膝の内側の痛み「ニーイン トゥアウト」の原因と効果的な対策

スポーツ障害 ニーイントゥアウト対策法 スポーツケア

パーソナルトレーナーの小林素明です。何もしていないときは痛みがなくても、スポーツなどで脚を動かすと膝の内側が痛むことがある。この場合、膝関節の位置がズレる「ニーイン トゥアウト」が原因かもしれません。

「ニーイン トゥアウト」とは、立った状態から膝を曲げたとき、膝が内側に入り、つま先が外側に向く姿勢のことです。いわゆる「内股」の状態を指します(下の写真参照)。

膝とつま先の向きが一致していると、スクワットやランニングなどの運動でも膝への負担が分散されますが、「ニーイン トゥアウト」では、膝の内側に集中して負担がかかります。この状態で無理をすると、運動中に膝痛を引き起こすことがあります。サポーターやマッサージで一時的に痛みを和らげることはできますが、それでは根本的な解決にはなりません。

そこで、「ニーイン トゥアウト」の原因を理解し、正しいエクササイズを取り入れることで、膝への負担を軽減し、痛みの再発を防ぐことができます。次に、その原因と具体的な解決方法となるエクササイズをご紹介します。

膝痛を引き起こす「ニーイン トゥアウト」の原因とは?

「ニーイン トゥアウト」は、多くの人が気づかずに抱えている膝の問題です。この状態が起こる原因には、筋力のバランスの乱れや姿勢の崩れ、日常的な動作の癖などが考えられます。特に、股関節やお尻の筋肉が十分に使われていないと、膝の内側に力が集中しやすくなります。

長時間のデスクワークや運動不足も要因となり、筋肉の柔軟性が低下することで「ニーイン トゥアウト」を引き起こす可能性が高まります。このような問題を放置すると、膝に過剰な負担がかかり、痛みやケガのリスクが増してしまいます。骨の変形(変形性膝関節症など)の場合を除き、ニーイン トゥアウトは筋肉の硬さ、弱さに原因があります。それぞれどんな筋肉が関わっているかを紹介します。

硬くなっていると推測される筋肉

内転筋(太ももの内側)

・大腿筋膜張筋(太もも付け根の横) など

弱くなっていると推測される筋肉

大臀筋(お尻)

中臀筋(お尻) など

原因となる筋肉に対して、硬くなっている筋肉はほぐす、弱くなっている筋肉は強化するという対策エクササイズを行います。

あわせて読んでおきたい関連記事

ニーイントゥアウトのセルフチェック

片足スクワットテスト

ニーイントゥアウト

「ニーイン トゥアウト」を確認するためには、片足スクワットを試してみましょう。方法は簡単です。片足で立ち、ゆっくりとしゃがみます。このとき、膝が内側に入り込んだり、つま先が外側を向いてしまう場合、ニーイン トゥアウトの傾向が強いと言えます。膝とつま先の向きに注意しながら動作を行い、正しい姿勢をチェックしましょう。この簡単な動作で、自分の膝の状態を把握しやすくなります。

では、ニーイントゥアウトを解消し、膝痛を緩和予防するエクササイズを紹介します。

ニーイントゥアウト解消のための柔軟ストレッチ

1 内転ストレッチ「カエルポーズ」

カニ股関節ストレッチ
カニ股関節ストレッチ
カニ股関節ストレッチ

伸ばす筋肉: 内転筋
運動方法:

  1. 床に両肘をつき、膝を左右に開きます
  2. 背中は伸ばしたまま、お尻を後方へ移動します(内転筋が伸びます)
  3. 自然呼吸で30秒間静止します

内転筋の柔軟ストレッチ2 開脚前後の大内転ストレッチ

伸ばす筋肉: 内転筋(大内転筋)
運動方法:

  1. 足を前後に開き、前傾姿勢を取ります
  2. 手で膝を押し膝を外側へ開きます(太ももの内側を意識します)
  3. 自然呼吸で30秒間静止します
  4. 反対側の足も同様に行います

大腿筋膜張筋をほぐす フォームローラーリリース

フォームローラー大腿筋膜張筋

大腿筋膜張筋
ほぐす部位:太もも付け根の筋肉「大腿筋膜張筋」

エクササイズの方法

1) フォームローラーを準備します

2) うつ伏せになり、太ももの付け根(大腿筋膜張筋)にフォームローラーをあてます

3) ゆっくりと上下にローラーを転がします

4) 自然呼吸で60秒間行います

あわせて読んでおきたい関連記事

強化トレーニング ニーイントゥアウト解消(膝痛の予防)

1 4の字ヒップリフト

4の字ヒップリフト

鍛えられる筋肉  お尻(大臀筋
運動方法

  1. 仰向けになり、片足を反対側の大腿部にのせます。(4の字の形)
  2. 息を吐きながら、お尻を持ち上げます。
  3. 息を吸いながら、元の位置に戻ります。(床に臀部を触れないようにします)
  4. 3〜4を繰り返します。
  5. 反対側も足も同様に行います。

