50代からの運動前後の食事法|タイミングを意識して健康づくりをサポート

パーソナルトレーナーの小林素明です。
健康づくりを始めたいけれど、「今から運動を始めても大丈夫?」「運動に必要な食事って難しい?」と不安に感じている方も多いのではないでしょうか?
特に、病気にかかりやすくなる50代以降の方にとって、適切な運動と食事のタイミングは、健康を守るためにとても大切なポイントです。
この記事では、近年注目されている「時間栄養学」の考え方をもとに、運動前後の食事の取り方や、1日の中での効果的な栄養摂取のタイミングについて、わかりやすく解説します。
この記事を読むことで、毎日の食事に少し意識を向けるだけで運動効果をぐっと高める方法がわかり、「今からでも遅くない」と自信を持って健康づくりに取り組めるようになります。
これから運動を始めたい方や、無理なく体力づくりをしたい50代以降の方に、ぜひ読んでいただきたい内容です。
さらに詳しい健康・フィットネス情報を知りたい方は、ぜひ健康と運動ガイドもチェックしてみてくださいね!
運動前に食事を済ませる理由

運動を始める前に、きちんと食事をとることはとても大切です。空腹のままですと、体が思うように動きませんし、集中力も低下します。
たとえば、「早くやせたいから」と空腹で運動すると、かえって体に悪い影響が出ます。なぜならば、体の中の糖分が足りないと、筋肉を作るために大切なタンパク質がエネルギーに使われてしまうからです。(糖新生)
その結果、せっかくの筋肉が減ってしまい、代謝も低下する恐れもあり、健康づくりどころではなくなります。
しかし、運動の少し前に、体に必要な栄養を摂取することで、筋肉はうまくエネルギーを使えるようになり、動きやすくなります。そのうえ、集中力もぐっと高まり、運動の効果もアップします。
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運動前の食事のタイミングはどうすれば良いの?

理想は、運動の1時間〜2時間前に食事を済ませることです。これは、食べたものが一度消化され、体が自然に動ける状態を整えるためです。
もう少し詳しく話しますと、食べたものが消化されないうちに運動を始めると、本来消化に使われるはずの血液が筋肉に集中してしまいます。その結果、胃や腸への血流が不足し、もたれの原因となることがあるからです。
そうは言っても、仕事や家事で忙しくされている方にとって、運動の1時間〜2時間前に食事を済ませるのは難しいかも知れませんね。
そんなときは、運動の30分〜1時間前に、軽めの食事(軽食)をとるようにしましょう。どのような軽食が良いのかを次に説明します。
運動の30分から1時間前のオススメ軽食
運動前の軽食のポイントは「消化に優しく、すぐに力になるもの」を選ぶことです。若い頃とは違い、胃腸への負担は避けたいですからね。こってりした油ものや、血糖値が急激に上がりやすい甘すぎるものは避けておきましょう。
おすすめは、エネルギー源となる炭水化物、例えばおにぎりやサンドイッチ、バナナなど。余裕があれば、筋肉の維持に役立つたんぱく質をプラスすることが良いです。
おにぎりの具を梅や鮭、ゆで卵やヨーグルト、プロテインバー(糖分控えめ)などを添えるのも良いですね。筋肉づくりにプラスに働いてくれます。
運動後30分のゴールデンタイムを活かす栄養補給法
運動後30分以内は、体が栄養をもっとも効率よく吸収できる「メンテナンスタイム」です。この時間にたんぱく質と炭水化物(糖質)を一緒にとると、筋肉の回復と成長に大きな効果があります。
タンパク質:運動をすると、筋肉の繊維に目に見えないレベルのダメージが生まれます。この傷を修復し、強くしなやかな筋肉をつくり直すためには、筋肉の材料となるたんぱく質が必要です。
糖質:運動中に消費された糖質は、できるだけ早く補うことが疲労回復には欠かせません。糖質をとると、エネルギーの補充がスムーズに進み、血糖値も安定します。このおかげで、運動後のだるさや集中力の低下を防ぐ助けになります。
タンパク質と糖質:たんぱく質と糖質を同時にとることで、筋肉へのアミノ酸の吸収がよりスムーズになることもわかっています。この30分間が「ゴールデンタイム」と呼ばれるのは、こうした理由があるのです。
運動後30分のオススメの食事(タンパク質と糖質を同時)
- 納豆ごはん:納豆は高たんぱく、栄養も豊富。
- 焼き鮭+おにぎり:鮭は消化もよく、高品質なたんぱく質を含みます。
- 味噌汁(豆腐とわかめ入り)+小さなおにぎり:豆腐でたんぱく質、わかめでミネラルも補えます。
- 目玉焼き+トースト:卵は「完全栄養食品」と呼ばれ、たんぱく質もしっかりとれます。
- ヨーグルト(無糖)+バナナ+きな粉:ヨーグルトときな粉でたんぱく質、バナナで糖質を補給。
食べる時間が体を変える!50代からの食事術

最近の研究で、「食べる時間」が体の健康に深く関わっていることがわかってきました。同じ食事でも、朝より夕方に食べたほうが血糖値が上がりやすくなる場合があります。
特に、夜遅い時間に甘いものや炭水化物を多く食べると、体に脂肪がつきやすくなり、糖尿病のリスクも高まります。
そこで、1日3食をとるときに気をつけたいポイントを「時間栄養学」に基づいてお伝えします。食事の時間を少し意識するだけでも、体調は大きく変わってきますよ。
時間栄養学から学ぶ!「朝食」で気をつけたいポイント
朝食は、起きてから1〜2時間以内に、しっかりと食べましょう。朝ごはんを抜いてしまうと、体がエネルギー不足になり、動きにくくなります。
また、朝食を取らない人は、心臓病や脳の病気にかかるリスクが2割以上高くなることが、国立がん研究センターの2016年の調査でわかっています。
朝ごはんをきちんと食べることで、体内時計が整い、頭も体もスッキリと動きやすくなります。
時間栄養学から学ぶ!「昼食」で気をつけたいポイント

