基礎代謝とは?重要性・向上方法・実践法をパーソナルトレーナーが解説
大阪のパーソナルトレーナー小林素明です。
健康や減量に興味を持っている方にとって、欠かせないのが「基礎代謝」です。しかし、「そもそも基礎代謝とは何か?」「基礎代謝を上げるにはどうすればいいのか?」と、疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、基礎代謝についてしっかりと理解し、日常生活や運動に役立てるための「基礎代謝完全ガイド」をご用意しました!
この記事は以下のような人におすすめです!
- 基礎代謝について詳しく知りたい!
- 基礎代謝を上げて健康的な体を手に入れたい!
- 基礎代謝がどう生活に影響するのか理解したい!
この記事では、「基礎代謝の基本知識・その重要性・基礎代謝を上げる方法」などを紹介します。この記事を読めば、基礎代謝についてしっかりと理解できるだけでなく、すぐに運動や生活に取り入れることができますよ!さらに、基礎代謝を高めるための具体的なアドバイスもお伝えしています。
「基礎代謝に興味がある方」「健康的な体を目指したい方」は、ぜひ参考にしてください。
基礎代謝とは? 基礎知識
基礎代謝とは、私たちの身体が生命を維持するために必要な最低限のエネルギー量のことを指します。たとえば、寝ている間や座っているときでも、心臓を動かし、呼吸をし、体温を保つために、身体はエネルギーを無意識に消費しています。このようなヒトが生命を維持するために必要なエネルギーが「基礎代謝」です。
この基礎代謝は1日の総エネルギー消費量の約60~70%を占めています。この1日の総エネルギー量の内訳は、体を動かすためのエネルギーが約30%(活動代謝)、食事の消化で使われるエネルギーが約10%(食事代謝)です。この内訳を見ると、1日に消費するエネルギーの大部分は、日常的な活動ではなく、基礎代謝によって使われていることが分かりますね。また、基礎代謝の中では、筋肉の活動が多く占めています。
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なぜ基礎代謝が重要なのか
では基礎代謝がそれほど重要なのでしょうか? それは、健康的な体重管理や全体的な健康状態に深く関わっているからです。基礎代謝が高い人は、何もしていない状態でも多くのエネルギーを消費するため、太りにくくなる傾向があります。一方で、基礎代謝が低い人は、同じ食事をしてもエネルギーが余りやすくなり、体脂肪が増えるリスクが高まります。
特に40代以上になると、基礎代謝が年齢とともに徐々に低下することが分かっています。そのため、若い頃と同じ食事の習慣を続けていると、体重が増えやすくなります。たとえば、スポーツの部活を引退すると太りやすい傾向にあります。その理由の1つが、体を動かす機会が減ったのにも関わらず、部活をやっていた頃と同じ食事を続けてしまっているところにあります。そのため、基礎代謝を理解し、自分に合った対策を取ることが健康維持には欠かせませんね。
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基礎代謝量を知る方法
基礎代謝量は個人差があり、年齢、性別、体重、身長、筋肉量などによって異なります。正確に測定するには、専門機関で機器を使う必要があり一般的ではありません。そこで、簡易的に基礎代謝量を知る方法を紹介します。
厚生労働省の基礎代謝量基準値
厚生労働省が発表した日本人の基礎代謝基準値についてご紹介します。この表に示されている「基準値」をご覧ください。基準値は体重1kgあたりに設定されており、比較がしやすくなっています。この表からわかるように、男性の基礎代謝量は女性よりも高く、また年齢と共に基礎代謝が低下する傾向があります。これは主に筋肉量の違いによるもので、男性の方が筋肉量が多く、若い人ほど筋肉量が多いことを示しています。
具体的には、この表を参考にすると、30〜49歳の方の基礎代謝量は、男性が1,530kcal/日(参照体重68.1kg)、女性が1,160kcal/日(参照体重53.0kg)となっています。ただし、基礎代謝量は年齢、体重、身長、筋肉量などによって個人差があるため、あくまでも目安としてご覧ください。
参考)基礎代謝量の数値を詳しく知りたい人のために
基礎代謝量を簡単に計算する方法として、一般的に使われるのが「ハリス・ベネディクト方程式」です。この計算式は、性別や体重、身長、年齢を基に基礎代謝量を求めるものです。具体的な計算式は以下の通りです。
- 男性の場合 基礎代謝量 = 66.5 + 13.7 × 体重(kg) + 5 × 身長(cm) – 6.75 × 年齢(才)
- 女性の場合 基礎代謝量 = 655.1 + 9.56 × 体重(kg) + 1.85 × 身長(cm) – 4.68 × 年齢(才)
40歳の男性 体重70kg、身長170cmの場合
66.5 + (13.75 × 70) + (5.003 × 170) – (6.75 × 40) = 約1,660kcal
50歳の女性 体重58kg、身長160cmの場合
655.1+ (9.56 ×58) +(1.85 × 160) – (4.68 ×50)= 約1,263kcal
少々計算が大変ですね。参考までに性別や体重、身長、年齢を入力するだけで算出できるサイトもあります。基礎代謝量の計算「生活や実務に役立つサイト」
基礎代謝量を左右する要因とは?
