初心者必見!効果が出るトレーニングの3つの原理と5つの原則を徹底解説
こんにちは!パーソナルトレーナーの小林です。
「トレーニングってただ体を動かせばいいと思っていたけど、本当に効果を出すには何が大事なんだろう?」そんな疑問を抱いている方も多いのではないでしょうか。実は、トレーニングには守るべき基本の原理と原則があります。これを知ると、ただ体を動かすだけでなく、より効率的で安全なトレーニングができるようになります。
この記事では、トレーニングをもっと充実させたいあなたのために、知っておくべき「3つの原理」と「5つの原則」についてわかりやすくお伝えします。年齢を重ねても、自分の体に合ったトレーニングで、しっかりと効果を感じられるようにサポートしますよ。
一歩踏み出せば、これからのトレーニングがもっと楽しく、そして身近なものになるはずです!
トレーニングの原理、原則って何?
たとえば、テレビで有名人が「毎日スクワット100回で体力維持!」と紹介しているのを見ると、「よし、私も毎日100回スクワットをやってみよう!」と感じるかもしれません。
確かにスクワットは、足腰を強くし、老化予防にとても効果的です。しかし、毎日同じスクワットを続けることが本当に効率的なトレーニング方法なのでしょうか? その答えを導くために重要なのが、「トレーニングの原理原則」です。
これは、トレーニングを通して体にどのような変化が起こるのか、そして最大限に効果を引き出すために何が必要なのかを、3つの原理と5つの原則にまとめたものです。
この原理原則は、年齢や性別に関係なく、また健康維持やスポーツパフォーマンス向上など、あらゆるトレーニングに共通する基本的なルール。今からトレーニングを始める人だでけなく、すでにトレーニングをされている人にとっても大切なルールです。
トレーニングの3つの原理
トレーニングには、効率的に体を鍛えるための「3つの原理」という基本ルールがあります。これらを理解することで、ただ体を動かすだけでなく、安全性が高まり、確実に効果が出るトレーニングができるようになります。当ジムでも多くの方を指導してきた経験から、これらの原理がどれほど大切かを実感しています。
トレーニングの3つの原理
- 過負荷(オーバーロード)の原理
- 特異性の原理
- 可逆性の原理
1 過負荷の原理(オーバーロードの原理)
筋肉や体力を向上させるためには、今まで以上の負荷を体にかけることが必要です。例えば、同じ重さのダンベルを同じ回数持ち上げ続けていると、体はその負荷に慣れてしまい、筋肉の成長が止まってしまいます。そこで、少しずつ負荷を増やすことで、筋肉や体力はさらに強くなっていくのです。
具体的に普段の生活では、最大筋力の約20%を使っていますので、トレーニングでは最大筋力の20%以上の負荷をかけないと筋力の維持・向上は期待できません。筋力を維持するためには、少なくとも最大筋力の30%ほどの負荷が必要で、40%以上の負荷をかけることで筋力の向上が期待できます。(上の図) つまり、体を鍛えるためには、普段より少し高い負荷を意識的に与えることがポイントです。
ただし、トレーニングを始めて6ヶ月未満の方は、負荷よりもトレーニングの「正しいフォーム」が最優先です。正しいフォームが身についてから、負荷を高めるようにしましょう。
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2 特異性の原理 specificity
トレーニングは、目標に合わせて適切な方法を選ぶことが重要です。特異性の原理とは、「鍛えた部分がそのまま成果に結びつく」という考え方です。例えば、マラソンで全身持久力を高めたいなら、筋トレだけではなく、ランニングの有酸素運動トレーニングが必要です。他、テニスが上達したいなら、テニスの練習が最も効果的で、柔道の練習では目的に合わないため、遠回りになってしまいます。
つまり、トレーニングの効果を最大限に引き出すためには、目的に合ったトレーニングを選ぶことがカギです。たとえば、体幹を強化したいなら、体幹トレーニングに焦点を当てるのが最も効率的です。このように、目標に応じた方法を選ぶことで、効率よく成果を上げることができます。
また、スポーツパフォーマンスアップには、動作においての強度、時間なども考慮にいれて、トレーニングを行う必要があります。
3 可逆性の原理 reversibility
可逆性の原理とは、トレーニングで得られた筋肉や体力の向上が、運動を中断すると徐々に失われていくというものです。つまり、せっかく積み上げた成果も、トレーニングをやめてしまえば元に戻ってしまいます。しかし、これは自然な体の反応なので、過度に心配する必要はありません。