昼の時間帯は、食べたものが効率よくエネルギーとして使われやすくなります。昼食をしっかり食べることで、夕食までの空腹感を穏やかにし、夜の食べ過ぎを防ぐ効果も期待できます。特に運動を意識されている方は、筋肉の材料となるタンパク質なども、昼食で意識しましょう。
もう1つ、大切なことを話します。
体の中には、脂肪を溜め込む働きをする「BMAL1」(ビーマルワン)というタンパク質があります。このBMAL1、活動的な日中は量が少なく、夜にかけて増えていくという性質があります。
つまり、同じものを食べるなら、BMAL1が少ない昼間のほうが脂肪になりにくい、ということになります。
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時間栄養学から学ぶ!「夕食」で気をつけたいポイント

夕食は20時までに済ませ、「やや軽め」を意識することが理想です。なぜならば、遅い時間の食事は体内時計を乱し、眠りが浅くなったり、体重が増えやすくなるからです。
なぜ遅い夕食は避けるべきなのか?
夜遅い時間に食事をとると、この体内時計のリズムが乱れやすくなります。寝ている間も胃腸が消化のために働き続けることになり、結果として眠りが浅くなってしまうことも。
もう1つ、夜は脂肪を溜めすくする「BMAL1」 (ビーマルワン)のタンパク質が増える時間帯です。遅い時間の食事は、体重が増えやすくなる原因の一つです。
特に注意!夜の甘いもの
ケーキやアイスクリームといった甘いものを夜遅くに食べるのは、なるべく避けましょう。血糖値が急激に上昇し、それを下げるためにインスリンというホルモンがたくさん出ます。
この繰り返しは体に負担をかけ、肥満や糖尿病といった生活習慣病のリスクを高めます。
夕食はやや軽め、翌朝の快適さのために
夕食は、日中の活動量と比べてエネルギー消費が少ない時間帯です。「やや軽め」の食事を意識し、消化の良いもの、腹八分目を心がけましょう。
翌朝の目覚めのスッキリ感や、体の軽さが変わってくることでしょう。質の良い睡眠は、健康維持はもちろん、日中の活動や運動の効果を高めるためにも大切です。
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夜遅くにお腹が減った時はどうすれば良いの?

「お腹が空きすぎて眠れない…」なんて夜も、時にはあるかもしれません。我慢しすぎるストレスも良くありません。もし夜食をとるなら、意識したいのは「高タンパク」「低カロリー」「消化が良い」という3つのキーワードとなります。
オススメしたい夜食の例
- 大豆製品:豆腐、枝豆、納豆(良質な植物性タンパク質、消化も比較的良好)
- 乳製品: 無糖のプレーンヨーグルトや、カッテージチーズ(タンパク質が豊富、口当たりもさっぱり)
- その他: 半熟のゆで卵(消化を考慮)、蒸した鶏ささみ少量、具材の少ない温かい野菜スープなど
大切なのは「量」と「タイミング」
どんな食品を選ぶにしても、食べる量は「ごく少量」、小鉢に軽く一杯、程度を目安にしてください。そして、寝る直前ではなく、就寝の1時間前までには食べ終えるようにしましょう。賢い夜食選びで、空腹感を満たしつつ、体への負担は最小限に。
まとめ
時間栄養学の目的は、体内時計を整えて、体のリズムを守ることです。規則正しい食事は、自然と体の調子を整え、健康を支えてくれます。
もちろん、仕事や家事が忙しいと、毎日完璧にはできないこともあるでしょう。そんなときは、朝食をいつも同じ時間に食べる。このことだけでも、体内時計がリセットされやすくなりますよ。ぜひ、今日から実践してみませんか?
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参考文献
- ルイーズ・バーク、ヴィッキー・ディーキン(2023)「スポーツ栄養学」大修館書店
- 寺田新(2024)「スポーツ栄養学 第2版: 科学の基礎から「なぜ?」にこたえる」東京大学出版会
- Scott K. Powers・Edward T. Howley(2020)「パワーズ運動生理学」メディカルサイエンスインターナショナル
- 大塚邦明(2024)「時間治療」 講談社
- 臨床スポーツ医学(2024) Vol.41 No.6 文光堂
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この記事を書いた人


小林素明 (お城好きフィットネストレーナー)
テレビ番組「ちちんぷいぷい」「大阪ほんわかテレビ」「ten.」などに出演し、専門的でわかりやすい解説が好評のフィットネストレーナー。
健康運動指導士の有資格者であり、指導歴は30年以上。2010年に大阪市でパーソナルフィットネスジム「どこでもフィット」を開業し、これまでに延べ1万回以上のパーソナルトレーニングを実施。特に50代以上の「加齢に負けない体づくり」に定評がある。
医療機関と連携した安全性の高い運動指導、企業・団体向けの腰痛予防や健康経営に関する講演も数多く行い、受講者の98%から「わかりやすい」と高い評価を得ている。
趣味は城巡り、鉄道とグルメの旅、スポーツ観戦、80~90年代のプロレス、書店めぐり、そして焼肉。身体づくりも人生も、楽しみながら続けることを大切にしている。
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