰を強くすると同時に、体幹を鍛えておく方が近道となります。
2 姿勢、体型維持に役立つ
腹直筋は、姿勢を真っ直ぐに保つための抗重力筋としての役割があり、良い姿勢を保ってくれる筋肉です。また、お腹をかっこよく見せることもできますね。
3 腰痛の予防になる
腰痛を起こす人の特徴の1つとして、日常生活でも腰が反り気味になっていることです。理由は腰が反ってると、腰の骨が前方に湾曲する「腰椎の前弯」となり腰に過剰なストレスがかかるからです。
その対処法として、腹筋(腹横筋を意識した)を鍛えると、腰椎の前弯(腰の反り)が緩和→腰の負担を軽減します。
腹筋と背筋のバランスはどのように保っているのか?
腹筋と背筋は、体が前後に倒れないようにするために使われている筋肉です。立位の状態で、体を後方へ傾けると「腹筋」。体を前方に傾けると「背筋」が使われて、体の保持ができます。ちなみに、体を後方に傾けるときに、手で腹筋に触れると力が入っていることが良くわかります。
人の体は、常に体を真っ直ぐに保つため、姿勢が変わるたびに筋肉を使って、体が倒れるのを防止しています。体幹はその役目の要となっています。専門的には、この筋肉の使われ方を筋肉が伸びながら収縮(遠心性の収縮)と言います。
では、次に腹直筋を強くする「自宅でできる腹直筋を効果的に鍛える方法」を紹介します。
自宅でできる!腹直筋を効果的に鍛える方法
<筋トレを効果的に行うために>
・15回前後で限界 がくるような種目は筋力アップに効果的(ギリギリ限界はNG)
・20回以上できるようになれば、レベルアップします。
・フォームが崩れたり、違うフォームはNG
・まずは気に入った1〜2種目を中心に行いましょう
<ご注意>
エクササイズは無理なくできる範囲で行ってください。運動中に痛みを感じる場合は、医療機関での受診をお勧めします。なお、自己責任での実施をお願いします。
1 クランチ【やさしい】
鍛える筋肉: 腹直筋
運動方法:
- 仰向けになり、両手を頭の横に添え、両膝を曲げておきます
- 息を吐きながら、肩を浮かせて体を丸めます
- 息を吸いながら、元の位置に戻ります
- 2〜3を繰り返します
回数:15回
ポイント: エクササイズ中は手に力を入れないようにします
2 ニークランチ【ややきつい】
鍛える筋肉: 腹直筋、腸腰筋
運動方法:
- お尻、両手を床につけて膝を曲げておきます
- 息を吐きながら、膝を近づけます(腹直筋、腸腰筋が鍛えられます)
- 息を吸いながら、元の位置に戻ります
- 2〜3を繰り返します
回数:15回
ポイント: 動作はゆっくりと行います
3 クランチ内転筋【やさしいが効く】
鍛える筋肉: 腹直筋、内転筋
運動方法:
- 厚めの座布団を膝の間に入れておきます
- 仰向けになり、両手を頭の横に添え、両膝を曲げておきます
- 息を吐きながら、肩を浮かせて体を丸めます(内転筋にも力が入ります)
- 息を吸いながら、元の位置に戻ります
- 3〜4を繰り返します
回数:15回
ポイント: 内転筋に力を入れることで、より腹直筋を効かせることができます
4 レッグレイズ【きつめ/下腹部に効く】
鍛える筋肉: 腹直筋(下部)
運動方法:
- 仰向けになり、お尻の下に両手を入れます
- 膝は軽く曲げておきます(安全のため)
- 息を吐きながら、ゆっくりと足を上げていきます
- 息を吸いながら、元の位置に戻ります
- 3〜4を繰り返します
回数:15回
ポイント: 腰を反らさないよう、常に腹筋に力を入れておきます
5 V字腹筋トレーニング【かなりきつめ】
鍛える筋肉: 腹直筋
運動方法:
- 仰向けになり、両手と両足を伸ばしておきます
- 息を吐きながら、体の中央で手と足をタッチします
- 息を吸いながら、元の位置に戻ります
- 2〜3を繰り返します
回数:15回
ポイント: 腰を反らさないよう、常に腹筋に力を入れておきます
6 プランク&ニーアップ【かなりきつめ】
鍛える筋肉: 腹直筋、腸腰筋
運動方法:
- 両手を床につき、つま先立ちになります
- 息を吐きながら、腿上げを行います
- 息を吸いながら、元の位置に戻ります
- 左右交互に腿上げを繰り返します
回数:左右10回ずつ
ポイント: 常に腹筋に力を入れて、体を真っ直ぐにしておきます
紹介したエクササイズの方法は動画で学ぶことができます。ぜひご覧くださいね!
