理想の体重とは?BMIで見るやせと肥満のリスクと対策 パーソナルトレーナー解説

パーソナルトレーナーの小林素明です。

自分にとっての理想の体重がわからず、どのくらいが健康的なのか迷ったことはありませんか?

この記事では、自分の体重が健康的かどうかをチェックし、理想的な体重を見つけるための方法を紹介します。無理なく自分に合った健康的な体重を目指し、理想の体づくりを始めるための第一歩を一緒に踏み出しましょう。

理想的な体重の基準とは?

適正体重とBMI 体脂肪率

理想的な体重とは、病気にかかりにくく、健康を保ちながら、日常生活やスポーツでのパフォーマンスを最大限に発揮できる体重を指します。モデルのようなスリムで美しい体型に目が行きがちですが、健康と身体の機能を最優先に考えることが大切です。ただし、理想の体重は人それぞれで、体型や生活習慣、健康状態によって異なります。そのため、まずは基本的な目安として、BMI(ボディ・マス・インデックス)を活用するのが一般的です。BMIは、日本医師会でも推奨されている指標です。

BMIとは?身長に応じた体重の適正範囲

BMIとは、身長に対してどれくらいの体重が適正かを示す指標で、体重(kg)を身長(m)の2乗で割ることで算出されます。日本肥満学会では、BMIが18.5~24.9の範囲が「普通体重」とされており、これが健康的な体重の目安となります。BMIが25以上だと肥満、18.5未満だと低体重(やせすぎ)と判断されます。

例えば、身長が160cmの方の場合、BMIが18.5~24.9の範囲であれば、理想的な体重は47.4kg~63.7kgとなります。

ただし、BMIはあくまでも目安であり、すべての人に当てはまるわけではありません。というのも、BMIでは筋肉量や体脂肪率といった健康状態を直接測ることができないためです。筋肉質でがっしりした体型の人は、筋肉量が多いことでBMI値が高くなることがありますが、実際には適正な体脂肪率を維持していることもあります。

体重だけでなく、体脂肪率や筋肉量も考えよう

体型を気にする女性

理想的な体重を考えるときに大切なのは、体重だけではなく、体脂肪率や筋肉量も含めて考えることです。体脂肪率は、体の中にどれだけ脂肪があるかを示す指標で、一般的に男性は10~20%、女性は20~30%が健康的とされています。

また、筋肉量も非常に重要です。同じ体重でも、筋肉が多い人は引き締まった体型を維持しやすく、基礎代謝が高いため脂肪がつきにくい特徴があります。一方で、筋肉量が少なく体脂肪が多いと、見た目が太りやすくなり、健康リスクも高くなります。(かくれ肥満)

したがって、体重の増減だけでなく、適正な体脂肪率と筋肉量を保つことが大切です。(ジムなどで体脂肪を測定するか、自宅で体脂肪計を備えておくと良いでしょう。) 健康的で美しい体を手に入れるためには、筋肉をつくるための筋トレや、バランスの取れた食事を習慣にすることが重要です。

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BMIを計算してみよう

体脂肪の計算法  BMI

BMIの定義

BMIとは、「ボディ・マス・インデックス(Body Mass Index)」の略で、身長と体重のバランスを数値化したものです。自分の体重が健康的かどうかを知るための一つの目安として、WHOなどで国際的に用いられており、世界中で広く使われています。BMIは、あなたの体重が標準的なのか、それとも痩せているのか、太っているのかを示しています。

では、実際にBMIの計算をしてみましょう。

簡単に計算できる!BMI

BMI判定表、肥満、痩せ、体重比較

BMIは以下の計算式で求めることができます。  BMI= 体重 (kg) ÷ 身長 (m)の2乗 

例) 体重60kg  身長160cm (1.6m)の場合

BMI = 60 ÷  (1.6×1.6)=  23.4

この数値をもとに、自分の体重が健康的な範囲にあるかどうかを判断できます。BMIが18.5~24.9は適正範囲ですので、23.4は適正となりますね。あなたの数値はいくらでしたか?

