寝ている間、運動中に足が攣る理由と予防法!日常生活で気をつけるべきこととは?

パーソナルトレーナー足上げ指導

大阪のパーソナルトレーナー小林素明です。

寝ている時に突然、足がつった驚きと痛みで目が覚めた、運動中に足がつり困った、という経験はありませんか? ご安心ください!パーソナルトレーナーである小林素明も足がつった方のたくさん対応をしております。僕の経験も含めてお話しします。

足のつりは、「こむら返り」「けいれん」と呼ばれるものです。「ふくらはぎ」「足の裏」は痙攣(けいれん)がよく起こる部位ですが「お腹」「背中」にも起こります。

こむら返り、筋肉の痙攣は決して珍しいことではなく、多くの方が経験するものです。そこで、こむら返りって何? ふくらはぎ、太ももの裏がつったらどうすれば良いのか? なぜ就寝中に足がつるのか? を話します。もう足がつっても怖くない!を目指します。

この記事で分かること

  • こむら返りとは何?
  • 筋の痙攣(けいれん)が起こる原因とは?
  • なぜ就寝中に足がつりやすいのか?
  • 誰でもできる!足がつったとき対処法

足がつる、こむら返りとは何?

腓腹筋

「足がつる(こむら返り)」は、ふくらはぎの腓腹筋に異常な興奮(緊張)が起こり、筋肉が硬くなり(収縮)、激しい痛みを伴った状態です。しばらくすると症状が治まることが多いですが、長時間続くこともあります。ふくらはぎだけでなく、足の裏、お腹などの他の部位でも「つり」、痙攣(けいれん)が起こります。

研究によると、大学生が過去に痙攣を経験した部位は、

  • ふくらはぎ(62%)
  • 足の裏(42%)
  • 足の指(31%)

と、ふくらはぎの痙攣が多いことが分かります。 ※1 The MGU journal of liberal arts studies : Karuchuru 2008年

筋の痙攣(けいれん)が起こる原因とは?

女性 ふくらはぎ 腓腹筋 

足がつる、という突発的な筋肉の痙攣(けいれん)は、専門的には「運動誘発性筋痙攣」と呼ばれています。なぜ筋肉の痙攣が起こるのか? 原因のメカニズムは現時点では解明されていませんが、筋肉の疲労、水分不足(脱水)、電解質の不均衡、気温などの原因が関わっていることが分かっています。

筋肉の痙攣の原因の有力とされるのは、脱水や電解質の不均衡、神経(中枢神経)系の変化です。そのことを示す研究したデータ(体力科学 2004年53.131-140)があります。研究によると、体重3%に相当する脱水により筋痙攣が起こりやすいと結論づけています。 ※2

神経(中枢神経)系の変化とは、脳から送られる信号が神経(末梢)を介して筋肉への伝達に異変が起こり、過度な筋肉の収縮が行われる状態です。

寝ている時に足がつりやすいのはなぜ?

1日の水分排泄量 ガイトン生理学

就寝中に汗、呼気によって約500mlの水分量が、気づかないうちに失われています。(約8時間 約29℃の条件下において)※3  1日では約2,300mlの水分が失われ、さらに長時間の激しい運動時には、1日に6,600mlの水分が失われます。 ※4

同時に夏場の冷房による冷え、冬場の冷えで足の血管が縮こまり、血行が悪くなります。このように就寝時におこる筋肉の痙攣は、脱水、気温が下がることで足がつりやすいことが分かります

また、厚生労働省は、水分不足について熱中症、脳梗塞、心筋梗塞など、さまざまな健康障害のリスク要因となる、と警鐘を鳴らしています。※5

筋肉の痙攣(けいれん)が起こった時の対処法

筋肉の痙攣が起こりやすい部位として、ふくらはぎ(62%)、足の裏(42%)、足の指(31%)という報告があります。

筋肉の痙攣を緩和する唯一の方法として、ストレッチすることです。痛みや緊張が緩和するまで、ゆっくりと筋肉を伸ばすことが望ましい方法です。1回に60秒間の自然呼吸を行いますが、再発しそうであれば2〜3セット行ってください。

