揺れるバスでも崩れない姿勢 78歳のガイドさんから学んだ体幹の秘密


パーソナルトレーナーの小林素明です。

揺れるバスの中で、60分間立ち続けて案内を続ける。この状況を想像できますか?

先日、鹿児島のナイトシティビューバスに乗車しました。鹿児島中央駅から天文館、城山公園、西郷銅像前などを巡る60分の夜景コースです。

このバスを案内してくださったのは 78歳の現役バスガイドさん。満員の車内で途切れることなく案内し続け、しかも 19時発・20時発の2回連続。合計120分間、立ち続けて話す姿に、心から感動しました。

なぜこれだけのパフォーマンスが可能なのか? 専門家として特に注目したのは 体幹の強さ です。

揺れる車内で立ち続けるには体幹力が必須

鹿児島シティビュー夜景コースのチケット

市街地を走る夜景バスは揺れが多く、停車・発進を繰り返します。その中で姿勢を崩さず立ち続けるには、強い体幹が欠かせません。

電車に揺られながら 2時間正しい姿勢で立つ ことを想像してみてください。さらに声を出し続けるという負荷も加わります。

立っているときに働く主な筋肉は、

  • 体幹(腹筋群・背筋群)
  • 股関節の筋肉(大臀筋腸腰筋
  • 太もも(大腿四頭筋・ハムストリングス)
  • ふくらはぎ(前脛骨筋・下腿三頭筋)

これらだけでは揺れに耐えるのは困難です。そこで重要になるのが 体幹のインナーマッスル です。

パフォーマンスを支える体幹のインナーマッスル

体幹のインナーマッスル

インナーマッスルとは、お腹の深部にある4つの筋肉を指します。

  • 腹横筋(ふくおうきん)
  • 横隔膜(おうかくまく)
  • 多裂筋(たれつきん)
  • 骨盤底筋群(こつばんていきんぐん)

これらが協力して体幹を安定させ、姿勢を支えています。

体幹が弱いと下半身の筋肉が余分に働き、すぐ疲れてしまいます。逆に体幹が強いと、腰痛や膝痛、肩の不調の予防にもつながります。

40年以上のガイド経験の中で、「立って話す」という日常そのものが体幹トレーニングになり、78歳とは思えない美しい姿勢を保っておられました。

発声することの効用

声を出すことは、実は全身運動です。声帯だけが働いているように思われがちですが、実際には 横隔膜を中心とした体幹のインナーマッスルが強く働いています

たとえば、静かに立っているだけでは 約1.3METs(メッツ)。一方、会話をしながら立っていると約1.8METs。会話をすることで、エネルギー消費量は30%以上アップします。

しかし、今回のケースはそれだけではありません。バスガイドさんは、揺れる車内で姿勢を保ちながら声を出し続けています。

揺れに耐えるためには、腹横筋・多裂筋・骨盤底筋群などのインナーマッスルが常に細かく働き続け、体を安定させる必要があります

さらに、案内の声を出すことで横隔膜が大きく動き、呼吸が深まり体幹がより強く刺激されます。

発声 × 姿勢保持 × 体の揺れへの対応
この3つが組み合わさることで、立つだけ・話すだけよりもはるかに高い体幹トレーニング効果が生まれているのです。

歩行や日常動作でも「揺れに耐える力」は重要

揺れるバスの中で姿勢を保つ力は、特別な状況だけに必要なものではありません。私たちが毎日行っている 歩行そのものが、実は“連続した揺れとの戦い” です。

歩くとき、体は左右に小さく揺れ、片足立ちになる瞬間には 体重の3〜4倍の負荷が股関節にかかる と言われています。

この動きの中で、体幹が弱いと上半身がブレ、膝や腰への負担が大きくなります。

逆に、体幹が安定していると歩幅が広がり、疲れにくく、転倒のリスクも大きく低下します。

揺れに耐える力」=日常生活のパフォーマンスそのものです。

筋トレよりも、まず「体幹の安定性」

筋肉量を増やすことは重要ですが、その前段階として体幹の安定性を高めることが最優先 です。

体幹が弱いまま下半身の筋肉だけ鍛えても、力がうまく伝わらず、すぐ疲れたり、膝や腰を痛める原因になります。

体の土台を作ることで、その上に乗る筋肉が本来の力を発揮できるようになります。

今日からできる体幹トレーニング

78歳のバスガイドさんの働き方が、そのことを力強く証明してくれました。

無理のない第一歩として、座ってできる体幹トレーニングや、起床時・就寝前にできるエクササイズ をご紹介します。一緒に始めてみませんか?

座りながらできる体幹トレーニング「ドローイン」

鍛える筋肉:腹横筋
期待できる効果:腰痛予防・体幹強化・お腹の引き締め

やり方

  1. 背中を伸ばして座り、手をお腹に添えます
  2. お腹をへこませながら息を吐く(3秒)
  3. へこませたまま息を吸う(3秒)

回数:10〜15回

起床時・就寝前におすすめの体幹トレーニング 「ハンドニー」

体幹 フロアハンドニー 
体幹 フロアハンドニー

鍛える筋肉:腹横筋・内腹斜筋・外腹斜筋・多裂筋
期待できる効果:腰痛予防・体幹強化・姿勢改善

やり方

  1. 四つん這いになる
  2. 右手と左足を伸ばして30秒キープ(呼吸は自然に)
  3. 反対も同様に行います

注意点:体が回転したり姿勢が崩れる場合は、やり直します

体幹トレーニングレベルアップ編「サイドプランク」

主に鍛える筋肉:中臀筋・内腹斜筋・外腹斜筋
期待できる効果:腰痛予防・体幹強化・姿勢改善

やり方

  1. 横向きになり、肘と膝を床につけます
  2. ゆっくりとお尻を床から浮かせます
  3. 上になっている手を天井へ伸ばします
  4. 腹筋に力を入れて、体をまっすぐにします
  5. 自然呼吸で15〜20秒間静止します
  6. 反対側も同様に行います

注意点:体が回転したり姿勢が崩れる場合は、やり直します

まとめ

いかがでしたでしょうか? 

78歳のバスガイドさんの姿から、続けることの大切さを学びました。揺れる車内で立ち続けられるのは、日頃の習慣でつくられた体幹の安定があるからです。

体幹が安定すると、歩行も姿勢も変わり、疲れにくい体へとつながります。そして、毎日の小さな積み重ねが、将来の大きな差を生みます。

これからも、無理なくできる習慣で体を整えていきましょう。

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指導歴30年超、テレビ番組「ちちんぷいぷい」「大阪ほんわかテレビ」「ten.」などに出演し、専門的でわかりやすい解説が好評のフィットネストレーナー。

健康運動指導士、マッスルコンディショナー、介護予防運動トレーナーの有資格者。

2010年に大阪市でパーソナルフィットネスジム「どこでもフィット」を開業し、これまでに延べ1万回以上のパーソナルトレーニングを実施。特に50代以上の「加齢に負けない体づくり」に定評がある。

医療機関と連携した安全性の高い運動指導、企業・団体向けの腰痛予防や健康経営に関する講演も数多く行い、受講者から「わかりやすい」と高い評価を得ている。

趣味は城巡り、鉄道とグルメの旅、スポーツ観戦、80~90年代のプロレス、書店めぐり、そして焼肉。身体づくりも人生も、楽しみながら続けることを大切にしている。