日本医師会のホームページでは身長と体重を入力するだけで、BIM値が簡単に出てきます。 https://www.med.or.jp/forest/health/eat/11.html

BMIから見る体重の健康リスク

BMI判定基準


日本においては、このBMIの値に基づいて体重を標準体重、やせ、肥満の3つのカテゴリーに分け、それぞれの健康リスクを以下のようにあげています。

標準体重(BMIが18.5〜24.9の人)

BMIが18.5〜24.9の範囲に収まる人は「標準体重」とされます。これは、健康的な体重の目安であり、この範囲内にいると、心臓病や糖尿病などの生活習慣病のリスクが低く、日常生活を元気に過ごせる可能性が高いとされています。標準体重を維持することは、身体のバランスが良く、筋力や体力も十分に保たれていることを意味します。特に、体を動かしやすく、ケガのリスクも少なくなります。

ちなみに健康診断での標準体重は、BMI「22」と基準として算出しています。

やせ(BMIが18.5未満の人)

BMIが18.5未満の人は「やせ」に分類されます。やせすぎると、体が十分なエネルギーや栄養を得られず、免疫力が低下しやすくなるため、病気にかかりやすくなるリスクがあります。特に注意すべきは、やせの人は肥満の人よりも死亡率が高いという研究結果があることです。栄養不足による体力の低下や、感染症に対する抵抗力の低下が原因と考えられています。無理なダイエットや過度な食事制限を続けることで、体に深刻な負担がかかり、命に関わるリスクが高まる可能性があるため、健康的な体重を維持することが大切です。

肥満(BMIが25以上の人)

BMIが25以上になると「肥満」に分類されます。肥満の状態が続くと、心臓病や高血圧、糖尿病などの生活習慣病のリスクが大幅に増加します。また、肥満によって関節にかかる負担も大きくなるため、腰痛や膝の痛みが出やすくなります。肥満を改善するためには、バランスの取れた食事と定期的な運動が欠かせません。特に、筋力トレーニングを取り入れることで、基礎代謝を高め、体脂肪を減らしやすくなります。

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日本人のBMIと死亡リスク、病気リスクに関する研究

BMIと死亡率
国立がん研究センターによるBMIと全死亡リスクのデータ

35万人の日本人のBMIデータを分析した研究によると、BMIが標準体重の範囲にある人は、死亡リスクや病気のリスク(がん、心臓病、脳血管疾患など)が最も低いことが明らかになっています。興味深いことに、BMIが25以上の「肥満」の範囲にある人よりも、BMIが18.5未満の「やせ」の範囲にある人の方が死亡リスクが高いという結果が出ています。特に中高年以降になると、筋力が衰えることもあり、体重が低すぎる「やせ」には注意が必要です。最近の研究では、少し太り気味の人の方が長生きしやすいという見解も多く見られます。

日本におけるBMIの課題

日本人女性は、先進国の中でも「痩せている人」の割合が特に高いことが特徴です。英国、米国、カナダ、ドイツでは女性の「痩せ」の割合が5%以下であるのに対し、日本では16.5%に達しています(2022年 WHO)。BMIが低いと、肥満よりも「痩せ」の方が死亡や疾病のリスクが高いことが知られており、厚生労働省もその危険性について注意を呼びかけています。

このように、BMIが標準体重の範囲にあることが、健康維持において非常に重要であることがわかります。適切な体重管理を行い、無理なダイエットは避けるように心がけましょう。

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健康的な体重を維持する方法

体重を測定するフローリング

健康的な体重を維持するには、バランスの取れた食事や適切なカロリー摂取、定期的な運動、そして睡眠とストレス管理が欠かせません。これらの要素を組み合わせて、無理なく理想の体を保つ方法を、パーソナルトレーナーの視点からお伝えします。

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バランスの取れた食事と適切なカロリー摂取

食事は体のエネルギー源であり、健康を維持するためにはバランスが重要です。バランスの取れた食事とは、炭水化物、タンパク質、脂質を適切に摂取することを意味します。それぞれの栄養素には異なる役割があり、以下のように体に良い影響を与えます。

  • 炭水化物:体の主なエネルギー源。ご飯やパン、パスタなどに含まれており、運動や日常活動のエネルギーになります。
  • タンパク質:筋肉を作り、修復するために必要。肉、魚、豆類などに含まれています。サプリメントのプロテインもありますが、基本的には食事から摂取するのが望ましいです。
  • 脂質:体のエネルギー源として使われるほか、細胞膜を作る重要な成分です。良質な脂肪を選ぶことが大切です。

必要な栄養素をバランスよく取り入れることで、筋肉を維持し、余分な脂肪を蓄えない健康な体を作ることができます。厚生労働省の「栄養バランスガイド」を参考にすることで、どの栄養素がどれくらい必要かを理解し、食事の見直しに役立てることができます。また、スマートフォンのアプリを利用すると、食事の栄養バランスを簡単にチェックできるので便利です。