ふくらはぎ(腓腹筋)がつったときの対処法

腓腹筋

よくある「こむら返り」、ふくらはぎがつった時の対処ストレッチです。就寝時を想定してふくらはぎ(下腿三頭筋)のストレッチを紹介しています。

足を手前にするふくらはぎ(下腿三頭筋)ストレッチ

下腿三頭筋ストレッチ

足がつって間もない時は、動作することが困難です。そのため、爪先を片手もしくは両手でフックするストレッチで痛みを緩和しましょう。まずは、60秒間のストレッチをおこなって様子を見ます。

足伸ばしフック 腓腹筋ストレッチ

腓腹筋ストレッチ

座った状態で、痙攣を起こしている側の膝を伸ばします。片手で足の裏をフックして、ふくらはぎ(下腿三頭筋)をゆっくりと伸ばします。自然呼吸で60秒間のストレッチを行いましょう。

タオル腓腹筋ストレッチ

タオル腓腹筋ストレッチ

近くにタオルがあれば、無理なく効果的にふくらはぎの筋肉が伸びます。太もも裏の筋肉(ハムストリングス)もストレッチされ腰痛、膝痛予防にもなります。自然呼吸で60秒間のストレッチを行いましょう。

両手を床につけてふくらはぎ(腓腹筋)ストレッチ

腓腹筋ストレッチ

両手を床につけて、両足の足の裏を床にべったりとつけます。ゆっくりと膝を伸ばし、体を「くの字」にします。踵を浮かさないようにすると、ふくらはぎの筋肉(腓腹筋)がしっかりと伸びます。腰痛、膝痛予防にもなります。自然呼吸で60秒間のストレッチを行いましょう。

立位のふくらはぎ(腓腹筋)ストレッチ

立位の腓腹筋ストレッチ

つった側の足を後方へ伸ばし、足を前後に広げます。後方の足の踵を床につけ、膝も伸ばし体を一直線にします。徐々にふくらはぎの筋肉が伸びてきます。自然呼吸で60秒間のストレッチを行いましょう。

太ももの裏(ハムストリングス)がつったときの対処法

ハムストリングス 大腿二頭筋、半腱様筋、半膜様筋

太ももの裏(ハムストリングス)がつった時の対処ストレッチです。

仰向けのハムストリグス(太もも裏)ストレッチ

ハムストリングスストレッチ

仰向けの状態でつった側の足を天井へ伸ばします。手でふくらはぎをサポートし、膝をゆっくりと伸ばします。徐々に太ももの裏(ハムストリングス)がストレッチされます。自然呼吸で60秒間のストレッチを行いましょう。

座位のハムストリングスストレッチ

座りハムストリングス ストレッチ

お尻を床につけて、つった足を前方へ伸ばします。背中を伸ばしたまま、体を前傾させます。徐々に太ももの裏(ハムストリングス)がストレッチされます。注意点は、背中を丸めないことです。自然呼吸で60秒間のストレッチを行いましょう。

立位のハムストリングスを伸ばすストレッチ

ハムストリングスストレッチ(立位)

壁に手を添えて、つった側の足をやや前方に伸ばします。伸ばした足の踵をしっかりと床に固定し、背中を伸ばします。お尻を後方へ移動すると、太ももの裏の筋肉(ハムストリングス)が伸びてきます。背中は丸めないようにします。自然呼吸で60秒間のストレッチを行いましょう。

足の裏がつったときの対処法

足裏 解剖

足の裏にある筋肉がつった(痙攣)ときの対処法です。

つま先を手前にする足裏ストレッチ

足裏ストレッチ

お尻をつけた状態で、両手で爪先を持ちます。爪先を手前に移動し、足の裏の筋肉を伸ばします。60秒間を目安に伸ばしましょう。緩和しない場合は、セット数を増やします。

足裏の正座ストレッチ

正座ストレッチ
正座ストレッチ

爪先を床につけて、お尻と踵をつけて正座を行います。体重を乗せるだけで足の裏の筋肉が伸びてきます。自然呼吸で60秒間を目安に伸ばしましょう。緩和しない場合は、セット数を増やします。

【片足バージョン】足裏の正座ストレッチ

足裏ストレッチ

立位の足裏を伸ばすストレッチ

足裏ストレッチ 立位

つった側の足を半歩後ろに移動します。壁を持ち、爪先を床に固定して、膝を軽く曲げます。踵がしっかり床から移動させることで、足の裏の筋肉がストレッチされます。自然呼吸で60秒間を目安に伸ばしましょう