基礎代謝量は人によって異なり、さまざまな要因で左右されます。ここでは、基礎代謝量を左右する主な要因について詳しく解説します。
1. 筋肉量
基礎代謝量に最も大きな影響を与えるのが筋肉量です。筋肉は脂肪に比べてエネルギーを消費しやすい組織であるため、筋肉量が多いほど基礎代謝量が高くなります。筋肉量が増えると、何もしなくても消費されるカロリーが増えるため、太りにくく痩せやすい体質になります。逆に、筋肉量が少ないと基礎代謝量が低くなり、脂肪が蓄積しやすくなります。
2. 年齢
基礎代謝量は20代をピークに徐々に減少していきます。これは、加齢に伴って筋肉量が減少し、代謝が低下するためと考えられます。特に50代以降は筋肉量の低下が顕著となりますので、基礎代謝を維持するための筋力トレーニングや適切な食生活がますます重要です。
3. 性別
一般に、男性の基礎代謝量は女性よりも高い傾向があります。これは、女性に比べて男性の方が筋肉量が多く、脂肪が少ないためです。特に閉経後は女性ホルモンの分泌が減少し、基礎代謝量がさらに低下することがあります。
4. 体格
身長や体重が大きいほど、体を維持するために必要なエネルギーも多くなるため、基礎代謝量が高くなります。(体格が小さい人は基礎代謝量が低くなえう) ただし、身長や体重が多い人が必ずしも基礎代謝量が高いわけではありません。筋肉量が少なく、体脂肪が多いと基礎代謝量はそれほど高くないでしょう。
5. ホルモン
甲状腺ホルモンが不足すると、基礎代謝量は低下します。また、成長ホルモンやインスリンも代謝に影響を与えます。ホルモンバランスが崩れると、基礎代謝量が変動し、体重や健康に影響を及ぼすことがあります。
基礎代謝を上げるための方法
基礎代謝が高めることができれば、太りにくく痩せやすい体質、健康維持に役立ちます。ここでは、基礎代謝を高めるための具体的な方法について解説します。
1. 筋力トレーニングで筋肉量を増やす
基礎代謝を上げるために最も効果的な方法として、筋力トレーニングを行い、筋肉量を増やすことがあります。筋肉はエネルギーを多く消費する組織であるため、筋肉量が増えると基礎代謝も自然と上がりやすくなります。
基礎代謝を高めるためには、たくさんの筋肉を使ってのトレーニングが有効です。臀部を含む下半身は、全身の70%ほどの筋肉が集中しているため、基礎代謝を高める効果が期待できます。初心者でも始めやすい運動としては、スクワット、バックランジなどの自重トレーニングがあります。これらの運動は、特別な器具を必要とせず、自宅でも簡単に行えるため、日常生活に取り入れやすいでしょう。
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2. 有酸素運動を取り入れる
有酸素運動も基礎代謝を高めるのに有効です。ジョギング、ウォーキング、自転車などの有酸素運動は、体脂肪を減らし、全体的な代謝を向上させる効果が期待できます。有酸素運動を行うことで、心肺機能が向上し、酸素の取り込みが良くなるため、体全体の代謝が活発になります。20分以上の有酸素運動が有効ですが、1日の歩数を増やすという工夫でも効果が期待できます。
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3. 栄養バランスの取れた食事を心がける
栄養バランスの取れた食事を心がけることで、体の代謝機能を最適に保つことができます。特に、たんぱく質を十分に摂取することが重要です。たんぱく質は筋肉の修復や成長に必要な栄養素であり、基礎代謝を高める助けになります。魚、肉、豆類、卵などを積極的に食事に取り入れましょう。
また、ビタミンやミネラルも代謝に関与するため、野菜や果物もバランスよく摂取することが大切です。サプリメントは食事が十分に摂れない場合において、栄養素を補うサポート役として活用されることをお勧めします。
4. 朝食をしっかり摂る
朝食を摂ることで、体が目覚め、代謝が活発に働き始めます。特に、たんぱく質や炭水化物を含む朝食を摂ることで、エネルギー消費が促進されます。また、朝食を抜くと、体がエネルギーを節約しようとするため、基礎代謝が低下しやすくなります。日本人のたんぱく質摂取量を調べた研究によると、朝食に少なく、昼食、夜食と増える傾向にあることを伝えています。そのため、朝食の見直しもお勧めします。
5. 十分な睡眠を取る
睡眠不足が続くと、体内のホルモンバランスが乱れ、代謝が低下してしまいます。睡眠中には、筋肉の修復や成長を助ける成長ホルモンが多く分泌されます。十分な睡眠を確保することで、筋肉の成長が促進され、基礎代謝も向上しやすくなります。成人は7〜9時間の質の高い睡眠を取ることを心がけましょう。
6. こまめな水分補給
水分補給は基礎代謝を高めるためにも欠かせません。こまめに水分を摂取することで、体内の代謝機能が正常に働き、エネルギー消費が促進されやすくなります。3食の食事と、1日あたり1~1.5リットルを目安に、水分補給を意識しましょう。(日本では、食事に約1リットルの水分が含まれると言われているため)
自宅でできる!基礎代謝を高める筋トレ法
では、基礎代謝を向上させるための筋トレ方法をご紹介します。先ほどもお伝えした通り、全身の筋肉の70%が集中している下半身を鍛えることで、基礎代謝を効果的に上げることができます。さらに、大きな筋肉を鍛えると、マイオカインという物質が筋肉から分泌され、筋肉量の維持や脂肪の燃焼促進、さらには糖尿病や高血圧の予防にもつながることが期待されます。(上図) それでは、一緒にこの素晴らしい効果が期待できる筋トレを始めましょう!