食事の内容を意識し、健康的な体を作るための第一歩を踏み出しましょう。

定期的な運動の重要性

ヨガマットでフィットネスを行う女性

運動は筋肉を維持し、基礎代謝を高めるためにとても重要です。特に、筋力トレーニングは筋肉量を増やし、体を引き締める効果があります。たとえば、ダンベルを使ったエクササイズや自重トレーニングなどがこれにあたります。

また、ウォーキングや自転車などの有酸素運動も欠かせません。これらの運動は心肺機能を高め、体脂肪を燃焼しやすくする効果があります。これにより、病気にかかりにくい体を作ることができます。

運動を続けることが大切ですが、自分の体力や年齢に合わせた運動を無理のない範囲で行うことが必要です。特に運動習慣がない人は、急に激しい運動を始めると体に負担がかかることがあります。そのため、専門家からのアドバイスを受けながら、自分に合った運動を取り入れるのが良いでしょう。

継続的な運動が健康を支える鍵となりますので、自分に合った方法で少しずつ取り入れていきましょう。

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睡眠とストレス管理が体重維持に与える影響

睡眠不足やストレスは、体重管理に大きな影響を与えます。まず、睡眠が不足すると、体内のホルモンバランスが崩れます。具体的には、食欲を抑える「レプチン」というホルモンの分泌が減り、食欲を増進させる「グレリン」というホルモンの分泌が増えます。これにより、過剰な食欲を感じやすくなり、体重増加につながることがあります。

また、ストレスが溜まると、体内で「コルチゾール」というホルモンが過剰に分泌されます。コルチゾールは食欲を増す作用があり、特に甘いものや高カロリーな食事を欲しがる傾向があります。

これらの問題を避けるためには、まずは十分な睡眠を確保することが重要です。一般的には、毎晩7時間程度の睡眠が推奨されます。また、ストレスを軽減するためのリラックス法や趣味を見つけることも効果的です。

このようにバランスの取れた食事、定期的な運動、十分な休養を心がけることで、理想的な体重(BMI)や健康的な体を維持することができます。

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まとめ

理想の体重を維持するためには、BMIだけでなく、体脂肪率や筋肉量も重要です。標準体重の範囲にいることは健康の一つの目安となりますが、体脂肪率や筋肉量も合わせて確認することが大切です。特に、やせすぎや肥満はそれぞれ異なる健康リスクを伴うため、自分の体に合った適切な体重管理が必要です。

もし、自分一人では適切な体重管理が難しいと感じる方や、どのジムに通えば良いのか迷っている方がいれば、ぜひ「パーソナルトレーニングどこでもフィット」にご相談ください。指導歴30年以上の専門的なサポートを受けることで、より効果的なトレーニングと健康管理を実現し、理想の体を手に入れるお手伝いをいたします。

参考文献・論文

  • 日本医師会ホームページ
  • 国立研究開発法人国立がん研究センターホームページ
  • 厚生労働省ホームページ 
  • 日本肥満医学会ホームページ

この記事を書いた人

パーソナルトレーナー小林素明

小林素明

健康運動指導士 米国ハワイ州立大学医学部人体解剖学実習修了 介護予防運動トレーナー マッスルコンディショナー 日本臨床運動療法学会会員

【経歴】 運動指導歴30年超、テレビ出演多数、延べ1万人超のパーソナルトレーニング指導実績、YouTube登録者数1万人超。医療機関との連携も図り、安全かつ効果的なトレーニング法を研究。

フィットネスクラブ、温浴施設に17年間勤務後、株式会社ウェルネス&スマイルを起業。大阪市阿倍野区にパーソナルトレーニングどこでもフィットを開業し、「加齢に負けない筋肉づくり」「日常生活・スポーツ動作のパフォーマンスアップ」を得意とし、80歳代の方までトレーニング指導にあたる。病院をはじめとする医療機関、教育機関、不動産会社などで講演・講師活動。パーソナルトレーナー指導者養成講座の講師も務める。

【テレビ出演】 毎日放送「ちちんぷいぷい」/朝日放送テレビ「キャスト-CAST-」/読売テレビ「ten.」/テレビ朝日「ナニコレ珍百景」/読売テレビ「大阪ほんわかテレビ」/サンテレビ「4時!キャッチ」他

【講演・講師実績】 一般財団法人関西労働保健協会/経済産業省ヘルスケアサービス社会実践事業「医療運動マッチング対応トレーナー育成講習会」/徳島県教育委員会 /箕面市立病院/日本臨床運動療法学会(第36回)/ファインレジデンス枚方香里園(京阪電鉄不動産)特別講師/SSK /八尾市教育委員会/岸和田市民病院/南河内環境局組合 他多数 (敬称略)

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