大切なのは、できるだけトレーニングを続ける環境をつくることです。忙しい日が続いても、短時間でも体を動かす習慣を維持することで、成果を維持することができます。また、長期間トレーニングを継続すればするほど、効果が失われるペースはゆっくりになります。反対に、トレーニング期間が短いと効果の低下が早まる傾向があるので、継続こそが成功のカギです。
実際、大学生が2週間寝たきりで過ごすと、太ももの筋肉が約8%萎縮したという研究データもあります。※1 【参考】80歳の太ももの筋肉は、20歳のときよりも約50%萎縮
また、20日間のベッドレスト(寝たまま)の研究では、全身持久力を示す最大酸素摂取量は25%の低下しています。
このように、トレーニングの継続がいかに重要かがよくわかります。
トレーニングの5つの原則
トレーニングの効果を最大限に引き出すためには、以下の5つの原則を理解し、実践することが重要です。それぞれの原則がどのようにトレーニングに役立つかを詳しく見ていきましょう。
- 漸進性の原則
- 意識性の原則
- 全面性の原則
- 個別性の原則
- 反復性の原則
1 漸進性の原則
トレーニングの効果を持続させるためには、負荷や回数を徐々に増やしていく必要があります。なぜならば、ある程度の負荷をかけていても、体がその負荷に慣れてくると、筋肉の成長が停滞するからです。
そのため、トレーニングを続けるうちに少しずつ負荷や回数を増やすことで、常に体を刺激し続けることが求められます。これにより、筋肉や体力の向上を効率的に維持できます。
これはトレーニングの落とし穴の1つで、同じトレーニングを続けているとやがては効果が停滞します。対策としては、2〜3ヶ月の定期的なトレーニングメニューの見直しです。負荷を少し上げる、種目を変更する、全体的な量を増やすという方法です。難しい場合は、しばらくの間、パーソナルトレーナーにお願いすることも検討しましょう。
2 意識性の原則
トレーニングの効果を最大化するためには、各エクササイズの目的と期待される効果を理解して行うことが重要です。ただ漠然とトレーニングを行うのではなく、例えば「体幹トレーニングを通じて体のブレを防ぎ、膝への負担を軽減する」というように、明確な目的を持つことで、より効果的なトレーニングが実現できます。
3 全面性の原則
体力には筋力だけでなく、柔軟性、瞬発力、調整力、全身持久力など多くの要素があります。これらの体力要素をバランス良く鍛えることが、全体的な体力向上には不可欠です。
筋力トレーニングでは、人気の高い腹筋トレーニングに偏りがちです。しかし、筋トレでは全身の大きな筋肉群を中心に、偏りなく満遍なく筋肉を鍛えるプログラムが推奨されます。これにより、体全体のバランスを整え、より健康的な体を作り、姿勢改善、肩こりや腰痛予防にも役立ちます。
4 個別性の原則
トレーニングプログラムは、個々の体力、年齢、性別、健康状態、過去の運動歴などに応じてカスタマイズする必要があります。例えば、スクワット100回が楽に感じる人もいれば、きつく感じる人もいます。同じ年齢の人でも体力差があり、どなたでも同じトレーニングメニューというわけにはいきません。
たとえば、筋力アップを目指すなら、「10〜15回で限界が来る程度の負荷」を使うことが効果的です。この負荷は人によって異なるはずです。重要なことは、自分に合った負荷を設定です。このアプローチは、厚生労働省が発表した「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」にも記されており、個々の健康状態や体力レベルに合わせた運動選択が推奨されています。※2
また、疲労回復も考慮にいれたトレーニングの頻度を考慮する必要があります。なぜならば、筋肉はトレーニング後の疲労回復において成長をしているからです。(超回復) 疲労が蓄積したまま、トレーニングを行うとパフォーマンスの低下だけでなく、大きな怪我につながることがあります。筋力トレーニングの頻度は、週に2〜3回が適切です。
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5 反復性の原則
トレーニングの成果を持続的に得るためには、規則正しく繰り返し行うことが大切です。たとえば、「毎週月曜日と金曜日にトレーニングを行う」といった規則性を持つことで、トレーニングの効果が高まり、目標達成に近づくことができます。反復することで、体がトレーニングに適応し、長期的な成果が得られます。
これらの5つのトレーニングの原則を意識してトレーニングを行うことで、効果的かつ効率的に体力を向上させることができるでしょう。
まとめ トレーニング3つの原理、5つの原則とは?