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(1)スクワット
鍛える筋肉: 大臀筋、大腿四頭筋、ハムストリングス
運動方法:
- 両脚を肩幅よりやや広めに開き、背中を伸ばします。
- 息を吸いながら、両手を前方へ伸ばしながら、お尻を下げます(背中は伸ばし、目線は前方)
- 息を吐きながら、元に戻ります
- 2〜3を繰り返します。
回数: 15〜20回
ポイント: 膝がつま先より前方へ出ないように気をつけましょう。
(2)バックランジ
鍛える筋肉: 大臀筋、大腿四頭筋、ハムストリングス
運動方法:
- 両手を腰に当てて、背中を伸ばします。
- 息を吸いながら、「左足」を後方へ伸ばし、しゃがみます。
- 息を吐きながら、「左足」で床を蹴り、元の位置に戻ります。
- 息を吸いながら、「右足」を後方へ伸ばし、しゃがみます。
- 息を吐きながら、「右足」で床を蹴り、元の位置に戻ります。
- 2〜5を繰り返します。
回数: 左右 各15回
ポイント: 目線は前方で体はまっすぐです。
(3)フロントスラム 全身運動
鍛える筋肉: 大臀筋、大腿四頭筋、ハムストリングス、脊柱起立筋、僧帽筋
運動方法:
- 肩幅より広めに足を広げ、両手を組んで天井に伸ばします
- 両手を伸ばしたまま、膝を曲げながらお辞儀の動作を行います。
- 両手は脚の間へ、背中は真っ直ぐ、お尻は後方にします
- ゆっくりと元の位置に戻ります
- 2〜3を繰り返します
回数: 15〜20回
ポイント: 腹筋にも力を入れて、腰を反らさないようにしましょう。
動画もあります。
基礎代謝量 まとめ
今回は、基礎代謝量について解説しました。この記事の重要なポイントを以下にまとめます。
まとめ
- 基礎代謝量とは、生命維持に必要なエネルギー量のこと
- 基礎代謝量は、年齢、性別、筋肉量によって異なる
- 基礎代謝量が高いと、エネルギー消費が増え、太りにくい体質に
- 基礎代謝量を上げるには、筋力トレーニングやバランスの取れた食事が効果的
- 十分な睡眠と水分補給も、基礎代謝をサポートする重要な要素
基礎代謝量を理解し、日常生活に取り入れることで、より健康的でエネルギッシュな生活を送ることができます。特に、40代以上の方にとって、基礎代謝を維持・向上させることは、健康管理の鍵となります。
以上、最後まで記事を読んでいただきありがとうございました。
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参考文献
- John E. Hall(2018):ガイトン生理学 原著第13版.エルゼビア・ジャパン株式会社
- 青山晋也(2024):たんぱく質を摂取するタイミングと生体影響および骨格筋機能,臨床スポーツ医学,41,578
- 石井直方研究室.筋運動が脳に及ぼす効果:認知症予防を目指して.https://wildlife.jpn.com/wildlife-consul/ishii/content/research/index.html
- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準」2020年度版
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この記事を書いた人
小林素明 (お城好きフィットネストレーナー)
テレビ番組「ちちんぷいぷい」「大阪ほんわかテレビ」「ten」などに多数出演し、メディアからも注目されるパーソナルトレーナー。30年以上の指導経験と健康運動指導士の資格を有し、1万レッスンを超えるパーソナルトレーニング指導の実績。特に40代からシニア世代向けの「加齢に負けない」トレーニングに定評があり、親切で丁寧な指導が評価されている。
医療機関との連携を通じて、安全で効果的なトレーニング法を研究し、病院や企業での腰痛予防に関する講演では受講者の98%から「分かりやすかった」と高評価を得る。また、パーソナルトレーナー養成講座の講師としても豊富な実績を誇り、多くのトレーナーの育成に貢献しています。