回数: 左右 各10〜15回
ポイント: 腰を反らさないように注意します。

2 床クロスオーバー 

鍛えられる筋肉  お尻(大臀筋)
運動方法

  1. 両手を前で組み、中腰姿勢で背中を伸ばします
  2. 自然呼吸で、右足を浮かせて、左右に移動させます。
  3. 足を移動させている時には、体はブレないようにします
  4. 繰り返します

回数: 左右 各15回
ポイント: 目線は前方で体はまっすぐにします

3 ブリガリアンスクワット(片足スクワット)

ブルガリアンスクワット

鍛える筋肉:大臀筋ハムストリングス、大腿四頭筋
エクササイズの方法:

  1.  片足を椅子に乗せて、足を前後に開きます
  2.  息を吸いながら、体はやや前傾させてお尻を下げます(お尻の筋肉を意識します)
  3.  息を吐きながら、立ち上がり元の位置に戻ります
  4.  2〜3を繰り返します。
  5.  反対の足も同様に行います。

回数: 左右10〜15回ずつ

4 ツイストスクワット(片足スクワット)

鍛える筋肉:大臀筋、中臀筋、ハムストリングス、大腿四頭筋
エクササイズの方法:

  1.  片足を椅子に乗せて、足を前後に開きます
  2.  息を吸いながら、体を捻りながらしゃがみます(お尻の横にも効きます)
  3.  息を吐きながら、立ち上がり元の位置に戻ります
  4.  2〜3を繰り返します。
  5.  反対の足も同様に行います。

回数: 左右10〜15回ずつ

ニーイントゥアウトの見逃せない原因「扁平足」

見逃せないのは足の土踏まずのアーチです。土踏まずが少ない方(扁平足)は、ニーイントゥアウトになりやすいため、強化トレーニングが必要となります。

足のアーチづくり 片足カーフレイズ

鍛える筋肉: 下腿三頭筋、体幹
エクササイズの方法:

  1.  片手は壁などでサポートします
  2.  背筋を伸ばし、片足の膝を曲げて、片足立ちになります
  3.  息を吐きながら、かかとを床からあげます(体幹が強力に鍛えられます)
  4.  息を吸いながら、元の位置に戻ります
  5.  3〜4を繰り返します

回数:15回
注意:姿勢を崩さないままで行ってください

あわせて読みたい関連記事

ここまでできれば、次のステップに進みましょう!

おすすめエクササイズ ニーベントウォーク

膝の関節をニュートラルにする最強のエクササイズです。(膝のアライメント修正エクササイズ ※1) 膝の痛みを感じる場合は中止してくださいね。

※1 アライメントとは骨の配列のこといいます。

エクササイズの方法

【しゃがむ深さ】 初級編 膝が90度 / 中級編 太ももが床と並行に

1)足を前後に開き、しゃがみます

2)腰の高さを一定にしながら、一歩ずつ前進します。(立ち上がらないようにします)

3)10歩を目安に行います

ニーベントウォーク 動画マニュアル

膝痛ニーイン、トゥアウト解消 まとめ

いかがでしたでしょうか? 膝の痛みの原因は様々ですが、運動中に痛みが増す場合にはニーイントゥアウトが疑われます。この場合にはサポーターを装着したり、マッサージをしても良くなることはありません。特にスポーツを長く続けたい方は、修正エクササイズは必要不可欠となります。

ニーイントゥアウトの対策での強化トレーニングは、臀部のエクササイズが中心となります。このエクササイズは、ヒップアップ、足の老化予防、良い姿勢を作り出しますので、長く続けられることをおすすめします。

フィットネスの始め方を知りたい!実際にフィットネスを始めたい方へ

当メディアでは、初心者でも簡単に始められるフィットネス法を、分かりやすく丁寧に紹介しています。

運動指導歴30年以上、テレビ出演も多数の実績、健康運動指導士の資格を持つパーソナルトレーナー・小林素明が、確かな信頼性をもとに情報をお届けしますこれからフィットネスを始めたい方は、ぜひこちらの健康と運動ガイドをご覧ください!

また、本格的にフィットネスを始めたいとお考えの方は、40代からシニア世代の方に特化したパーソナルトレーニングどこでもフィットもご検討くださいませ。

この記事を書いた人

大阪のパーソナルトレーナー小林素明
天空の城・竹田城(兵庫県)にて

小林素明 (城好きパーソナルトレーナー)

テレビ番組「ちちんぷいぷい」「大阪ほんわかテレビ」「ten」などに多数出演し、メディアからも注目されるパーソナルトレーナー。30年以上の指導経験と健康運動指導士の資格を有し、1万レッスンを超えるパーソナルトレーニング指導の実績。特に40代からシニア世代向けの「加齢に負けない」トレーニングに定評があり、親切で丁寧な指導が評価されている。

医療機関との連携を通じて、安全で効果的なトレーニング法を研究し、病院や企業での腰痛予防に関する講演では受講者の98%から「分かりやすかった」と高評価を得る。また、パーソナルトレーナー養成講座の講師としても豊富な実績を誇り、多くのトレーナーの育成に貢献しています。

小林素明の詳しいプロフィールはこちら