いかがでしたか?トレーニングの原理原則は、時代が進んでも基本的に変わらない不変のルールです。これらの原則はトレーニングの根幹を支えており、効果が感じられなくなったときの現状打破にも役立つ知識です。
また、これからトレーニングを始めようとしている方々には、どこから手を付けていいのか迷うこともあるでしょう。そんなときは、ジムに通うことや、パーソナルトレーナーに相談するのも一つの手です。専門的なアドバイスを受けながら、自分に合ったトレーニングを見つけることで、より効果的に目標を達成することができます。トレーニングのスタート地点として、ぜひ検討してみてください。
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当メディアでは、初心者でもスムーズにスタートできる運動法を、わかりやすく丁寧に解説しています。
運動指導歴30年以上、テレビ出演の実績も豊富な健康運動指導士でパーソナルトレーナー・小林素明が、確かな信頼性のもとで最新の情報をお届けします。これから運動を始めたい方は、こちらの健康と運動ガイドをご覧ください!
また、本格的なパーソナルトレーニングをご希望の方には、40代からシニア世代のニーズに特化した「どこでもフィット」のサービスもおすすめです。あなた様に合った最適なトレーニングをサポートしますので、一度ご検討くださいませ。
参考文献
- ※1 福永哲夫(2024年)「貯筋®のススメ ~使って貯めよう筋肉貯筋~」 健康体力事業財団・健康づくりオンラインセミナー 2024年3月
- ※2 澤田享(2024年)「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023を活用した運動指導」第43回日本臨床運動療法学会学術集会
- 本間研一(2019年)「標準生理学 第9版」医学書院
- 石井直方(2020年)「スポーツ科学の基礎知識 筋肉の機能・性質のパーフェクト事典」ナツメ社
- Scott K. Powers・Edward T. Howley 翻訳)内藤久士 柳谷登志雄(2020年)「パワーズ運動生理学」メディカルサイエンスインターナショナル
- 畠中泰彦(2018)「理学療法のための筋力トレーニングと運動学習」羊土社
この記事を書いた人
小林素明 (城好きパーソナルトレーナー)
テレビ番組「ちちんぷいぷい」「大阪ほんわかテレビ」「ten」などに多数出演し、メディアからも注目されるパーソナルトレーナー。30年以上の指導経験と健康運動指導士の資格を有し、1万レッスンを超えるパーソナルトレーニング指導の実績。特に40代からシニア世代向けの「加齢に負けない」トレーニングに定評があり、親切で丁寧な指導が評価されている。
医療機関との連携を通じて、安全で効果的なトレーニング法を研究し、病院や企業での腰痛予防に関する講演では受講者の98%から「分かりやすかった」と高評価を得る。また、パーソナルトレーナー養成講座の講師としても豊富な実績を誇り、多くのトレーナーの育成に貢献しています。