【動画】自宅でできる腹直筋を鍛えるエクササイズ
では、次に腹直筋を柔軟にするメリット、ストレッチ法を紹介します。
腹直筋を柔軟にするメリット
- 良い姿勢を保つことができる
- 脊柱起立筋のパフォーマンスを高める
- 運動のパフォーマンスを高める
1 良い姿勢を保つことができる
腹直筋が硬くなると、骨盤が後ろに傾き、体が前に曲がった姿勢になります。そこで腹直筋を柔軟にすることで、骨盤の位置を改善することができ、体を真っ直ぐに保つことができます。
2 脊柱起立筋のパフォーマンスを高める
腹直筋が柔軟になることで、背骨(脊柱)の可動範囲を広げることができ、背筋の筋肉である脊柱起立筋により力が入ります。
3 運動のパフォーマンスを高める
腹直筋が柔軟になることで、パワー発揮のための伸張反射(筋肉を伸ばした直後、筋肉を収縮させる)の活動が有利になり、バレーボールでのアタック動作、野球での投球動作、陸上競技での走り幅跳びのジャンプなど、多くのスポーツでのパフォーマンスを高めることができます。
では、次に姿勢も良くなる自宅でできる腹直筋を柔軟にするストレッチ法を紹介します。
自宅でできる!腹直筋を柔軟にするストレッチ法
体を柔軟にするストレッチを安全かつ効果的に行うために
- 1ポーズに30秒間静止が基本です。(動かすストレッチの場合は動作はゆっくり)
- 特に硬いと感じる筋肉には2セット実施(30秒間×2回)をお勧めします
- ポーズを取っている間は自然呼吸を実施します
- 痛みを伴わない程度に体を伸ばします
- お風呂上がりに行うと効果抜群です
1 足前後の腹直筋ストレッチ
伸ばす筋肉: 腹直筋
運動方法:
- 両手を床につけて、片足を曲げて、反対の足は後方へ伸ばします
- ゆっくりと体を反らします
- 自然呼吸で30秒間静止します
- 足を入れ替えて、同様に行います
ポイント: 後方に伸ばした側(左・右)の腹直筋が伸びてきます
2 両手伸ばし腹直筋ストレッチ
伸ばす筋肉: 腹直筋
運動方法:
- うつ伏せになり、両手を床につけます
- 無理のない範囲でゆっくりと体を反らします
- 自然呼吸で30秒間静止します
ポイント: 動作はゆっくりと行います
体が反らしにくい場合は・・・
両ひじを床につけて、体を反らします。
3 両手・両足伸ばし【起床時、就寝時にできるストレッチ】
伸ばす筋肉: 腹直筋
運動方法:
- 仰向けになり、両手と両足を真っ直ぐにします
- 手と足が体から離れていくイメージで伸ばします
- 自然呼吸で30秒間静止します
ポイント: 腰を反らさないようにします
4 立位の体反らしストレッチ【どこでもできるストレッチ】
伸ばす筋肉: 腹直筋
運動方法:
- 立った姿勢で両手を腰に当てます
- できる範囲でゆっくりと体を反らします
- 自然呼吸で10秒間静止し、2セット行います
ポイント: 腰を反らし過ぎないように注意します。
紹介したストレッチの方法は動画で学ぶことができます。ぜひご覧くださいね!
【動画】自宅でできる腹直筋を伸ばすストレッチ
まとめ 腹直筋の筋肉のしくみと効果的な筋トレ、柔軟ストレッチの方法
いかがでしたでしょうか? 腹直筋は姿勢を保つためにとっても大切な筋肉です。いわゆる体幹ですね。自覚しやすい方法では、立った姿勢で体を前後に移動すると、腹筋と背筋が使われていましたね。(未チェックの方はこちら)
腹直筋と脊柱起立筋は、どちらかの筋肉に力が入る(主働筋)すると反対側の筋肉は伸びる(拮抗筋)という、相反する関係にあります。詳しくはこちら
腹直筋は、外腹斜筋、内腹斜筋、腹筋のインナーマッスル(腹横筋)の腹筋群とともに、日常やスポーツの動作で体の軸を安定させる役割があり、筋肉が連携しているのですね。また腹筋を鍛えておくことで、腰痛の予防もできます。アンチエイジング、スポーツのパフォーマンスにも効果的な腹直筋のエクササイズをぜひ続けてくださいね。
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