足裏がつったときのストレッチ法の動画

お腹、腹筋がつった時の対処法 ストレッチ

腹直筋 解剖

意外に多いのがお腹の筋肉のけいれんです。笑いすぎた時、急にお腹に力を入れた、運動中などに腹筋がつります。腹筋の前部にある腹直筋を伸ばすストレッチ法を紹介します。

寝ながら腹筋伸ばしストレッチ

腹筋伸ばし

うつ伏せになり、両肘を床につけてゆっくりと体を反らします。徐々に腹筋が伸びてきます。自然呼吸で60秒間を目安に伸ばしましょう。

立位で腹筋を伸ばすストレッチ

腹筋伸ばしストレッチ 立位

両手を腰のあたりに添えます。ゆっくりと体を反らしながら、お腹を伸ばしていきます。急に体を反らすと、腰の骨(腰椎)に負担がかかり危険です。ゆっくりとストレッチしましょう。自然呼吸で60秒間を目安に伸ばしましょう。

基礎から学ぶ!ストレッチングの科学

足がつったときの対処法とストレッチ まとめ

パーソナルトレーナー足上げ指導

いかがでしたでしょうか? 足がつる、筋肉の痙攣は、ふくらはぎ、太ももの裏、お腹など様々な部位で起こります。この筋肉の痙攣は、脱水が原因になることが多く、夏場やスポーツでの脱水には注意が必要です。また就寝中には、約500mlの水分が体から失われますので、特に夏場は就寝前の水分補給も必要です。

また、筋肉の痙攣の緩和には、ストレッチが効果的です。よく筋肉の痙攣が起こる方は、このページを保存してストレッチ方法をマスターしておいてくださいね。ストレッチは、筋肉の痙攣の緩和だけでなく、足首や腰、膝の痛みの予防にもつながりますので、一石二鳥ですね。

参考文献

※1「運動時に発生する筋痙攣の要因および予防法」明治学院大学教養教育センター紀要 大野 政人, 黒川 貞生, 森田 恭光 2008年

※2「筋疲労および脱水が運動誘発性筋痙攣に及ぼす影響」 体力科学 53 (1), 131-139 大野 政人、野坂 和則 2004年

※3 大塚製薬佐賀栄養製品研究所データ 2000年

※4「ガイトン生理学」原著第13版 John E. Hall著 エルゼビア・ジャパン

※5 厚生労働省 「健康のため水を飲もう」推進運動

  • 「パワーズ運動生理学 (Exercise Physiology: eory and Application to Fitness and Performance)」 パワーズ,スコット・K. ハウリー,エドワード・T. 著 メディカルサイエンスインターナショナル 2020年

この記事を書いた人

パーソナルトレーナー小林素明

小林素明

健康運動指導士 米国ハワイ州立大学医学部人体解剖学実習修了 介護予防運動トレーナー マッスルコンディショナー 日本臨床運動療法学会会員

【経歴】 運動指導歴30年超、テレビ出演多数、延べ1万人超のパーソナルトレーニング指導実績、YouTube登録者数1万人超。医療機関との連携も図り、安全かつ効果的なトレーニング法を研究。

フィットネスクラブ、温浴施設に17年間勤務後、株式会社ウェルネス&スマイルを起業。大阪市阿倍野区にパーソナルトレーニングどこでもフィットを開業し、「加齢に負けない筋肉づくり」「日常生活・スポーツ動作のパフォーマンスアップ」を得意とし、80歳代の方までトレーニング指導にあたる。病院をはじめとする医療機関、教育機関、不動産会社などで講演・講師活動。パーソナルトレーナー指導者養成講座の講師も務める。

【テレビ出演】 毎日放送「ちちんぷいぷい」/朝日放送テレビ「キャスト-CAST-」/読売テレビ「ten.」/テレビ朝日「ナニコレ珍百景」/読売テレビ「大阪ほんわかテレビ」/サンテレビ「4時!キャッチ」他

【講演・講師実績】 一般財団法人関西労働保健協会/経済産業省ヘルスケアサービス社会実践事業「医療運動マッチング対応トレーナー育成講習会」/徳島県教育委員会 /箕面市立病院/日本臨床運動療法学会(第36回)/ファインレジデンス枚方香里園(京阪電鉄不動産)特別講師/SSK /八尾市教育委員会/岸和田市民病院/南河内環境局組合 他多数 (敬称略)

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